デズデモーナ(Desdemona)は、ウィリアム・シェイクスピア戯曲オセロ』の登場人物。

ヴェニス元老院議員ブラバンショーの娘で、父の意にさからって主人公オセロと結婚した。しかしオセロの部下イアーゴーの姦計により、もう一人の部下キャシオーとの不貞をオセロに疑われ、夫の手にかかって死ぬ。柳の歌を歌うシーンがもっとも有名である。

名前の由来 編集

この人物は『オセロ』を書くにあたってシェイクスピアが下敷きにしたチンティオ (Giovanni Battista Giraldiの『百話集』に「Disdemona」としてすでに名前が見えている[1]。名前はギリシア語のDysdaimon(δυσ- + δαίμων)すなわち「不運な魂」に由来する[2]。チンティオの話の中でただひとり名前で呼ばれる人物である(他の人物は官職名で呼ばれる)。

芸術における表現 編集

デズデーモナは画題としてしばしば出現する。フランスのテオドール・シャセリオーは『オセロ』の銅版画シリーズ(1844年、全15枚)のほか、『オセロ』を題材にした絵を多く描いており、デズデモーナを描いたものも複数ある。

デズデモーナに由来して命名されたもの 編集

脚注 編集

  1. ^ Cinthio's Gli Hecatommithi, an Italian source for Othello and Measure for Measure, The British Library, https://www.bl.uk/collection-items/cinthios-gli-hecatommithi-an-italian-source-for-othello-and-measure-for-measure 
  2. ^ Carina Feliciano Attar (2016) [2011]. “Genealogy of a Character: A Reading of Giraldi's Moor”. In Laura Tosi and Shaul Bassi. Visions of Venice in Shakespeare. Routledge. p. 51. ISBN 9781409405474