テトラメチル鉛Tetramethyllead)または四メチル鉛は、ガソリンアンチノック添加剤として使用される化合物である[1]。環境への配慮のために段階的に使用が停止されている[2]

テトラメチル鉛
{{{画像alt1}}}
識別情報
CAS登録番号 75-74-1 チェック
PubChem 6394
ChemSpider 6154
UNII C7J62Z32IW チェック
EC番号 200-897-0
国連/北米番号 1649 3082
ChEBI
RTECS番号 TP4725000
特性
化学式 C4H12Pb
モル質量 267.34 g mol−1
外観 無色の液体
融点

−28 ℃

沸点

110 ℃

危険性
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(高毒性)急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性水生環境への有害性
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H226, H300, H300, H302, H310, H332, H360, H373, H400, H410
Pフレーズ P201, P202, P210, P233, P240, P241, P242, P243, P260, P261, P262, P264, P270, P271
NFPA 704
3
2
 
引火点 37.8 °C (100.0 °F; 310.9 K) (closed cup)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テトラエチル鉛に類似した無色の液体で、水に溶けにくく有機溶媒に溶けやすい。

日本においては、類縁体のエチルトリメチル鉛ジエチルジメチル鉛テトラエチル鉛と合わせて四アルキル鉛と総称され、毒物及び劇物取締法で規定される特定毒物であると共に、労働安全衛生法に基づき、取り扱う事業者には作業主任者の選定、労働者の定期的な特殊健康診断及び、安全又は衛生のための特別の教育が義務付けられている。

アメリカの国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH)は、テトラメチル鉛を潜在的な労働災害リスクとしている。テトラメチル鉛への推奨される時間加重平均暴露限界は、10時間の労働時間中の1立方メートルあたり0.075ミリグラムである。アメリカ合衆国労働省労働安全衛生管理局英語版(OSHA)許容暴露限界は、この濃度で1日8時間労働を行った場合と同じ値になっている。

テトラメチル鉛への曝露は、中枢神経系腎臓、および循環器に影響を与える可能性がある。テトラメチル鉛は、呼気吸入、眼との接触、皮膚吸収、および物質の経口摂取によって吸収される可能性がある。曝露の症状には、不眠症昏睡、発作、躁病せん妄、食欲不振、吐き気低血圧不安落ち着きのなさ悪夢などがある。曝露の応急処置には、人工呼吸、即時の眼の洗浄、および水による即時の洗浄が含まれる。テトラメチル鉛を経口摂取した場合は、直ちに医師の診察を受ける必要がある[3]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ Tetramethyllead”. pubchem.ncbi.nlm.nih.gov. 2022年1月21日閲覧。
  2. ^ Filella, Montserrat; Bonet, Josep (2017). “Chapter 14. Environmental Impact of Alkyl Lead(IV) Derivatives: Perspective after Their Phase-out”. In Astrid, S.; Helmut, S.; Sigel, R. K. O.. Lead: Its Effects on Environment and Health. Metal Ions in Life Sciences. 17. de Gruyter. pp. 471–490. doi:10.1515/9783110434330-014. PMID 28731307 
  3. ^ CDC - NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards - Tetramethyl lead (as Pb)”. www.cdc.gov. 2016年6月7日閲覧。