ツルケマン(蔓華鬘、学名:Corydalis ochotensis )はキケマン属一年草または二年草。別名、ツルキケマン(蔓黄華鬘)[2][3]

ツルケマン
福島県会津地方 2013年8月
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: ケシ科 Papaveraceae
: キケマン属 Corydalis
: ツルケマン C. ochotensis
学名
Corydalis ochotensis Turcz.[1]

特徴 編集

地下に根茎はない。は直立せず、長く横にはってよく分枝して広がり、先の枝や花序は斜めに立つ。全草に毛がなく、白粉をかぶったような緑色で、やわらかく、茎に稜があり長さは約1mになる。は互生し、葉柄をもち、長さ、幅ともに7-12cmになる3角形から卵形で、2-3回3出複葉になる。小葉は多くは3深裂し、裂片は長さ10-15mmで、長楕円形から倒卵形になる[2][3][4]

花期は8-9月。葉腋から総状花序をだし、数個のをまばらにつける。花に小花柄がある。花は4個の花弁で構成されており、色は淡黄色で、長さ15-20mmになり、一方が2唇状に開き、その反対側が長い距となり、その先端は細くなり、すこし湾曲する。距は同属他種のものと比べ長い。小花柄の基部にそれより長い苞があり、苞は長さ1-1.5cm、幅5-10mmの広卵形から卵形で、多くは全縁となる。雄蕊は6個あり、3個が2組になる2体雄蕊となる。果実は扁平な蒴果で、長さ12-15mm、幅3.5-4.5mmになる長倒卵形で、種子が数個入り、2列に並ぶ[2][3][4]

分布と生育環境 編集

日本では、本州の中部地方、関東地方[2][3][4]のほか、東北地方と北海道に分布し[5]、山中の林内の半日陰地にややまれに生育する[2]。世界では、シベリア東部、オホーツク海沿岸地方に分布する[2]

保全状況評価 編集

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

ギャラリー 編集

類似の種 編集

同属で似た種に、ナガミノツルケマン(長実の蔓華鬘、学名:Corydalis raddeana)、 別名、ナガミノツルキケマン(長実の蔓黄華鬘)がある。ナガミノツルケマンは、ツルケマンと比べると、花は密につき、色は濃い黄色で、果実の幅が細く、果実内の種子が1列に並ぶ[2][4]

ツルケマン変種 -Corydalis ochotensis Turcz. var. raddeana (Regel) Nakai とされたこともある[2][6]

脚注 編集

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Corydalis ochotensis”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年10月31日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』p.125
  3. ^ a b c d 『新牧野日本植物圖鑑』p.198
  4. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.249
  5. ^ ツルキケマン 絶滅危惧種情報検索 -生物多様性情報システム -環境省
  6. ^ ナガミノツルケマン 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献 編集