デイジー・ベル」 (Daisy Bell) は、1892年イギリスシンガーソングライターハリー・ダクレ作詞作曲した、ポピュラーソングスタンダードな1曲である。「二人乗りの自転車」 ((a) Bicycle Built for Two)の副題があるほか、歌詞の一部から、「デイジー・デイジー」 (Daisy, Daisy)の名でも知られる。

デイジー・ベル
Daisy Bell
楽曲
作詞者ハリー・ダクレ
デイジーのモデルと言われるデイジー・グレヴィル (1899年)

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デイジーとはすべて小文字 (daisy)ならヒナギクのことであるが、歌詞中では語頭が大文字 (Daisy) なので人名(女性名)である。エドワード7世の1人ウォリック伯爵夫人デイジー・グレヴィル英語版がモデルとも言われる[1][2]

この曲は、世界で初めてコンピュータが歌った歌として知られる。1961年IBM 704による音声合成によって歌われた。これが、1968年の映画『2001年宇宙の旅』の終盤の展開の元ネタとなっている。

ダクレは1922年に死去しているため、メキシコなどごく一部の国を除き著作権は消滅し、パブリックドメインである。 

歴史編集

この曲は、1892年にハリー・ダクレによって作られた。ダヴィッド・ユエンが『アメリカン・ポピュラー・ソングス』の中で次のように書いている[3]

イギリスのポピュラーソングの作曲家であるダクレが初めて渡米したとき、彼は自転車を持参したが、これには関税がかけられた。彼の友人のウィリアム・ジェローム英語版は、それに対して「二人乗りの自転車(bicycle built for two)を持って来なくて良かったな。関税が2倍になるところだった」と言った。ダクレは「二人乗りの自転車」というフレーズを気に入り、すぐさま、このフレーズを使ってこの曲を作った。この曲「デイジー・ベル」は、ロンドンのミュージックホールケイティー・ローレンス英語版の歌唱により初めて成功を収めた。アメリカでの初演はトニー・パストール英語版による。1892年初頭にバワリーアトランティック・ガーデン英語版でジェニー・リンゼイがこの歌を歌って大喝采を受けたことで、アメリカでも人気となった。

レコードでの初出は、1893年ダン・W・クイン英語版の録音によるものである[4]

コンピュータによる歌唱編集

 
IBM 704
Daisy Bell programmed in Standard shell

デイジー・ベルは、世界で初めてコンピュータが歌った歌として知られる。1961年ベル研究所IBM 704が歌った。音声合成の主プログラムはジョン・ケリーとキャロル・ロックボーム (Carol Lockbaum) が、伴奏マックス・マシューズプログラミングした。それを録音したものは、アメリカ国立録音簿英語版に登録されている[5]

SF作家のアーサー・C・クラークは、1962年にベル研究所を訪れた際にIBM 704による歌唱のデモを見学している。1968年のSF映画・小説『2001年宇宙の旅』では、分解され機能を喪失しつつあるコンピュータHAL 9000が「デイジー・ベル」の一部を歌うシーンがあり、その際にIBM 704について言及している[6]。映画での実際の歌声は、HAL9000役の声優ダグラス・レインによるものである。

その他にも、「コンピュータによる歌唱」にこの曲が使われる例が多くある。

歌詞編集

歌詞にはいくつかのバージョンがあるようだが、以下はNIHのページによる。

There is a flower
Within my heart,
Daisy, Daisy!
Planted one day
By a glancing dart,
Planted by Daisy Bell!
Whether she loves me
Or loves me not,
Sometimes it's hard to tell;
Yet I am longing to share the lot –
Of beautiful Daisy Bell!

Daisy, Daisy,
Give me your answer do!
I'm half crazy,
All for the love of you!
It won't be a stylish marriage,
I can't afford a carriage
But you'll look sweet upon the seat
Of a bicycle made for two.

We will go tandem
As man and wife,
Daisy, Daisy!
Peddling away
Down the road of life,
I and my Daisy Bell!
When the road's dark
We can both despise
Policemen and lamps as well;
There are bright lights
In the dazzling eyes
Of beautiful Daisy Bell!

Daisy, Daisy,
Give me your answer do!
I'm half crazy,
All for the love of you!
It won't be a stylish marriage,
I can't afford a carriage
But you’ll look sweet upon the seat
Of a bicycle made for two.

I will stand by you
In weal or woe, [“weal”は幸福 の意味]
Daisy, Daisy!
You'll be the bell(e)
Which I'll ring you know!
Sweet little Daisy Bell!
You’ll take the lead
In each trip we take,
Then if I don't do well,
I will permit you to
Use the brake,
My beautiful Daisy Bell!

脚注編集

  1. ^ Carroll, Leslie. Royal Affairs: A Lusty Romp Through the Extramarital Adventures That Rocked the British Monarchy. Edward VII and Daisy Greville, Countess of Warwick 1861–1938: NAL Trade. ISBN 0-451-22398-5. https://books.google.com/books?id=U5NG9N7oMT0C&pg=PT273&dq=daisy+warwick+and+francis+greville&lr=&output=html_text&cd=21 
  2. ^ Local history: The socialist socialite”. BBC (2009年5月22日). 2020年12月15日閲覧。
  3. ^ Ewen, David (1966). American Popular Songs. Random House. ISBN 0-394-41705-4. https://archive.org/details/americanpopulars0000ewen 
  4. ^ Whitburn, Joel (1986). Pop Memories 1890–1954. Record Research. ISBN 0-89820-083-0. https://archive.org/details/joelwpopmemories00whit 
  5. ^ National Recording Registry Adds 25 – The Library Today (Library of Congress)
  6. ^ Background: Bell Labs Text-to-Speech Synthesis”. bell-labs.com. Lucent Technologies (1997年3月). 2000年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月15日閲覧。
  7. ^ [CSDb - Sing Song Serenade by Christopher C. Capon (1985)]”. Commodore 64 Scene Database. 2015年11月22日閲覧。
  8. ^ “Daisy Bell (Bicycle Built for Two)””. loc.gov. Library of Congress. 2019年8月4日閲覧。
  9. ^ Martin, Jim. “Amaze your friends with these 45 funny Cortana responses on Windows 10”. Tech Advisor. 2019年11月4日閲覧。
  10. ^ Sri San (2015-08-07), Daisy Daisy, https://www.youtube.com/watch?v=PpcBGK-Tn_Y 2016年10月24日閲覧。 

外部リンク編集