チンランド防衛隊
チンランド防衛隊 (チンランドぼうえいたい、ビルマ語: ချင်းဒေသကာကွယ်ရေးတပ်ဖွဲ့、英語: Chinland Defense Force、略称: CDF)は、2021年ミャンマークーデター後に結成された武装勢力である。
| Chinland Defense Force | |
|---|---|
| ချင်းဒေသကာကွယ်ရေးတပ်ဖွဲ့ | |
 チンランド防衛隊の旗 | |
| 活動目的 |
フェデラル連邦主義 民主主義 少数民族の権利 |
| 構成団体 |
|
| 活動地域 |
チン州 マグウェ地方域 ザガイン地方域 インド・ミャンマー国境 |
| 関連勢力 | |
| 敵対勢力 |
敵対勢力  ゾミ革命軍[4] |
| 戦闘 | |
2021年9月、16のCDFとチン民族軍からなるチンランド共同防衛委員会 (Chinland Joint Defence Committee: CJDC) が結成された。後にCDFシインが加わり、CJDC傘下のCDF組織は17となり、その総兵力は約1万5,000人とされる。
歴史
編集2021年2月のクーデター後、軍事政権に対して多くの抗議行動が起きた。反クーデター派は、夜間に鍋を叩いたり、オンラインやオフラインでストライキを行うなどして平和的に抗議した[5]。これに対し、軍事政権は、抗議活動を鎮圧するために暴力を用い、市民を逮捕したり、家屋に放火するなど弾圧をしたが[6]、チン州の既存の武装勢力・チン民族軍（CNA）やゾミ革命軍は、当初行動を起こさなかった。そこでこの状況に飽きたらなかった住民の間で、「チンランド防衛隊」を名乗る多数の武装勢力が出現し、2021年4月4日に州内の小規模な武装勢力が集まって、正式にチンランド防衛隊（CDF）が結成された[7][8]。しかしCDFは地域による独立性が高く、統一した指導部は存在せず、小規模な武装勢力の集合体という性格である[9]。
2021年8月から10月にかけて、多くの郡区で国軍とCDFの間で少なくとも40件の衝突が発生したと報告されている。CJDCは、この衝突で少なくとも1,029人の国軍兵士が死亡し、2021年には自軍の兵士58人が失われたと主張した[10]。チン族には狩猟文化が根付いており、伝統的なフリントロック式狩猟用ライフル銃を容易に入手でき、地元の地理に関する十分な知識を持っていたことが勝因であった[9]。
内部分裂
編集2023年12月、チン民族戦線主導でチンランド評議会が設立されたが、CDFミンダッ、チン民族防衛隊、PDFゾーランドは参加せず、チンランド評議会がチン民族戦線や国民民主連盟によって支配されていると非難した[11]。CJDCはこれらCDF内部の対立から同月に解散した。PDFゾーランド、CDFミンダッ、チン民族防衛隊はチン兄弟同盟を結成した[12]。後にマラランド防衛隊、CDFカンペレッ、CDFマトゥピ第1旅団もチン兄弟同盟に加わった[12][13]。なお、CDFマトゥピ第2旅団はチンランド評議会側についている。
チンランド評議会とチン兄弟同盟の対立は激しさを増し、チン兄弟同盟がチン民族軍に対して侵略しないよう警告する事態となった[14]。
目的
編集兵器
編集CDFはM-16、AK (カラシニコフ)、MA-1、マスケット銃の猟銃など小型の武器を使用している[15][16]。 M-16やAK-47ライフルは海外から密輸されている[17]。
脚注
編集- ^ “CDF-Mindat admits receiving military training and arms from Arakan Army”. BNI. (2022年4月28日). オリジナルの2022年5月4日時点におけるアーカイブ。 2022年5月4日閲覧。
- ^ “Chin National Front Signs Deal with Myanmar's Shadow Govt”. The Irrawaddy (2021年5月29日). 2021年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月30日閲覧。
- ^ “PRA and CDF join forces attack military production factory in Ngape”. Ludunwayoo (2022年3月22日). 2023年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月24日閲覧。
- ^ “Paul Lu: ZRO/ZRA Has Abducted And Killed Our CJDC Members” (英語). Burma News International. 2022年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月28日閲覧。
- ^ “Offline and Online, Protests Are Sweeping Across Asia”. thediplomat.com. 2022年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月24日閲覧。
- ^ “Myanmar Junta Holds Women and Children Hostage in Sagaing”. The Irrawaddy (2022年3月22日). 2022年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月24日閲覧。
- ^ a b “Who are the Chinland Defense Force (CDF), Chin Myanmar”. www.myanmarspeaks.com. 2022年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月23日閲覧。
- ^ Kelly, Meg; Mahtani, Shibani; Lee, Joyce Sohyun. “‘Burn it all down’: How Myanmar’s military razed villages to crush a growing resistance”. Washington Post. オリジナルの2021年12月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “Disquiet on the Western Front: A Divided Resistance in Myanmar’s Chin State | Crisis Group” (英語). www.crisisgroup.org (2025年3月19日). 2025年3月23日閲覧。
- ^ Swe Nyein (2022年1月28日). “Resistance fighters in Chin killed ‘more than 1,000’ junta troops last year”. Myanmar Now. オリジナルの2022年8月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Chinland Council announces formation of new government”. Democratic Voice of Burma. (2024年2月2日). オリジナルの2024年2月5日時点におけるアーカイブ。 2024年3月31日閲覧。
- ^ a b “Kanpetlet Chinland Defense Force joins Chin Brotherhood Alliance”. Burma News International. (2024年3月14日). オリジナルの2024年3月14日時点におけるアーカイブ。 2024年3月31日閲覧。
- ^ “Matupi CDF Brigade 1 Joins Chin Brotherhoods Alliance” (英語). Khonumthung Media. (2024年4月13日)
- ^ Hein Htoo Zan (2024年5月4日). “Chin Alliances Clash Over Territory Liberated From Myanmar Junta” (英語). Irrawaddy. オリジナルの2024年5月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ Stranglo, Sebastian (2021年5月17日). “Myanmar Seizes Western Town After Heated Battle with Civilian Militia”. The Diplomat. オリジナルの2023年4月6日時点におけるアーカイブ。
- ^ “‘Tumee’ rifle is weapon of choice for anti-coup fighters in Myanmar’s Chin state”. youtube.com. RFA (2021年12月21日). 2023年5月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月24日閲覧。
- ^ “Taking Aim at the Tatmadaw: The New Armed Resistance to Myanmar’s Coup”. International Crisis Group (2021年6月28日). 2023年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月31日閲覧。