ターミネーター (映画)
『ターミネーター』(原題: The Terminator)は、1984年に公開されたアメリカ合衆国のSF映画。「オライオン・ピクチャーズ / ワーナー・ブラザース」配給作品であり、「ターミネーター・シリーズ」の第一作目である。
ターミネーター | |
---|---|
The Terminator | |
監督 | ジェームズ・キャメロン[1] |
脚本 |
ジェームズ・キャメロン ゲイル・アン・ハード |
製作 | ゲイル・アン・ハード |
製作総指揮 |
ジョン・デイリー デレク・ギブソン |
出演者 |
アーノルド・シュワルツェネッガー マイケル・ビーン リンダ・ハミルトン |
音楽 | ブラッド・フィーデル |
撮影 | アダム・グリーンバーグ |
編集 | マーク・ゴールドブラット |
配給 |
![]() ![]() |
公開 |
![]() ![]() |
上映時間 | 108分 |
製作国 |
![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $6,400,000[2] |
興行収入 |
![]() ![]() ![]() |
配給収入 |
![]() |
次作 | ターミネーター2 |
ストーリー編集
2029年に人類と機械軍の熾烈な戦いが行われているが、その最後の戦いは、過去に当たる今夜始まる。
ロサンゼルスのとある裏路地に、まばゆい電光とともに筋骨逞しい男性が現れ、片っ端から服や銃を強奪する。「サラ・コナー」という名前と「ロサンゼルス」という住所だけを頼りに、電話帳に載っている同姓同名の女性を順番に殺していく。一方、遅れて現れた別の若い男性も、今ここが1984年5月12日木曜日のロサンゼルスであることを確認すると、悪夢にうなされつつ誰かを探し始める。
最後のサラ・コナー宅に侵入した逞しい男性は、サラと同居する友人ジンジャーとそのボーイフレンドのマットを殺害し、外出中のサラの顔と声の情報を入手。ついに彼女が町のディスコにいることを突き止め、現地へ乗り込み殺害を実行しようと銃口を向けるが、やはりサラを追っていた若い男が間一髪で阻止する。一緒に逃げるよう促され、事態が飲み込めず怯えるサラに、男(カイル・リース)はリース軍曹と名乗り、襲撃者は超合金と人工皮膚でできたアンドロイドであり、サラを殺害するために未来から送り込まれ、彼女が死ぬまで狙い続けること、カイルは彼女を守るために未来から現代へやってきたこと、カイルを現代に送り込んだのはサラのまだ見ぬ息子ジョン・コナーであること、などを告げる。
サラとカイルはパトカーを強奪したターミネーターに追われ、カーチェイスの末にターミネーターは損傷、サラとカイルは警察に捕まる。カイルは尋問を受け、サラに説明したことと同様の内容やさらに詳細な歴史背景を録画カメラに向かい説明し、その録画をサラ・コナーも見る。
数年後に核戦争が起き、人口が激減した核戦争後の世界で、人工知能「スカイネット」の知能が人類の予想を超えて上昇し人類を敵と見なすようになり機械軍を使って数十年間人類を攻撃し、人類は絶滅の危機を迎えた。しかし抵抗軍指導者であるジョン・コナーの指揮下、反撃に転じ、2029年には人間側の勝利は目前に迫っていた。脅威を感じたスカイネットは、男性の姿をした殺人アンドロイドターミネーター・サイバーダインシステム・モデル101を未来から現代へと送り込み、ジョンの母親となるサラ・コナーを殺害することで、ジョンを歴史から抹消しようと目論んだ。ターミネーターに続いて抵抗軍からも、自分カイル・リースが、サラの護衛という使命を帯びて未来から1984年に送り込まれた。ターミネーターとカイルは未来に戻ることができず、抵抗軍がカイルを送り込んだ直後にタイムスリップ装置を破壊したため、「二人」に続いて1984年へ来る者はいない。
だが未来のことを過去形で語るカイルのこんな説明を誰も信じない。カイルは精神異常者だと見なされ拘留され、 サラのほうは警察から防弾チョッキを与えられ、その夜は警察署内で保護されることになった。しかしターミネーターは警察署を正面から襲撃し、サラは再び間一髪のところでカイルに救われる。逃避行の中で、サラはカイルの話を信じ、心を開いていく。また、カイルも、サラは未来ではジョンを育てた偉大な母として伝説になっていて、ジョンにサラの写真を見せられて以来、思慕していたことを打ち明ける。互いへの愛を抱いた2人は、潜伏先のモーテルで結ばれた。
休息も束の間、宿泊したモーテルの場所を突き止められて、更なる追撃を受けるサラ達。オートバイに乗るターミネーターに追われ、満足な武器もなく手製の爆薬での応戦を余儀なくされ、銃弾を受けて傷付くカイルだったが、サラの手助けと励ましもあり、どうにか窮地を脱し、タンクローリーの隙間に爆薬を押し込んで爆破させ、ターミネーターを炎上させる事に成功する。しかし、燃えたのは表面の生体組織と服だけだった。ターミネーターは炎上する車の残骸から、超合金製の骨格を露わにした姿で立ち上がり、さらに追いかけてくる。
サラと共に近くの工場へ逃げ込んだカイルは、再びターミネーターと交戦するが、堅牢なボディを持つターミネーターに全く歯が立たず、ターミネーターの攻撃に瀕死の重傷を負ってしまう。カイルは最後の爆薬を使ってターミネーターの爆破に成功したものの、自らも爆発に巻き込まれて命を落とし、サラも片脚に重傷を負う。カイルの死を嘆くサラに、上半身だけとなってもなお迫るターミネーター。サラはターミネーターをプレス機に誘導して超合金製頭蓋骨を押し潰し、ついに完全停止させる。
数か月後の11月10日、カイルとの子ジョンを宿したサラは、やがて訪れる「審判の日」へ向けての戦いを決意し、メキシコへ旅立つ。サラは息子のために音声で記録を残し、父親カイルのことも語る。ガソリンスタンドで少年から買ったポラロイド写真は、未来の世界でカイルがジョンからもらった写真である。
登場人物編集
- ターミネーター(T-800) - アーノルド・シュワルツェネッガー
- 2029年、スカイネットにとって脅威となる人類抵抗軍の指揮官ジョン・コナーの出生を阻止すべく、母であるサラ・コナーを抹殺するため1984年にタイムスリップした「潜入型サイボーグ」。ロサンゼルス在住のサラ・コナーという姓名の女性を次々と抹殺した。
- カイル・リース - マイケル・ビーン
- 人類抵抗軍の指揮官ジョン・コナーの部下。ジョンの母となるサラを「T-800」から守るため、1984年にタイムスリップする。抵抗軍での階級は技術情報部隊軍曹・DN38416。ジョン・コナーより彼の母サラ・コナーの写真を譲り受け、その写真を見るうちにサラに想いを寄せるようになり、サラの護衛となることをみずから志願した。
- サラ・コナー - リンダ・ハミルトン
- 後の人類抵抗軍のリーダーとなるジョンの実母。未来から来たターミネーターに狙われるが、カイルに助けられる。大学に通っており、レストランのウェイトレスとしてアルバイトをしている。
- エド・トラクスラー - ポール・ウィンフィールド
- ウエストハイランド警察署の警部。「サラ・コナー連続射殺事件」にて、最後に残ったサラ・J・コナーの身柄を署で保護。同署に押し入ったターミネーターにより重傷を負った。
- ハル・ブコビッチ - ランス・ヘンリクセン
- ウエストハイランド警察署の警部補。カイルの話を真に受けなかったが、直後に署がT-800の襲撃を受けた時に自動小銃で応戦する。が、ターミネーターの反撃を受け、死亡した。
- ピーター・シルバーマン - アール・ボーエン
- 犯罪心理学者。逮捕されたカイルを尋問し話を聞くが、真偽については信用しない。尋問を終えて警察署を去る際にターミネーターとすれ違うが、ポケットベルの着信に目を向けていたため、彼を直接見ることはなかった。
日本語吹替編集
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |||
---|---|---|---|---|---|
テレビ朝日版 | 旧VHS版 | 新VHS/DVD/BD版 | テレビ東京版 | ||
ターミネーター (T-800) |
アーノルド・シュワルツェネッガー | 大友龍三郎 | 玄田哲章 | ||
カイル・リース | マイケル・ビーン | 田中秀幸 | 池田秀一 | 宮本充 | 小山力也 |
サラ・コナー | リンダ・ハミルトン | 戸田恵子 | 高島雅羅 | 佐々木優子 | 松本梨香 |
エド・トラクスラー[4] | ポール・ウィンフィールド | 福田豊土 | 富田耕生 | 宝亀克寿 | 内海賢二 |
ハル・ブコビッチ | ランス・ヘンリクセン | 千田光男 | 仲野裕 | 内田直哉 | |
ピーター・シルバーマン | アール・ボーエン | 阪脩 | 塚田正昭 | 稲葉実 | 岩崎ひろし |
アラモ鉄砲店店主 | ディック・ミラー | 徳丸完 | 塚田正昭 | ||
掃除屋の男 | ノーマン・フリードマン | 藤本譲 | 藤本譲 | ||
ジンジャー・ヴェンチュラ | ベス・モッタ | 高島雅羅 | 叶木翔子 | 棚田恵美子 | 雨蘭咲木子 |
マット・ブキャナン | リック・ロッソヴィッチ | 村山明 | 二又一成 | 堀川仁 | 檀臣幸 |
パンクのリーダー | ビル・パクストン | 鈴置洋孝 | 中博史 | 坂口賢一 | 加瀬康之 |
パンクA | ブライアン・トンプソン | 二又一成 | 桜井敏治 | 加勢田進 | 中博史 |
パンクB | ブラッド・リアーデン | 千田光男 | 島田敏 | 土田大 | |
サラの母(声のみ) | 不明 | 水城蘭子 | 竹口安芸子 | 寺内よりえ | 佐藤しのぶ |
ガソリンスタンド店主 | Tony Mirelez | 及川ヒロオ | 丸山詠二 | 水野龍司 | |
ナンシー | ショウン・シェップス | 小宮和枝 | 滝沢久美子 | 浅野まゆみ | 魏涼子 |
路地裏の警官 | エド・ドゥーガン | 屋良有作 | 幹本雄之 | 乃村健次 | 廣田行生 |
電話の男 | ジョン・E・ブリストル | 村松康雄 | 辻つとむ | ||
電話の妻(声のみ) | 不明 | 高橋ひろ子 | 滝沢ロコ | 喜田あゆ美 | |
男性キャスター | ジョー・ファラゴ | 嶋俊介 | 中江真司 | 津田英三 | |
女性キャスター | ヘティ・リン・ハーツ | 鳳芳野 | 竹口安芸子 | むたあきこ | |
警察署受付 | ブルース・M・カーナー | 村松康雄 | 島香裕 | 乃村健次 | 水野龍司 |
男性客2 | レスリー・モリス | 秋元羊介 | 小室正幸 | ||
男性客3 | ヒュー・ファリントン | 阪脩 | 秋元羊介 | ||
女性客1 | ハリエット・メディン | 竹口安芸子 | 滝沢ロコ | 佐藤しのぶ | |
ナレーター | 伊藤惣一 | 中江真司 | 高宮俊介 | 立原淳平 | |
演出 | 蕨南勝之 | 高橋剛 | 小山悟 | ||
翻訳 | 岡枝慎二(ソフト版字幕) 林完治(BSプレミアム旧版字幕) 種市譲二(BSプレミアム新版字幕) |
宇津木道子 | 松田海 | 原口真由美 | |
効果 | リレーション 桜井俊哉 遠藤堯雄 |
リレーション | |||
調整 | 切金潤 | 金谷和美 | 重光秀樹 | ||
担当 | 向井士郎 | 夏海佑実 | 別府憲治 | ||
プロデューサー | 猪谷敬二 | 久保一郎 渡邊一仁 | |||
制作協力 | ビーライン | ||||
製作 | 東北新社 | エンジェル ワークス |
テレビ東京 ケイエスエス | ||
初回放送 | 1987年10月18日 『日曜洋画劇場』 正味約99分 |
2003年5月29日 『木曜洋画劇場』 正味約98分 |
※ 旧VHS版吹替(日本語吹替完全版コレクターズブルーレイボックスではVHS版と表記されている)の初出はアスキー映画株式会社より発売(販売元はポニーキャニオン)のVHSにて。
※ 新VHS/DVD/BD版吹替(日本語吹替完全版コレクターズブルーレイボックスではBD/DVD版と表記されている)の初出は1998年2月25日カルチュア・パブリッシャーズより発売のDVDにて。その後20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン及びソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより発売の各種VHS/DVD/BD(後述)に収録されている。
※ 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンの「吹替の帝王」シリーズ第9弾として、上記の全4種類の吹替版を収録したBlu-ray Disc「ターミネーター 〈日本語吹替完全版〉 コレクターズ・ブルーレイボックス」が2015年6月24日に発売。特典としてテレビ版吹替台本2冊とインタビュー集が付属している。
スタッフ編集
- 監督 - ジェームズ・キャメロン
- 製作 - ゲイル・アン・ハード
- 製作総指揮 - ジョン・デイリー/デレク・ギブソン
- 脚本 - ジェームズ・キャメロン/ゲイル・アン・ハード
- 撮影 - アダム・グリーンバーグ
- 美術 - ジョージ・コステロ
- 編集 - マーク・ゴールドブラット
- 音楽 - ブラッド・フィーデル
- 特殊効果 - スタン・ウィンストン/Fantasy 2 Film Effects/パシフィック・データー・イメージズ
- 提供 - ヘムデイルフィルムコーポレーション/シネマ84/ユーロフィルムファンド/パシフィックウェスタン
地上波テレビ放送履歴(ゴールデンタイム)編集
回数 | 放送日時 | 放送分数 | 放送局 | 番組枠名 | 視聴率 | 吹替版 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1987年10月18日(日) 21:02-22:54 | 112 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 19.9% | テレビ朝日版 |
2 | 1989年 | 2月 4日(土) 21:02-22:54フジテレビ | ゴールデン洋画劇場 | 19.4%[5] | ||
3 | 1990年11月25日(日) 21:02-22:54 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 19.4% | ||
4 | 1991年 | 9月 8日(日) 21:02-22:5429.7% | ||||
5 | 1993年 | 3月28日(日) 21:02-22:54|||||
6 | 1996年 | 9月28日(日) 20:59-22:54115 | フジテレビ | ゴールデン洋画劇場 | ||
7 | 1997年12月28日(金) 21:02-22:54 | 112 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 12.8% | |
8 | 2000年 | 7月14日(金) 21:03-22:54111 | 日本テレビ | 金曜ロードショー | 16.2% | |
9 | 2001年 | 4月21日(土) 21:30-23:24114 | フジテレビ | ゴールデン洋画劇場 | 14.8% | |
10 | 2003年 | 5月29日(木) 21:00-22:54テレビ東京 | 木曜洋画劇場 | 10.9% | テレビ東京版 | |
11 | 2004年12月16日(木) 21:00-22:54 | 7.8% | ||||
12 | 2009年 | 6月 3日(月) 21:00-22:54水曜シアター9 | 7.7% |
作品解説編集
製作に纏わるエピソードとして、キャメロンが見た悪夢の話がある。前作『殺人魚フライングキラー』が失敗した際、彼は評論家やマスコミにもひどくこき下ろされたため、屈辱の余り熱を出して寝込んでしまったという。そのとき、「炎の中からロボットが現れて自分を殺しに来る」という悪夢を見た事が、本作を製作するきっかけとなったと語っている。
作中で「審判の日(Judgement day)」とされるのは1997年8月29日だが、この月日は、当時アメリカと冷戦を激化させていたソ連による初の原爆実験(RDS-1)に由来し[6]、映画が公開された前年の1983年には第三次世界大戦が起きかねない監視システムのコンピュータが核ミサイル発射を誤報した事件も起きていた[7]。キャメロンは本作は冷戦を意識していたことを述べている[8]。
製作するに当たって、キャメロンは「現代の技術では殺人ロボットの実現は不可能であるし、かと言って未来の話ではセットに費用がかかる上に観客にも受け入れがたいと考え、その結果、未来の殺人ロボットが現代にやって来るタイムトラベルのアイデアが浮かんだ」と語っている。
人選編集
主役のT-800について、企画当初の予定では続編『ターミネーター2』のT-1000の様な「一見すると貧弱そうな男が異様な強さを発揮する」というキャラクターを構想していた。ランス・ヘンリクセンが候補に挙がっておりパイロット版も制作されていた。他にも、O・J・シンプソンをターミネーター役に配役する構想もあった。
一方、俳優としてのキャリアが浅かったシュワルツェネッガーは、カイル・リース役を望んでいた。しかしキャメロンが、カイル役候補として彼と会食したことを機に状況が一変する。彼はシュワルツェネッガーの似顔絵を描いている内に、T-800役に相応しいと考え直す。さらに、彼からT-800のバックグランドに関して良いアイディアを貰ったことから、この役はシュワルツェネッガーしかいないと確信するようになった。結果として本作は、彼を一躍ハリウッドスターへと押し上げた。次作『ターミネーター2』からは悪役から主役へと立場が変化し、人間側(ジョン・コナーを守る立場)として活躍するようになる。
この映画で一躍世界的なスターとなったシュワルツェネッガーは、本作以前は『コナン・ザ・グレート』のヒットもあり、全くの無名という訳ではなかったものの、元々オーストリア出身でドイツ訛りがあり当時は英語が得意ではなかったという事もあってそれほど人気の俳優ではなく、なかなか役に恵まれず苦労を重ねていた。しかしこの英語の不得手さが、逆に「人間のふりをしようとする機械」として、ターミネーターの非人間的な感じを出すには言葉が饒舌であるよりも片言で喋る方が良いと考えていたキャメロンの目に留まることとなった。
カイルを演じたマイケル・ビーンもオーディション当時は舞台劇の影響で南部なまりが強かったため、不自然だということで落とされかけたが、エージェントによって南部出身者ではないと説明され危機を脱した。
なお、主役を交代したヘンリクセンは本作でブコビッチ刑事を演じている。
裁判編集
設定の一部について、1963年のテレビドラマ『アウター・リミッツ』のハーラン・エリスンが脚本を担当した2つのエピソード(第33話『38世紀から来た兵士』、第37話『ガラスの手を持つ男』)から剽窃したものである、との訴えがエリスン側から起こされた。結局キャメロンは80万ドルを支払い、ビデオ化以降のエンドクレジットに「Acknowledgement to the works of HARLAN ELLISON(ハーラン・エリスンの作品に謝辞)」と追加することを条件に和解した。
エンディング編集
ガソリンスタンドにいた少年に「嵐が来るよ」と言われたサラが「ええ、わかってるわ」と返すシーンは「機械との戦争が待つ未来」を暗示させるものだが、これは製作陣があらかじめ続編を意識していたことの表れともされている。元々は、破壊されたT-800のマイコンチップを技術者が回収するシーンに加え、最後の戦いを繰り広げた場所がサイバーダイン社であったという、より強い伏線を張ったエンディングであったが、キャメロンの「映画は説明しすぎず、観客の想像に任せたほうがいい」との判断によりカットされた。
評価編集
本作は批評家から大絶賛されており、映画批評集積サイトの「Rotten Tomatoes」には60件以上のレビューがある。批評家支持率は100%、観客満足度は89%と、高く評価されている[9]。平均点は10点満点中8点となっており[10]、インターネット総合評価では、批評家による加重スコアが100のうち84、観客によるスコアが10のうち7.5となっている[11]。
以下は主な受賞記録。
- 1985年「アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭」グランプリ受賞[12]。
その他編集
- 1984年2月8日から撮影は開始されたが、その直後から、シュワルツェネッガーはキャメロンの完全主義を思い知らされることになった。「あの時のジェームズは凄かったよ。事前に、撮影するショットをとても細かく説明するんだ。その位置が1ミリずれただけで、物凄く凶暴になるんだよ!」と述べている。また、ターミネーターが車のフロントガラスを叩き割るシーンで、ターミネーターの体から煙が出ている様子を再現する際、本物の酸をかけて煙を発生させた。スタッフ側は「弱い酸だから大丈夫だ」と主張したが、シュワルツェネッガーは「もっと別の方法はなかったのか」とずっと疑問に思っていたという。
- 肉体を焼失したT-800が骨格のみで追跡を再開する以降の部分は、トラックに轢かれて足が破壊された設定にし、ストップモーション・アニメーションの予算を削減している。また、ストップモーションが必要な全身が映るカットはわずかであり、ほとんどのシーンはフルサイズの模型をスタッフが操作している。
- 警察署窓口を去る際にT-800が口にする「また戻ってくる(I'll be back.)」は、本作以降シュワルツェネッガーのトレードマークとなり、続編を含む以降の出演作で同じセリフを言うシチュエーションが多用されている。
- 他の削除シーンとして、最終決戦間近のサラがディズニーランドに行こうと約束したり、未来人であるカイルがホットドッグを知らないなど、つかの間の日常生活を強調した場面があったが、「クライマックスに向けての流れを阻害する」旨の理由でカットされた。
- T-800は銃砲店から奪ったAR-18やUZIをフルオートで発砲しているが、比較的銃器に寛容なアメリカ合衆国といえど、フルオート機能を持つ銃器の売買には警察およびBATFEの許可が必要である(劇中では許可申請証を店員が出す前に射殺した)。小説版には、T-800が改造マニュアルを見ながら、フルオート射撃可能な状態へ改造する場面が登場する。ちなみに、これは実際にアクション映画等の銃器担当スタッフがフルオート銃器を調達するために常用する手段(もちろん許可が必要)である。なお、T-800の使用する銃は大半が「自動式」に対し、カイルは手動装填式のショットガンや回転式拳銃という「原始的な構造」の銃を使っている。
- 銃砲店でT-800が銃を選ぶ際に「射程距離400のフェイズドプラズマライフル」を指定するが、この時代には存在しない未来の兵器であり、情報ミスである。これに対応した銃砲店の店主は「見た通りさ、ないだろ?(Hey, just what you see, pal!)」と軽い調子で受け答えしている。ソフト版字幕では「なんですそれ?」、テレビ朝日と旧VHS版吹替では「生憎そいつは今、無いんだ」、DVD版吹替では「それは今、置いてないね」、テレビ東京版吹替では「ここにある物にしてくれ」、公開時の劇場字幕と当時のノベライズ版では「まだ入荷していません」とそれぞれ訳されている。
- カイルはパトカーから奪ったショットガンを、ストックを切り落として全長を短くし、使いやすく改造してから右腕にひもでくくりつけ、落としたり奪われないようにしているが、『ターミネーター4』では少年時代のカイルがマーカス・ライトから銃に関する「手品」としてひもでくくりつけるアイディアを教わるシーンがある。
- 映画の宣伝ポスター等でT-800が構えていたAMTハードボーラーは、銃の上にレーザーサイトが装備されている。作中ではT-800が銃砲店から強奪した銃の中の一挺で、一人目のサラ・コナーの殺害から、ディスコの銃撃戦まで使われている。この特徴的なレーザーサイトは、当時いち早く銃器用レーザーサイトを開発して販路を構築していたレーザープロダクツ社(後のシュアファイア社)の試作品で、宣伝も兼ねて提供されたものである。ただし、撮影に使われたものは開発段階のもので、作動に十分な容量のある内蔵式バッテリーの開発が済んでいなかったため、電源はコードを介して外部から取られている(腕の袖で隠れる部分にバッテリーが括り付けられている)。
- サラがT-800をプレス機で押し潰すときのセリフ「You are terminated.(「抹殺完了」「お前を抹殺する」)」は、『ターミネーター3』でT-850がT-Xを破壊するときにも使用された。『ターミネーター2』では、ジョンの「Is he dead?(死んだの?)」に対し「Terminated.(完全に)」という台詞が発せられている。
- カイルの回想にてシュワルツェネッガー以外の筋骨隆々のターミネーター(演者はボディービルダーのフランコ・コロンブ)が登場している。
- カイルがサラに言った「機械のことは信用するな。やつらは悲しみも感情もないのだ」と言う台詞は『ターミネーター2』や『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』でサラが頑なに信じている言葉でもある。『ターミネーター2』特別編でT-800のチップを取り出し、叩き壊そうとしてジョンに制止されるシーンがある他、 サラはジョンを助けに来たTOK715型ターミネーター(キャメロン)をも信用してはいない[13]。
- サラのアルバイトは、キャメロンの最初の妻シャロンがやっていた仕事と同じウエイトレスにした(サラは「ボブのビッグバンズ」で働いているが、シャロンは「ボブのビッグボーイ」というレストランで働いていた)。
- 主役を外されたヘンリクセンは「ジムにごまかされたと感じたことは、一瞬たりとも無かったね。僕はもうこの業界が長くて、時にはそうなることもあるって分かってるし。確かに自分がターミネーターを演じることができなかったのは残念だけど、それと同じくらいこの映画を作って欲しかったんだよ」と語った。
- 日本での公開日(1985年5月25日)から30年を記念して、2015年に日本記念日協会によって、5月25日を『ターミネーターの日』と認定された[14]。
- 2001年発売の2枚組DVD(GXBA-15917)発売の際に、次作でアカデミー賞を獲得したスカイウォーカー・サウンドにより音響効果が全面的にリニューアルされた。2001年盤ではオリジナル・モノラル音声も収録されていたが、2003年のDTS盤2枚組DVD(GXBU-15917)発売以降のすべての映像ソフトはオリジナルのモノラル音声がカットされており、オリジナル版を聴くことが出来なくなっている。
- 日本の安川電機製の産業用ロボットである「MOTOMAN」がクライマックスのシーンに出演している[15]。
- 岐阜県下呂市にある「留之助商店(オーナーはSFX著書で有名な中子真治)」にて、実際に劇中で使用されたT-800の実物大モデルが展示されている。
ソフト化編集
VHS編集
- ターミネーター※ 1989/10/21(字幕版) 1992/02/21(吹替版) アスキー映画株式会社より発売、ポニーキャニオン販売。
- ターミネーター※ 1998/01/25 カルチュア・パブリッシャーズより発売。
- ターミネーター※ 2001/11/22 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより発売。
DVD編集
- ターミネーター※ 1998/02/25 カルチュア・パブリッシャーズ株式会社より発売。
- ターミネーター※(特別編2枚組)2001/11/22 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより発売。
- ターミネーター※(アルティメット・エディション)2003/07/04 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより発売。
- ターミネーター※(アルティメット・コレクション)2006/06/21 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより発売。
- ターミネーター※ DVDクアドリロジーBOX(ターミネーター1/2/3/4セット4枚組)2009/11/20発売 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより発売。
- ターミネーター※ 通常版 2010/10/08発売 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより発売。
- ターミネーター※(完全版2枚組)(初回生産限定)2012/03/16 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより発売。
Blu-ray disc編集
- ターミネーター※ 通常版(初回仕様有り)20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより2012/12/19に発売。
- ターミネーター※【Amazon.co.jp限定】ターミネーター スチールブック仕様ブルーレイ(初回生産限定)20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより2012/12/19に発売。
- ターミネーター ※ スペシャル・ブルーレイBOX(「ターミネーター」/「プレデター」/「コマンドー」の3作品を収録している。3枚組)(初回生産限定)20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより2012/12/19に発売。
- ターミネーター〈日本語吹替完全版〉コレクターズ・ブルーレイボックス 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより2015/6/24に発売。
ゲーム作品編集
- ザ・ターミネーター(Super Nintendo Entertainment System)
- 日本国外のみで発売されたゲーム。左・右スクロール型のアクションゲーム。カーチェイスステージなどもある。難易度が高く、SNESのソフトでありながらコンティニューやセーブ等もない。
- ザ・ターミネーター(メガCD)
- 日本国外で発売されたメガCD版。ヴァージン・インタラクティブ制作。
- 未来編、敵基地内、現代編とターミネーターの舞台となったシーンを舞台とする2Dアクション。メガCDを活かした映画ムービーの導入やトミー・タラリコ作曲のBGMが特徴。
- モータルコンバット11
- 2019年10月8日に『モータルコンバット11』にてT-800がDLCキャラとして登場。ターミネータージェニシスの姿で登場する[16]。
このほか、SUNSOFTがライセンスを取得し、ファミリーコンピュータ/Nintendo Entertainment System向けアクションゲームを開発。1989年にPV映像を正式発表していたが、原作のストーリーに沿っていないことからライセンスが取り消された。このソフトはキャラクターや設定を変更し、翌年、『ラフワールド』(Journey to Silius)として世に出された[17]。
関連書編集
- 『ターミネーター』(講談社X文庫)R・フレイクス、W・H・ウィッシャー訳 吉岡平 1984年
- 『ターミネーターの秘密』 HOLLYWOOD見聞会 データハウス 1993年 ISBN 4887181833
- 『『ターミネーター』解剖』 ショーン・フレンチ 矢口誠訳 扶桑社 2003年 ISBN 9784594041007
また、他にはダーク・ホース社出版の『エイリアンVSプレデターVSターミネーター』のコミックがある。
脚注編集
- ^ ターミネーターの上映スケジュール・映画情報|映画の時間
- ^ a b c “The Terminator (1984)”. Box Office Mojo. 2010年1月4日閲覧。
- ^ 「キネマ旬報」2016年3月下旬号 109頁
- ^ テレビ東京版の吹き替えでは警部補になっている。
- ^ 今回の注目作:「プレデター」
- ^ “‘Terminator 2: Judgement Day’ Turns 25: 25 Things You Never Knew About The Film”. The Hollywood news. (2016年7月5日) 2019年6月27日閲覧。
- ^ “Terminator Franchise: An Analysis”. Medium (2019年8月15日). 2019年8月21日閲覧。
- ^ “Franchise Fred Interview: David Ellison and Dana Goldberg on Terminator: Genisys”. Nerd Report (2015年6月29日). 2019年8月21日閲覧。
- ^ “ROTTEN TOMATOES”. Variety (2020年8月3日). 2020年8月3日閲覧。
- ^ “IMDB”. Variety (2020年8月3日). 2020年8月3日閲覧。
- ^ “METACRITIC”. Variety (2020年8月3日). 2020年8月3日閲覧。
- ^ 株式会社スティングレイ、allcinema、1985年 第13回 アボリアッツ・ファンタスティック映画祭。2020年2月1日閲覧。
- ^ 『ターミネーター2』のT-800に関しては、ジョンが人間に関する事を教えたり、一緒に遊んだりする様子を見て次第に信用していき、別れの際には握手を交わしており、このT-800が命の尊厳や、悲しみの感情を理解した事に関して、彼等が理解出来たのなら、きっと私達にだって理解できるはずと言う語りをラストのシーンにて発言している。
- ^ “5月25日が「ターミネーターの日」に認定!シュワちゃんもご満悦”. シネマトゥデイ (2015年5月8日). 2015年5月8日閲覧。
- ^ “YASKAWA NEWS No.267 (PDF)”. 安川電機. 2017年11月3日閲覧。
- ^ “『モータルコンバット11』にターミネーターことT-800、バットマンのジョーカーがDLC参戦”. Engadget 日本版. (2019年8月22日) 2020年5月15日閲覧。
- ^ “発売されなかったファミコン版『ターミネーター』のプロモ映像が発掘! 後に『ラフワールド』になった作品”. Game*Spark. (2019年7月9日) 2020年5月15日閲覧。
関連項目編集
外部リンク編集
- ターミネーター - allcinema
- ターミネーター - KINENOTE
- ターミネーター - Movie Walker
- ターミネーター - 映画.com
- The Terminator - オールムービー(英語)
- The Terminator - インターネット・ムービー・データベース(英語)