ダイハツ・シャルマン
シャルマン(Charmant)はかつてダイハツ工業が生産・販売していた普通乗用車である。販売当時、同社のフラグシップモデルであった。
概要編集
プラットフォームやエンジン、足回りを親会社であるトヨタ自動車のカローラをベースにしている。カローラよりも高級感を打ち出したことから、初代モデルはそこそこの売れ行きを見せた。ただし、カローラほど頻繁にモデルチェンジを行わなかったことから、モデル末期の陳腐化は著しく、営業面で成功したとは言いがたい。1987年7月をもって生産を終了した。
ダイハツが『土曜ワイド劇場』(テレビ朝日系列)のスポンサーだった関係で、特に『江戸川乱歩の美女シリーズ』では天知茂演ずる明智小五郎の愛車として劇中活躍した(他にマツダのルーチェやカペラも用いられている)。
初代 A10/20/30/40型(1974年-1981年)編集
ダイハツ・シャルマン(初代) A10/20/30/40型 | |
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中期型 5ドアワゴン輸出仕様 後期型 1300ラグジュアリーカスタム | |
製造国 | 日本 |
販売期間 | 1974年11月 - 1981年10月 |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ |
4ドアノッチバックセダン 5ドアライトバン 5ドアステーションワゴン (輸出仕様のみ) |
エンジン |
3K型1.2L T型1.4L 4K-U型1.3L T-J型1.6L |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 68ps/6,000rpm |
最大トルク | 9.5kg·m/3,800rpm |
変速機 | 4速MT |
サスペンション |
前:ストラット 後:リーフリジット |
全長 | 4,005mm |
全幅 | 1,520mm |
全高 | 1,370mm |
ホイールベース | 2,335mm |
車両重量 | 885kg |
データモデル | 前期型 |
販売終了前月までの新車登録台数の累計 | 12万712台[1] |
先代 | ダイハツ・コンソルテ4ドアセダン |
-自動車のスペック表- |
- 1974年11月 - 発売。ダイハツ初の上級車としてデビュー。同年12月にバンを発売。プラットフォームはE20型カローラをベースにしていた。フロントドアアウターパネルはカローラ(4ドアセダン、5ドアバン(輸出仕様は5ドアステーションワゴン))と全く共通。ヘッドランプはカローラの丸型2灯に対してシャルマンは丸型4灯を採用、高級感をアピールしている。デビュー当初は1.2L(トヨタ製3K型OHV)、1.4L(同T型OHV)のエンジンを搭載していた。1969年にコンパーノバンが生産中止以来久々に復活したダイハツのライトバンの設定もあった。こちらもエンジンは1.2L(トヨタ製3K-J型OHV)と1.4L(同T-J型OHV)が用意される。シャルマンとしては最初で最後の5ドアライトバン(ただし輸出仕様はステーションワゴン)でもあった。
- 1975年11月 - 一部改良。セダン全車が昭和50年度排出ガス規制に適合。
- 1976年11月 - マイナーチェンジでフロントグリルが変更される/スポーツカスタムとグランドカスタムを追加と同時にAT車がカタログ落ちする。セダン全車が昭和51年度排出ガス規制に適合。
- 1978年3月 - マイナーチェンジでフロントノーズをスラント化と同時にグランドカスタムの後席には肘掛が標準装備。エンジンを1.2L、1.4Lからそれぞれ1.3L(トヨタ製4K-U型(セダン用)/4K-J型(バン用)OHV)、1.6L(同2T-U型(セダン用)/2T-J型(バン用)OHV)へとスイッチ。同年7月、1.6L車にATが復活。これに伴いセダン全車が昭和53年度排出ガス規制に適合。
2代目 A35/A55型(1981年-1988年)編集
ダイハツ・シャルマン(2代目) A35/A55型 | |
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フロント(A35型・輸出仕様) リア(A35型・輸出仕様) | |
製造国 | 日本 |
販売期間 | 1981年10月 - 1988年3月 |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 4ドアノッチバックセダン |
エンジン |
4K-U型1.3L 3A-U型1.5L |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 74ps/5,600rpm |
最大トルク | 10.5kg·m/3,600rpm |
変速機 | 4速MT/5速MT/3速AT |
サスペンション |
前:ストラット式コイルサスペンション 後:4リンクコイル式サスペンション |
全長 | 4,200mm |
全幅 | 1,625mm |
全高 | 1,380mm |
ホイールベース | 2,400mm |
車両重量 | 905kg |
新車登録台数の累計 | 2万5704台[2] |
後継 | ダイハツ・アプローズ |
-自動車のスペック表- |
- 1981年10月 - フルモデルチェンジでひとまわり大きくなる。型式は1.3L車がA35型、1.5L車がA55型となる。外板プレスとインテリアはダイハツが独自にデザインし、外観は6ライトウインドを採用、エンジンとトランスミッションは先代同様にカローラの流用。プラットフォームはE70型カローラをベースにしていた。初代にあった5ドアのライトバン(輸出仕様はステーションワゴン)は廃止された。1.3L(トヨタ製4K-U型OHV)、1.5L(同3A-U型SOHC)のエンジンを搭載していた。ステアリング型式は1.3Lがラック・アンド・ピニオン、1.5Lがリサーキュレーティング・ボール。このクラスでは異例の高級感ある内外装が特徴で、最上級グレードとしてわし座の恒星・アルタイルを英語読みした「アルティア」が設定されていた。
- 1983年8月 - マイナーチェンジで1.5Lはドアミラーが採用されフロントグリルの変更と同時にメーターは水平指針型に、ステアリング形式はラック&ピニオンにそれぞれ変更、最上級グレード車は「アルティアL」に改称と同時にカラード大型バンパーと4速ATを採用/60扁平タイヤ&14インチアルミをオプション化。
- 1984年9月 - 一部改良。1.5Lエンジン車は全車バンパーを大型化。
- 1987年7月 - ベースとなったカローラセダンがFF化された後もシャルマンはFR方式で生産されたものの、同年にFR方式で生産されていたカローラレビン/バンがFF方式の新型にフルモデルチェンジされ、ダイハツ向けへのシャシーの供給ができなくなったため、結局は生産終了。それ以降は在庫対応分のみの販売となる。
- 1988年3月 - 販売終了。これにより、1989年3月にシャレードソシアル、および同年7月に事実上の後継車であるアプローズがデビューするまで1年間、ダイハツからセダンのラインナップがなくなる。
シャルマンのモータースポーツ活動(2012年-2014年)編集
A35型編集
- 2012年にRSワタナベのサポートを受けたD1GP(全日本プロドリフト選手権)ドライバー・岩井照宣の2012年参戦車輌に1983年型のダイハツシャルマンが選定された。
- A30系シャルマンでは、初となるレース活動である。尚、ダイハツ本社からの技術供与やスポンサードは、一切受けていない。
- 4ドアセダンをベースに車体へパイプフレームのロールケージを組み、最大出力400PSに達するSR20DETへ換装された。
- ホイールは、メインスポンサーでもあるRSワタナベ製を使用している。
- チームとスポンサーの意向に由りシャルマンのレース活動が2014年で終了し、2015年よりユーノス・ロードスター(NA6CE)へ車種変更された。
- 出場した履歴(Team H.D.O QUICK STYLE & RS WATANABE)
- 2012年 D1 GRAND PRIX シリーズ ※エキシビジョンを含む。
- 2013年 D1 GRAND PRIX シリーズ ※エキシビジョンを含む。
- 2014年 D1 GRAND PRIX シリーズ ※エキシビジョンを含む。
A55型編集
※D1GP・高田良二の参戦車両として登場
車名の由来編集
- シャルマンは、フランス語で「素敵な」「魅力的な」を意味する。
脚注編集
注釈編集
出典編集
関連項目編集
- 全日本プロドリフト選手権
- ダイハツ工業
- ダイハツ・アプローズ
- トヨタ・カローラ
- 小川知子 (女優)- 初代シャルマン・イメージキャラクター
- 立木義浩 - 2代目シャルマン・イメージキャラクター
- クレイジーケンバンド - 横山剣が「ダサかっこいい」と絶賛し所有。シャルマンとリベルタビラを合わせた『シャリマール』というトリビュート曲がある。
- テレビCMのBGMにはポール・モーリアの『シャレードの休日/PopHorn』が効果的に使用された。