デビッド・ギルバート(David Gilbert)は、南イリノイ大学教授准教授[1])。自動車工学を専攻分野とする。

2009年から2010年にかけて表面化したトヨタ自動車の大規模リコール (2009年-2010年)に関連して、トヨタ車欠陥アメリカ議会で証言したことにより有名になった。のち証言内容は虚偽であることが発覚した。

トヨタ・バッシングのための捏造実験 編集

2009年から2010年にかけて北米を中心に発生した「トヨタ・バッシング」において、トヨタ車に乗った交通事故が多発した理由は、トヨタ車の構造的欠陥であると嫌疑がかけられ、トヨタ車は大規模リコールを行った。2012年現在、米国運輸省他の公的調査の最終報告によって、トヨタ車にはいかなる問題も存在せず、したがって、一連の事故はすべて運転手の人為的ミスによることが明らかになっている。

ギルバート準教授は、このような騒動のなか、公聴会やテレビ番組で、「トヨタ車の電子制御システムに不具合があることが実証された」と証言していた。のちに、これは実験の捏造によるもので、虚偽証言であったことが発覚した。

TV番組での実験 編集

2010年2月22日ABCテレビ番組において、トヨタ・アバロンの電子制御装置の配線に加工を施し、ドライバーの意思に反して急加速させる実験を行ったほか、翌2月23日にはアメリカ下院議会のエネルギー商業委員会で、トヨタ車のアクセルの電子制御システムに欠陥があるとの証言を行った。

反駁と実験捏造の発覚 編集

証言後、システムの配線を変える手法を採れば、他社の自動車でも同様な状態に陥ることをトヨタ自動車ら他の機関が証明した[2]

また、テレビ局タコメーターの映像を意図的に編集して放送したこと[3]、加えて一連の実験は、トヨタに対して損害賠償請求を行う弁護団のアドバイザー(セイフティリサーチ・アンド・ストラテジー社:SRS社)が関与していたことが報道[1]され、教授の実験が一定のバイアス下で行われていたことが明らかになった。

2010年3月、ABCテレビは、ニュース番組で放映した南イリノイ大学のデビッド・ギルバート准教授によるトヨタ車の急加速の再現実験はねつ造であったと報道した[4]。走行中にエンジンの回転数が上がるタコメーターの映像は、停止した状態で意図的に作り出したものと説明した[4]

ショーン・ケーンからの資金提供 編集

その後、ギルバート准教授は、ショーン・ケーンという人物に雇われていたと各メディアが報じた[4][5]。ショーン・ケーンの経営する会社Safety Research & Strategies社[6]は、数年前以上前からトヨタ車の不具合だけを集中的に扱い、また、トヨタ訴訟の顧問をつとめており、動機は、裁判で得られる利益としている[4]。また、米デトロイトニュース紙は「2月23日の公聴会で、ギルバート氏はショーン・ケーン氏から資金を支払われていた」と伝えた[4]

ショーン・ケインは、2003-04年の6ヶ月間に2002-04年型カムリの急加速による8人の死亡事故がNHTSAに報告されていたとした[7]が、SRS社は社長が1人の個人的会社であることが発覚している。

また、ミシガン大学教授ジェフリー・ライカー博士は、ショーン・ケインとロサンゼルス・タイムズの記者が急加速の原因をマットではなく、トヨタの電子制御スロットルシステムにあると執拗に主張し、この騒動をつくったが、制御機関に問題はないとした[8]。2011年に、このライカーの見解は、米運輸省の調査で追認された。

出典 編集

  1. ^ a b 一部では、日本准教授職階を当てて報道している媒体も存在する“米ABCトヨタ車・急加速のねつ造映像、背後に訴訟アドバイザーの影?”. サーチナ. (2010年3月16日). https://web.archive.org/web/20100322191200/http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0316&f=business_0316_186.shtml 2011年2月14日閲覧。 
  2. ^ “トヨタ自動車が南イリノイ大学教授の証言に反論、“意図せぬ加速”を他社製車両でも再現”. オートモービルエレクトロニクス. (2010年3月10日). http://ednjapan.rbi-j.com/ae/news/2010/3/6446 2011年2月14日閲覧。 
  3. ^ “トヨタ、ABCに放送取り消しを要求”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2010年3月19日). http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_43327 2011年2月14日閲覧。 
  4. ^ a b c d e “米ABCトヨタ車・急加速のねつ造映像、背後に訴訟アドバイザーの影?”. サーチナ. (2010年3月16日). https://web.archive.org/web/20100322191200/http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0316&f=business_0316_186.shtml 
  5. ^ 「米オートチャンネル・ドット・コム」2010年3月10日記事
  6. ^ Toyota Sudden Unintended Acceleration ショーン・ケイン(Sean Kane)
  7. ^ ケイン社長は下院で証言予定と報道されたが実現されていない。Addendum: Exclusion of Camry Deaths Hamper Later Investigations,Feb.17,2010
  8. ^ “トヨタ“推定有罪”の世論を作った謎の人物とLAタイムズの偏向報道~『ザ・トヨタウェイ』著者の米大物学者が語る衝撃の分析!”. ダイヤモンドオンライン. (2010年3月1日). http://diamond.jp/articles/-/2530 

関連項目 編集