ツリガネニンジン

植物種

ツリガネニンジン(釣鐘人参、学名: Adenophora triphylla var. japonica )はキキョウ科ツリガネニンジン属多年草

ツリガネニンジン
Adenophora triphylla var. japonica 11.JPG
福島県会津地方 2008年8月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asterdiae
: キキョウ目 Campanulales
: キキョウ科 Campanulaceae
: ツリガネニンジン属
Adenophora
: サイヨウシャジン
A. triphylla
変種 : ツリガネニンジン
var. japonica
学名
Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC.
var. japonica (Regel) H.Hara
シノニム

本文記載

和名
ツリガネニンジン(釣鐘人参)

名称編集

和名ツリガネニンジンの由来は、花が釣鐘形で、根の形がチョウセンニンジンに似るのでこの名がある[1][2]。地方によって別名は、トトキ[1][3]、ツリガネソウ[1]、チョウチンバナ[1]などの方言名でも呼ばれている。アイヌ語名ではムケカシ[4]。中国植物名は、南沙参(なんしゃじん)[1]

分布と生育環境編集

日本北海道本州四国九州のほかに、国外では樺太千島列島に分布する。山野[1]山地草原、林縁や草刈などの管理された河川堤防などに自生する。排水が良く、日当たりの良い所を好む[5]

特徴編集

根は白く肥厚し、花茎の高さは40 – 100 センチメートル (cm) になり、全体に毛がある[5]。根生葉は円心形で花期には枯れてしまう[5]。茎葉は茎に3 – 5枚輪生し、上部は互生する[5]。茎葉の形は長楕円形、卵形、楕円形、披針形と変化が多く[5]、やや厚みがあってつやがない。長さは4 – 8cmで葉縁には鋸歯がある[6]。植物体を切ると白い乳液が出る[5]

花期は8 – 10月で、茎頂部に円錐状の花序を形成し、淡紫色の鐘形のを下向きに咲かせ[6]、数段に分かれて葉と同じように茎に輪生する枝の先に少数ずつをつける。花冠は長さ15 – 20ミリメートル (mm) で先端はやや広がり、裂片は反り返る。萼片は糸状で鋸歯があり、花柱が花冠から突出する。

シノニム編集

  • Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. kurilensis (Nakai) Kitam.
  • Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. subsp. aperticampanulata Kitam.

変異編集

非常に変異の大きい種である。特に花期以外の時期には葉の形、葉序などが大きく異なるものがあり、混乱させられることがたびたびある。

種としても変異が大きく、以下のような変種がある。

  • 基本変種はサイヨウシャジン(var. triphylla)で、花冠がやや細い壺型であること、花柱が長く突き出すことで区別される。本州では中国地方、九州、琉球列島に、また国外では中国、台湾に分布する。
  • 本州中部地方以北の高山や北海道には高山植物的になったものがあり、ハクサンシャジン、あるいはタカネツリガネニンジン(var. hakusanensis Kitam.)という。花茎の高さ30-60cm、花冠は広鐘状で花序の小枝が短く、密集した総状花序になる。
  • 四国の一部の蛇紋岩地帯には背丈が低く、葉が線形で花冠の長さが1cmたらずと小柄なものがあり、オトメシャジン(var. puellaris Hara)と呼ばれる。

利用編集

食用編集

春の若い芽は、山菜トトキとして食用にされる。春に芽を摘み、和え物お浸しにして食べられる[1]。トトキとは、ツリガネニンジンのことを指し、「山でうまいはオケラにトトキ…嫁に食わすは惜しうござる」と長野県の俚謡で歌われるほど、庶民のあいだで美味しいものの一つに例えられている[7]

生薬編集

2年以上経った長い紡錘形から円柱形の根は沙参(しゃじん)または南沙参(なんしゃじん)と称し、生薬として利用される[1][5]。秋に地上部が枯れたときに根を掘り出し、細根を取り除いたものを天日乾燥させたものが使われ、1日量5グラムを400 ccの水で煎じたものを、1日3回に分けて服用すると、健胃、痰きり、鎮咳に効能があるとされ、強壮効果もあるといわれる[1][5]。日本では沙参というとツリガネニンジンを指すが、中国ではハマボウフウのことをいう[1]。これを区別するため、ツリガネニンジンを南沙参、ハマボウフウを北沙参(ほくしゃじん)と呼ぶ[1]。昔は朝鮮人参の偽物に用いたといわれるが、朝鮮人参とは薬効は異なり代用にはならない[1][5]

近縁種編集

  • ソバナ 岨菜、学名: Adenophora remotiflora
  • フクシマシャジン 福島沙参、学名: Adenophora divaricata
  • ツルニンジン:朝鮮でトドックと呼ばれる代表的な山菜。呼び名がトトキと似ているが関係の有無は不明。日本薬学会は「『トトキ』とはツリガネニンジンの古い呼び名で朝鮮語に由来しています」としている[8]

ギャラリー編集

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l 貝津好孝 1995, p. 101.
  2. ^ 大嶋敏昭監修 2002, p. 277.
  3. ^ 深津正 2000, p. 254.
  4. ^ 葉を見る”. 国土交通省北海道開発局. 2020年8月11日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i 馬場篤 1996, p. 76.
  6. ^ a b 大嶋敏昭監修 2002, p. 276.
  7. ^ 深津正 2000, pp. 253–254.
  8. ^ ツリガネニンジン”. 生薬の花. 日本薬学会. 2018年12月16日閲覧。

参考文献編集

  • 大嶋敏昭監修 『花色でひける山野草・高山植物』成美堂出版〈ポケット図鑑〉、2002年5月20日、276 - 277頁。ISBN 4-415-01906-4 
  • 貝津好孝 『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、101頁。ISBN 4-09-208016-6 
  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』(1981) 平凡社
  • 馬場篤 『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、76頁。ISBN 4-416-49618-4 
  • 深津正 『植物和名の語源探究』八坂書房、2000年4月25日。ISBN 4-89694-452-6 
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  • 「宮崎県西都市ツリガネニンジン 〜滝一郎のちょっとみちくさ 第30回〜 miyazaki ebooks」

関連項目編集