デスゲーム
デスゲームとは、フィクション作品におけるジャンルのひとつ。登場人物が死を伴う危険なゲームに巻き込まれる様相を描く作品、および劇中で描かれる架空のゲームを指す。
なんらかの理由によって集められた登場人物たちが特定の場所に隔離または幽閉され、指定された目的のために主催者から提示されたゲームに参加する。ゲームは1人または1チームといったごく少数の勝者と、残り大多数の敗者ができる仕組みとなっており、勝利すると生存が保証され、巨大な報酬が得られることもある一方、敗北すると死亡するか、もしくは重篤な後遺症や莫大な債務などを負うことになる。
SF、ミステリ、サスペンス、ディストピア、ギャンブル、ループものと掛け合わせているデスゲーム作品もある。
歴史編集
モチーフは古代ローマ時代の剣闘士。古くはSF小説などに採り上げられた素材で、例えばロバート・シェクリイは『七番目の犠牲者(『華麗なる殺人』として映画化)』、『不死販売株式会社(『フリージャック』として映画化)』などを書いている。1970年代のハリウッド映画などにもみられた物語の類型で、とくにスティーヴン・キングが1979年に発表した小説『死のロングウォーク』や1982年に発表した『バトルランナー』の影響で広まり[1]、1997年に公開されたカナダの映画『CUBE』や、1999年に発刊された日本の小説で、翌年には映画化もされた『バトル・ロワイアル』を皮切りに、1990年代後半から世界的に流行しだしたジャンルである[1][2]。アメリカ合衆国でも、『バトル・ロワイアル』に影響を受けたとされる『ハンガー・ゲーム』など数々の作品が発表され、人気を博した[1]。
日本ではとくに漫画において大きく隆盛し、『賭博黙示録カイジ』、『GANTZ』、『LIAR GAME』、『神さまの言うとおり』、『今際の国のアリス』などといった作品は映像化もされ、いずれもヒットしてきた[1][2]。児童文庫においても、2000年代から10代のあいだで山田悠介作品が大きく支持されたことをきっかけに、デスゲームは人気のジャンルとなっている[3]。
こうしたことからデスゲームのジャンルは日本が本場だともいわれてきたが、必ずしも世界的なヒットには結びついておらず[2]、縮小再生産の傾向にあったことも指摘されている[1]。2021年にNetflixで配信された大韓民国のドラマ『イカゲーム』は、従来のデスゲームものではあまり描かれてこなかった現実社会的な要素を盛り込み、全世界でもっとも視聴されたシリーズとなった[1][2]。
特徴編集
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ゲームは強制参加(あるいは強制ではなくとも参加しなければどのみち危機的状況に追いやられる状況)で行われることが多く、登場人物はゲームに一方的に巻き込まれる展開が多い。ゲーム開始前に参加を拒否するなどして反抗的な態度をとった者は、ほかの参加者に対する見せしめとして早々に殺害されるケースも少なくない。また、ゲーム中の死と隣り合わせの緊張状態を浮き彫りにするため、参加する登場人物たちは、ふだんは死の危険とは無縁のいたって平凡な生活を送っている人物ばかりである場合がほとんどである。
ゲームは、『バトル・ロワイアル』に代表される、プレイヤー同士で争いが行われるルールに限らず『GANTZ』に代表される、プレイヤーが共通の敵に対して立ち向かうもの、『CUBE』や、『SAW』に代表される、閉ざされた部屋や仕掛けから全員で脱出するものなどがある。
多くのデスゲーム作品に見られる描写・要素として、「主人公および登場人物は突然、理不尽な状況に投げ込まれる」、「冒頭にルールが説明される」、「隔離されたステージ」、「主催者および黒幕の存在」などがある。
主な作品編集
年 | 作品名 | メディア |
---|---|---|
1965年 | 華麗なる殺人 | 映画 |
1975年 | デス・レース2000年 | 映画 |
1979年 | 死のロングウォーク | 小説 |
1980年 | 火の鳥 生命編 | 漫画 |
1982年 | バトルランナー | 小説 |
1995年 | ジュマンジ | 映画 |
1996年 | 賭博黙示録カイジ | 漫画 |
1997年 | キューブ | 映画 |
2000年 | バトル・ロワイアル | 小説 |
2000年 | GANTZ | 漫画 |
2001年 | リアル鬼ごっこ | 小説 |
2002年 | 仮面ライダー龍騎 | 特撮 |
2003年 | 人狼ゲーム | 小説 |
2004年 | ソウ | 映画 |
2004年 | パズル | 小説 |
2006年 | 未来日記 | 漫画 |
2006年 | 嘘喰い | 漫画 |
2007年 | インシテミル | 小説 |
2007年 | Doubt | 漫画 |
2007年 | 賭博覇王伝 零 | 漫画 |
2009年 | 王様ゲーム | 小説 |
2009年 | BTOOOM! | 漫画 |
2009年 | ソードアート・オンライン | 小説 |
2010年 | JUDGE | 漫画 |
2010年 | 今際の国のアリス | 漫画 |
2011年 | 神さまの言うとおり | 漫画 |
2011年 | カラダ探し | 小説 |
2012年 | ハンガー・ゲーム | 映画 |
2012年 | ジョーカーゲーム | 映画 |
2013年 | ダーウィンズゲーム | 漫画 |
2013年 | デス・ビリヤード | 映画 |
2013年 | 脳漿炸裂ガール | 小説 |
2014年 | リアルアカウント | 漫画 |
2015年 | ラブデスター | 漫画 |
2015年 | シグナル100 | 漫画 |
2015年 | たとえ灰になっても | 漫画 |
2016年 | 仮面ライダーエグゼイド | 特撮 |
2020年 | ザ・ハント | 映画 |
2020年 | GARO -VERSUS ROAD- | 特撮 |
2021年 | ガールガンレディ | 特撮 |
2021年 | イカゲーム | ドラマ |
2022年 | 仮面ライダーギーツ | 特撮 |
脚注編集
- ^ a b c d e f 松谷創一郎 (2021年9月30日). “『イカゲーム』はデスゲームを“重く”描く──韓国版『カイジ』がNetflix世界1位の大ヒットに”. Yahoo!ニュース. 2022年5月1日閲覧。
- ^ a b c d 宮永麻代 (2021年12月23日). “イカゲームが世界的ヒットした理由と日本のデスゲームが世界的ヒットしない理由”. グローバルプロデュース. 2022年5月1日閲覧。
- ^ “根強い人気を誇る児童文庫『オンライン!』がもたらす、「読書のジャンル的連続性」”. ダ・ヴィンチWeb (2022年4月3日). 2022年5月1日閲覧。