トウノウネコノメ

ユキノシタ科の種

トウノウネコノメ(東濃猫の目、学名Chrysosplenium pseudopilosum)は、ユキノシタ科ネコノメソウ属多年草[2][3][4]。1999年に若林三千男および高橋弘によって新種記載された[4]

トウノウネコノメ
Chrysosplenium pseudopilosum 3.JPG
愛知県豊田市 2021年3月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ユキノシタ科 Saxifragaceae
: ネコノメソウ属 Chrysosplenium
: トウノウネコノメ
C. pseudopilosum
学名
Chrysosplenium pseudopilosum Wakab. et Hir.Takah. var. pseudopilosum (1999)[1]
和名
トウノウネコノメ(東濃猫の目)[2]

特徴編集

根出葉は扇形から円形で、長さ5-8mm、幅-10mm、縁に円い鋸歯があり、葉柄は長さ9-15mmになる。花茎は高さ3-8cmになり、白色の長い剛毛またはまばらな毛が生える。茎は1-2対が対生し、葉身は長さ2-7mm、幅4-10mm、葉柄は長さ3-8mmになる。苞葉は緑色で径2-6mm、扇形または倒卵状扇形で、基部はくさび形、両側に1-3個の鋸歯がある[2][3][4]

花期は3月-4月上旬。は直径3.5-3.8mm。裂片は4個あり、裂片は直立し、先端は切形、黄緑色から鮮黄色で、萼裂片の外側は無毛。雄蕊は8個あり、長さ2.7-2.8mm、ふつう萼片より短いことはなく、萼片から突き出る。葯は黄色で長さ0.7mm。花柱は開花期に直立し、長さ1.4-1.8mm。果実は蒴果で、2個の心皮はわずかに大きさが異なり、50-80度の角度で斜上する。種子は卵形体で長さ約0.5mm、12条の縦稜に棒状の小さな突起がならぶ。染色体数は2n=24[2][3][4]

分布と生育環境編集

日本固有種[5]。本州の中部地方の岐阜県南東部、愛知県北部に分布し、山地の谷沿いに生育する[2][4]

名前の由来編集

和名トウノウネコノメは、「東濃猫の目」の意[2]。岐阜県東濃地方に分布することからつけられた[4]

種小名(種形容語)pseudopilosum は、pseudo-pilosum であり、pseudo- は、「~に似た」「偽の~」の意味、pilosum は、「長軟毛のある」の意味である[6]が、同属のコガネネコノメソウの基本種の学名は、Chrysosplenium pilosum であり、この場合、「コガネネコノメソウ(基本種、ケネコノメソウ)に似た」の意味となる。

ギャラリー編集

ヤマシロネコノメ編集

下位分類として変種ヤマシロネコノメ(山城猫の目、Chrysosplenium pseudopilosum Wakab. et Hir.Takah. var. divaricatistylosum Wakab. et Hir.Takah. (1999) [7])がある[2][3][4]。基本種との違いは、花がやや大きいこと、萼裂片の外側は有毛であること、2個の残存花柱は広角度で開出すること等である[4]

根出葉は長さ7-10mm、幅7-12mm、円い鋸歯があり、葉柄は長さ12-20mmになる。花茎は高さ2-11cmになり、白い長軟毛が生える。茎葉は対生し、葉身は長さ3-9mm、幅4-12mm、葉柄は長さ3-10mmになる。苞葉は径2-7mm。花期は3-5月。花は直径約4.6mmで、萼裂片は黄緑色から黄色で、4個が直立し、裂片の外側に毛が散在する。雄蕊は8個で、萼から突出する。葯は黄色。果実は蒴果で2個の心皮はわずかに大きさが異なり、140-180度の広角度で斜上する。種子は卵形体で長さ約0.5mm、12条の縦稜に半円形のいぼ状の小さな突起がならぶ。染色体数は2n=25、29。京都市北部および南西部に分布し、山地の谷沿いに生育する[2][3][4]。1999年に若林三千男および高橋弘によって新変種として、基本種とともに記載された[4]

変種名 divaricatistylosum は、「広い開度をもって分かれた花柱のある」の意味[8]

分類編集

トウノウネコノメは、本州(関東地方以西)、四国、九州に分布するコガネネコノメソウ Chrysosplenium pilosum var. sphaerospermum に似るが、同種は雄蕊や花柱は萼裂片より短く、萼裂片を突出することがない。また、同種は子房中位である[9]。それに対して、本種は雄蕊や花柱は萼裂片より長く、萼裂片を突出する。また、本種は子房上位で、またはその約4分の1のみが基部で萼と癒合するという特徴をもつ[4]

脚注編集

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  1. ^ トウノウネコノメ、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e f g h 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.272
  3. ^ a b c d e 奥山雄大「ユキノシタ科」『改訂新版 日本の野生植物2』p.204
  4. ^ a b c d e f g h i j k 若林三千男・高橋弘、「本州中部産ネコノメソウ属の一新種および一新変種」、『植物分類・地理』Acta Phytotaxonomica et Geobotanica, Vol.50(1), pp.1-11, (1999).
  5. ^ 『日本の固有植物』p.72
  6. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1507, 1509
  7. ^ ヤマシロネコノメ、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  8. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1491, 1514
  9. ^ 奥山雄大「ユキノシタ科」『改訂新版 日本の野生植物2』p.203

参考文献編集