ダイエット騒動』(原題:They're Not Your Husband)は、アメリカ小説家レイモンド・カーヴァー短編小説

概要 編集

『シカゴ・レビュー』24・No.4号(1972年)に掲載された。カーヴァーの最初の短編集である『頼むから静かにしてくれ』(マグロー・ヒル社、1976年3月9日[1])に収録。生前に出版された精選作品集『Where I'm Calling From: New and Selected Stories』(アトランティック・マンスリー・プレス、1988年5月)にも収録された。

日本語版は村上春樹が独自に編纂した単行本『ささやかだけれど、役にたつこと』(中央公論社、1989年4月20日)が初出。『THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER 1 頼むから静かにしてくれ』(同社、1991年2月20日)に収録された。ここまでの邦題は「ダイエット騒動」だったが、『村上春樹翻訳ライブラリー 頼むから静かにしてくれ I』(中央公論新社、2006年1月10日)収録時に原題どおりの「そいつらはお前の亭主じゃない」に戻された。

ボブ・エーデルマンの写真集『Carver Country: The World of Raymond Carver』(チャールズ・スクリブナーズ・サンズ、1990年9月7日)には、本作品の一節とともにカリフォルニア州アーケイタダイナーの写真が収められている[2]

映画監督のロバート・アルトマンはカーヴァーの9つの短編と1編の詩をもとに『ショート・カッツ』(1993年)を作るが、本作品もその中のひとつに選ばれている。

あらすじ 編集

アール・オーバーはセールスマンだったが、現在は求職中である。妻のドリーンは町はずれにある24時間営業のコーヒーショップで夜番のウェイトレスをやっていた。アールは妻が働いているところを見てみたくなり、ある夜彼女の店を訪れた。

カウンターのアールの隣の席に二人のサラリーマン風の男が座った。片方の男がドリーンを指してもう一人に言った。「おい、あのケツ見てみなよ。凄え代物だと思わない?」

もう一人の男は笑う。「おい、よしてくれよ」

ドリーンがアイスクリームをすくい取るために身を屈めると、白いスカートが脚の上の方までまくれあがった。腿は皺がよって、血色が悪かった。次の日の朝、アールはドリーンにダイエットをすすめる。そして毎朝彼はドリーンと一緒にバスルームへ行って、彼女が体重計に乗るのを待った。

脚注 編集

  1. ^ キャロル・スクレナカ 『レイモンド・カーヴァー 作家としての人生』中央公論新社、2013年7月、星野真理訳、436頁。
  2. ^ 『カーヴァー・カントリー』中央公論社、1994年10月7日、村上春樹訳、70-71頁。