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チオフェノール
構造式 チオフェノール
IUPAC名Thiophenol
別名ベンゼンチオール
分子式C6H6S
示性式C6H5SH
分子量110.19
CAS登録番号108-98-5
形状無色液体
密度1.0766 g/cm3, 液体
融点−15 °C
沸点169 °C
SMILESSc1ccccc1
出典Kis-net

チオフェノール芳香族化合物で、ベンゼン環上の1つの水素メルカプト基で置換した構造を持つ。他のチオール類と同じく独特の臭気を持つ。フェノール酸素原子が硫黄原子に置換した構造である。チオという接頭辞は酸素原子が硫黄原子に置換した構造をもつ化合物群に対して用いられる。

誘導体として、メルチオラートなどが挙げられる。

目次

合成法編集

様々な合成法が存在するが、研究室レベルでは購入して済ませることが多い。

性質編集

酸性度編集

フェノールと比較して、かなり大きい酸性を示す。この傾向は硫化水素 (H2S) と (H2O) と、またチオールアルコールとを比較したときに一般的に見られる傾向と同じである。水酸化ナトリウムなどの強い塩基やナトリウム金属などで処理すると、ナトリウム塩であるナトリウムベンゼンチオラートが生成する。このような塩は容易に酸化される。

 

アルキル化編集

ベンゼンチオラートは高い求核性を持つため、アルキル化されやすい[2]。例えば、塩基存在下でチオフェノールにヨウ化メチルを反応させると、チオエーテルであるメチルフェニルスルフィドが生成する。

 

このような反応はほとんど不可逆である。

チオフェノールはα,β-不飽和カルボニルにも付加する。

酸化編集

ベンゼンチオラートが酸化されると、ジフェニルジスルフィドになる。この反応はチオールに特徴的であり、フェノールには見られない。

 

ジスルフィド水素化ホウ素ナトリウムによる還元と続くプロトン化によりチオールへと戻すことができる。この酸化還元反応はチオール水素原子を水素源として用いることもできる。

塩素化編集

チオフェノールと塩素Cl2を反応させることで、フェニルスルフェニルクロリドが黒赤色の液体として得られる(沸点41–42 ℃、1.5 mmHg)[3]

錯形成編集

チオラートは金属イオンと錯体を生成し、そのいくつかは高分子である。例えば銅チオラートは塩化銅(I)とチオフェノールを反応させることで得られる[4]

安全性編集

チオフェノールは高い毒性を持つ。酸及び熱により分解しSOxが生成することが知られている。日本では毒物及び劇物取締法により毒物に指定されている。

出典編集

  1. ^ Adams, R.; C. S. Marvel, C. S. "Thiophenol" Organic Syntheses, Coll. Vol. 1, p. 504.
  2. ^ Campopiano, O. "thiophenol" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Ed: L. Paquette) 2004, J. Wiley & Sons, New York. DOI: 10.1002/047084289.
  3. ^ Barrett, A. G. M.; Dhanak, D.; Graboski, G. G.; Taylor, S. J. "(Phenylthio)nitromethane" Organic Syntheses, Coll. Vol. 8, p. 550 (1993).
  4. ^ Posner, G. H.; Whitten, C. E. "Secondary and Tertiary Alkyl Ketones from Carboxylic Acid Chlorides and Lithium Phenylthio(alkyl)cuprate Reagents: tert-Butyl Phenyl Ketone" Organic Syntheses, Coll. Vol. 6, p. 248.