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d-ツボクラリン(tubocurarine)はアルカロイド系の物質。南米先住民が古くから狩猟などに用いてきたクラーレ(curare)と呼ばれる矢毒のうち、ツヅラフジ科コンドデンドロン属の植物Chondodendron tomentosumが材料のツボクラーレ(壷ではなくチューブTubeの意味)と呼ばれるものから1935年ハロルド・キングにより単離された[1]

d-ツボクラリン
Tubocurarine.svg
Tubocurarine-3D-sticks.png
臨床データ
法的規制
  • banned
投与方法 I.V.
薬物動態データ
血漿タンパク結合 50%
半減期 1-2 Hours
識別
CAS番号
6989-98-6
ATCコード M03AA02 (WHO) M03AA04 (WHO)
PubChem CID: 6000
DrugBank APRD00176
化学的データ
化学式 C37H41N2O6
分子量 609.731 g/mol

ツボクラリンは少量でも傷口から体内に入ると末梢神経と筋の接続部のニコチン受容体においてアセチルコリンと拮抗、興奮伝達を阻害して目・耳・足指(短筋)→四肢の筋→頚筋→呼吸筋の順に骨格筋を麻痺させることにより、呼吸困難を起させて窒息死させる。逆に経口摂取しても排泄がすみやかで毒性を発揮しないため、これを含む矢毒を用いて倒した動物を食べても害が無く、狩猟に用いるには都合が良い。

単離されたものが筋弛緩剤として用いられていたが、2000年に原料の取得困難を理由として医療目的の販売は中止となっている。しかし、薬理学の実験には欠くことができないものである。

性質編集

  • 外観 黒褐色
  • 分子式 C37H42Cl2N2O6
  • 分子量 681.66
  • 比重 1.089
  • 致死量 皮下LD50:640μg/kg

生合成編集

ツボクラリンの生合成は、2つの鏡像異性体テトラヒドロベンジルイソキノリン、特にN-メチル-コクラウリンのラジカルカップリングを含んでいる。N-メチル-コクラウリンのR体およびS体は、ノルコクラウリン合成酵素(NCS)によるドーパミンと4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒドのマンニッヒ様反応によって生成する。ドーパミンと4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒドは共にL-チロシン由来である。アミノ基およびヒドロキシル基のメチル化はS-アデノシルメチオニン(SAM)を用いて行われる[2]

   

脚注編集

  1. ^ King, H. (1935). “330. Curare alkaloids. Part I. Tubocurarine”. J. Chem. Soc.: 1381-1389. doi:10.1039/JR9350001381. 
  2. ^ Dewick, P. M. Medicinal Natural Products; a Biosynthetic Approach. 3rd ed.; John Wiley and Sons Ltd.: 2009.