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ACMチューリング賞(ACM A.M. Turing Award)は、計算機科学分野で革新的な功績を残した人物に年に1度、ACMから贈られる賞であり世界最高の権威を持つ賞とされている[2]。その功績は長く影響が続くもので、コンピュータ業界で技術的にも重要なものとされている[3]。計算機科学におけるノーベル賞と広く認識されており[4]、事実、受賞者にはハーバート・サイモンなどノーベル賞受賞者が存在している。

ACMチューリング賞
受賞対象 計算機科学における特筆すべき貢献
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
授与者 Association for Computing Machinery (ACM)
報酬 100万USドル[1]
初回 1966年
最新回 2018年
公式サイト http://amturing.acm.org/

「チューリング」の名は、現代計算機科学の父の1人とされる[5]アラン・チューリングの名にちなむ。2014年11月3日Googleの後援により受賞者には100万ドルが贈られると発表された[1]

1966年の最初の受賞者はカーネギーメロン大学アラン・パリスだった。初の女性受賞者は、2006年フランシス・E・アレンIBM)である[6][7][8]2008年には再び女性であるバーバラ・リスコフが受賞している。

受賞者編集

年度 受賞者名 写真 受賞理由
1966 アラン・パリス プログラミング技法とコンパイラ構築の分野への貢献に対して[9]
1967 モーリス・ウィルクス   ウォルクスは世界初のプログラム内蔵方式のコンピュータであるEDSACの開発者として最もよく知られている。1949年に作られた時、EDSACは水銀遅延記憶装置を使用していた。彼はさらにWheelerとGillとともに1951年の"Preparation of Programs for Electronic Digital Computers"の著者としても知られており、その中でライブラリについて効果的に紹介した。[10]
1968 リチャード・ハミング 数値解析自動プログラミング誤り検出と誤り訂正符号における業績に対して[11]
1969 マービン・ミンスキー   人工知能分野の創造、形成、促進、発展における中心的な役割に対して[12]
1970 ジェームズ・H・ウィルキンソン 高速なデジタルコンピュータを利用した数値解析に関する研究と線形代数と誤差解析の処理に関する深い洞察に対して[13]
1971 ジョン・マッカーシー   McCarthy's lecture "The Present State of Research on Artificial Intelligence" is a topic that covers the area in which he has achieved considerable recognition for his work.[14]
1972 エドガー・ダイクストラ   Edsger Dijkstra was a principal contributor in the late 1950s to the development of the ALGOL, a high level programming language which has become a model of clarity and mathematical rigor. He is one of the principal proponents of the science and art of programming languages in general, and has greatly contributed to our understanding of their structure, representation, and implementation. His fifteen years of publications extend from theoretical articles on graph theory to basic manuals, expository texts, and philosophical contemplations in the field of programming languages.[15]
1973 チャールズ・バックマン   データベース技術への多大なる貢献に対して[16]
1974 ドナルド・クヌース   For his major contributions to the analysis of algorithms and the design of programming languages, and in particular for his contributions to "The Art of Computer Programming" through his well-known books in a continuous series by this title.[17]
1975 アレン・ニューウェル In joint scientific efforts extending over twenty years, initially in collaboration with J. C. Shaw at the RAND Corporation, and subsequently with numerous faculty and student colleagues at Carnegie Mellon University, they have made basic contributions to artificial intelligence, the psychology of human cognition, and list processing.[18]
ハーバート・サイモン  
1976 マイケル・ラビン   彼らの共作論文 "Finite Automata and Their Decision Problem"(有限状態機械とその決定性問題)に対して[19] その論文は非決定性マシンという非常に貴重な概念を導入した。この古典的論文はこの分野の後続の者たちに絶えずインスピレーションを与えてくれた[20][21]
デイナ・スコット  
1977 ジョン・バッカス   特にFORTRANの研究によって行われた、実用的な高水準プログラミングシステムの設計への深く、影響力のある恒久的貢献に対して。そして、プログラミング言語の仕様記述の形式的手法についての強い影響力のある出版に対して[22]
1978 ロバート・フロイド For having a clear influence on methodologies for the creation of efficient and reliable software, and for helping to found the following important subfields of computer science: the theory of parsing, the semantics of programming languages, automatic program verification, automatic program synthesis, and analysis of algorithms.[23]
1979 ケネス・アイバーソン APLに代表される数学的記法とプログラミング言語理論への貢献に対して[24]
1980 アントニー・ホーア   プログラミング言語の定義と設計に対する基礎的な貢献に対して[25]
1981 エドガー・F・コッド データベース管理システム、特に関係データベースの理論と実用における基本的貢献に対して[26]
1982 スティーブン・クック   重要かつ意義深い方法で我々の計算複雑性への理解を高めさせた貢献に対して[27]
1983 ケン・トンプソン   汎用オペレーティングシステム理論の発展への貢献、特にUNIXオペレーティングシステムの実装に対して[28][29]
デニス・リッチー  
1984 ニクラウス・ヴィルト   EULER, ALGOL-W, MODULA、Pascalといった革新的なコンピュータ言語の開発に対して
1985 リチャード・カープ   ネットワークフローや組合せ最適化問題に関する効率的アルゴリズムの開発、アルゴリズムの効率を判断する基準となる多項式時間の識別など計算理論に関する長年の貢献と、特にNP完全理論への貢献に対して。理論上でも実際上でも与えられた問題の計算複雑度を識別してNP完全かどうかを証明するための方法論はカープが導入し、今日では一般化している。
1986 ジョン・ホップクロフト   アルゴリズムデータ構造の設計と分析における基本的貢献に対して
ロバート・タージャン  
1987 ジョン・コック コンパイラの開発と理論、大規模システムのアーキテクチャ、RISCの開発における多大なる貢献に対して
1988 アイバン・サザランド   Sketchpadに始まり、その後も続いた、コンピュータグラフィックスにおける先駆的で先見性のある貢献に対して
1989 ウィリアム・カハン   数値解析への基礎的貢献に対して。浮動小数点計算における最前線の専門家であり、カハンは「数値計算にとって安全な世界を作ること」に専念した。
1990 フェルナンド・J・コルバト   CTSSMulticsといった汎用で大規模なタイムシェアリング・リソース共有型コンピュータシステムの概念を構築し、開発を導いた先駆的業績に対して
1991 ロビン・ミルナー For three distinct and complete achievements: 1) LCF, the mechanization of Scott's Logic of Computable Functions, probably the first theoretically based yet practical tool for machine assisted proof construction; 2) ML, the first language to include polymorphic type inference together with a type-safe exception-handling mechanism; 3) CCS, a general theory of concurrency. In addition, he formulated and strongly advanced full abstraction, the study of the relationship between operational and denotational semantics.[30]
1992 バトラー・ランプソン   分散型のパーソナルコンピューティングの環境の発展とそれを実装するための技術(ワークステーションネットワークオペレーティングシステム、プログラミングシステム、ディスプレイセキュリティ文書作成)への貢献に対して。
1993 ユリス・ハルトマニス   計算複雑性理論の分野を確立した独創的な論文に対して[31]
リチャード・スターンズ  
1994 エドワード・ファイゲンバウム   先駆的な大規模人工知能システムの設計と開発および、人工知能技術の実用性と潜在的価値を広く知らしめたことに対して[32]
ラジ・レディ  
1995 マヌエル・ブラム   計算複雑性理論の基礎的研究とその暗号およびプログラム検証への応用に関する貢献に対して[33]
1996 アミール・プヌーリ   計算機科学に時相論理を導入した独創的業績とプログラムやシステムの検証への多大な貢献に対して[34]
1997 ダグラス・エンゲルバート   対話型コンピューティングの未来を切り開き、それを現実化するのに鍵となる技術を発明したことに対して[35]
1998 ジム・グレイ   データベースおよびトランザクション処理に関する独創的な研究とシステム実装についての技術的リーダーシップに対して
1999 フレデリック・ブルックス   コンピュータ・アーキテクチャオペレーティングシステムソフトウェア工学に対する貢献に対して
2000 アンドリュー・チーチー・ヤオ   計算複雑性理論に基づく擬似乱数暗号理論通信複雑性などの計算理論への基本的貢献に対して
2001 オルヨハン・ダール プログラミング言語 Simula I と Simula 67 の設計を通してオブジェクト指向プログラミングの基本的なアイデアを生み出したことに対して
クリステン・ニガード  
2002 ロナルド・リベスト   公開鍵暗号の実用化(RSA暗号)における優れた貢献に対して
アディ・シャミア  
レオナルド・エーデルマン  
2003 アラン・ケイ   Smalltalkの開発チームを指導し、現代のオブジェクト指向プログラミングの元となる多くの考えを開拓したことに対して、また、パーソナルコンピューティングへの基礎的貢献に対して
2004 ヴィントン・サーフ   インターネットの基本通信プロトコルであるTCP/IPの開発と実装を含むインターネットワーキングにおける先駆的貢献とネットワーク全般でのリーダーシップに対して
ロバート・カーン  
2005 ピーター・ナウア   For fundamental contributions to programming language design and the definition of ALGOL 60, to compiler design, and to the art and practice of computer programming.
2006 フランシス・E・アレン   For pioneering contributions to the theory and practice of optimizing compiler techniques that laid the foundation for modern optimizing compilers and automatic parallel execution.
2007 エドムンド・クラーク   ハードウェア・ソフトウェア産業において広く採用されているモデル検査を極めて効果的な検査技術に発達させた役割に対して[36]
アレン・エマーソン
ジョセフ・シファキス  
2008 バーバラ・リスコフ   プログラミング言語とシステム開発の実用的で理論的な基礎(特にデータ抽象化フォールトトレランス分散コンピューティング)への貢献に対して
2009 チャック・サッカー   For his pioneering design and realization of the Xerox Alto, the first modern personal computer, and in addition for his contributions to the Ethernet and the Tablet PC.
2010 レスリー・ヴァリアント   For transformative contributions to the theory of computation, including the theory of probably approximately correct (PAC) learning, the complexity of enumeration and of algebraic computation, and the theory of parallel and distributed computing.
2011 ジューディア・パール[37]   確率的および因果的推論の算法を発展させたことによる人工知能への基礎的貢献に対して[38]
2012 シルビオ・ミカリ英語版   For transformative work that laid the complexity-theoretic foundations for the science of cryptography and in the process pioneered new methods for efficient verification of mathematical proofs in complexity theory.[39]
シャフィ・ゴールドワッサー  
2013 レスリー・ランポート   For fundamental contributions to the theory and practice of distributed and concurrent systems, notably the invention of concepts such as causality and logical clocks, safety and liveness, replicated state machines, and sequential consistency.[40][41]
2014 マイケル・ストーンブレーカー   現代のデータベースシステムの根底にある概念と実用に対する基礎的貢献に対して[42]
2015 マーティン・ヘルマン   For fundamental contributions to modern cryptography. Diffie and Hellman's groundbreaking 1976 paper, "New Directions in Cryptography,"[43] introduced the ideas of public-key cryptography and digital signatures, which are the foundation for most regularly-used security protocols on the Internet today.[44]
ホイットフィールド・ディフィー  
2016 ティム・バーナーズ=リー   World Wide Web、初のブラウザ、そしてウェブが今の規模となるための基本的なプロトコルとアルゴリズムを発明した[45]
2017 ジョン・ヘネシー   マイクロプロセッサ産業の衝撃に耐えられるように、組織的で定量的な方法を用いてコンピュータ・アーキテクチャの設計と評価を行ったことに対して[46]
デイビッド・パターソン  
2018 ヨシュア・ベンジオ英語版   ディープニューラルネットワークをコンピューティングにおける重要な要素にした概念的および技術的な躍進に対して[47]
ジェフリー・ヒントン  
ヤン・ルカン英語版  

受賞者は以下の通り:

  1. 1966年 アラン・パリス (A. J. Perlis)
  2. 1967年 モーリス・ウィルクス (Maurice V. Wilkes)
  3. 1968年 リチャード・ハミング(Richard Hamming)
  4. 1969年 マービン・ミンスキー (Marvin Minsky)
  5. 1970年 ジェームズ・H・ウィルキンソン (J. H. Wilkinson)
  6. 1971年 ジョン・マッカーシー (John McCarthy)
  7. 1972年 エドガー・ダイクストラ (E. W. Dijkstra)
  8. 1973年 チャールズ・バックマン (Charles W. Bachman)
  9. 1974年 ドナルド・クヌース (Donald E. Knuth)
  10. 1975年 アレン・ニューウェル (Allen Newell)、ハーバート・サイモン (Herbert A. Simon)
  11. 1976年 マイケル・ラビン (Michael O. Rabin)、デイナ・スコット (Dana S. Scott)
  12. 1977年 ジョン・バッカス (John Backus)
  13. 1978年 ロバート・フロイド (Robert W. Floyd)
  14. 1979年 ケネス・アイバーソン (Kenneth E. Iverson)
  15. 1980年 アントニー・ホーア (C. Antony R. Hoare)
  16. 1981年 エドガー・F・コッド (Edgar F. Codd)
  17. 1982年 スティーブン・クック (Stephen A. Cook)
  18. 1983年 ケン・トンプソン (Ken Thompson)、デニス・リッチー (Dennis M. Ritchie)
  19. 1984年 ニクラウス・ヴィルト (Niklaus Wirth)
  20. 1985年 リチャード・カープ (Richard M. Karp)
  21. 1986年 ジョン・ホップクロフト (John Hopcroft)、ロバート・タージャン (Robert Tarjan)
  22. 1987年 ジョン・コック (John Cocke)
  23. 1988年 アイバン・サザランド (Ivan Sutherland)
  24. 1989年 ウィリアム・カハンカーハン) (William (Velvel) Kahan)
  25. 1990年 フェルナンド・J・コルバト (Fernando J. Corbat)
  26. 1991年 ロビン・ミルナー (Robin Milner)
  27. 1992年 バトラー・ランプソン (Butler W. Lampson)
  28. 1993年 ユリス・ハルトマニス (Juris Hartmanis)、リチャード・スターンズ (Richard E. Stearns)
  29. 1994年 エドワード・ファイゲンバウム (Edward Feigenbaum)、ラジ・レディ (Raj Reddy)
  30. 1995年 マヌエル・ブラム (Manuel Blum)
  31. 1996年 アミール・プヌーリ (Amir Pnueli)
  32. 1997年 ダグラス・エンゲルバート (Douglas Engelbart)
  33. 1998年 ジム・グレイ (James Gray)
  34. 1999年 フレデリック・ブルックス (Frederick P. Brooks, Jr.)
  35. 2000年 アンドリュー・チーチー・ヤオ (Andrew Chi-Chih Yao, 姚期智)
  36. 2001年 オルヨハン・ダール (Ole-Johan Dahl)、クリステン・ニガード (Kristen Nygaard)
  37. 2002年 ロナルド・リベスト (Ronald L. Rivest)、アディ・シャミア (Adi Shamir)、レオナルド・エーデルマン (Leonard M. Adleman)
  38. 2003年 アラン・ケイ (Alan Kay)
  39. 2004年 ロバート・カーン (Robert E. Kahn)、ヴィントン・サーフ (Vinton G. Cerf)
  40. 2005年 ピーター・ナウア (Peter Naur)
  41. 2006年 フランシス・E・アレン (Frances E. Allen)
  42. 2007年 エドムンド・クラーク (Edmund M Clarke), アレン・エマーソン (E Allen Emerson), ジョセフ・シファキス (Joseph Sifakis)[48]
  43. 2008年 バーバラ・リスコフ (Barbara Liskov)
  44. 2009年 チャック・サッカー (Charles P. Thacker)
  45. 2010年 レスリー・ヴァリアント (Leslie G. Valiant)
  46. 2011年 ジューディア・パール (Judea Pearl)[49]
  47. 2012年 シルビオ・ミカリ英語版 (Silvio Micali), シャフィ・ゴールドワッサー (Shafrira Goldwasser)
  48. 2013年 レスリー・ランポート (Leslie Lamport)
  49. 2014年 マイケル・ストーンブレーカー (Micheal Stonebracker)
  50. 2015年 マーティン・ヘルマン(Martin Edward Hellman)、ホイットフィールド・ディフィー(Bailey Whitfield Diffie)
  51. 2016年 ティム・バーナーズ=リー(Sir Timothy John Berners-Lee)[50]
  52. 2017年 ジョン・ヘネシー(John LeRoy Hennessy)、デイビッド・パターソン(David A. Patterson)[51]
  53. 2018年 ヨシュア・ベンジオ英語版ジェフリー・ヒントンヤン・ルカン英語版

脚注編集

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外部リンク編集