トニー・ザ・タイガー

食品のマスコットキャラクター

トニー・ザ・タイガー(Tony the Tiger)は、多国籍食品メーカーのケロッグが主力商品のコーンフロスティ:Frosted Flakes)に起用しているマスコットキャラクター

トニー・ザ・タイガー
Tony the Tiger
フロリダ州タンパの展示会(2020年撮影)
分類 シリアル食品のマスコットキャラクター
モチーフ トラ
デザイン ユージーン・コルキー
指定日 1952年日本での使用開始は1963年
指定者 ケロッグ
性別 オス
備考 日本版CMの内海賢二鏡優雅
公式サイト フロスティアンドココくんサイト (日本語)
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解説 編集

アメリカ合衆国(米国)のミシガン州に本社を置くケロッグ社が1952年シリアル食品"Frosted Flakes"のマスコットとして使用を開始した[1]。初期のキャラクターデザインを担当したのはレオ・バーネット・エージェンシー英語版所属デザイナーのユージーン・コルキー(Eugene Kolkey, 1927年 - 1975年)で「赤いスカーフを首に巻いたトラ」というコンセプトはこの時点で確立されている[2]。コルキーがデザインしたトラはバーネット社でケロッグの広告宣伝業務を担当していたレイモンド・アンソニー・ウェルズ(Raymond Anthony "Tony" Wells, 1928年 - 2002年)にちなんで"Tony"と命名された[3]

商品の企画段階ではトニーの他にカンガルーのケイティ(Katy)、ゾウのエルモ(Elmo)、ヌーのニュート(Newt)が候補に挙げられていたが[注 1]、バーネット社内の最終審査ではトニーとケイティが「どちらも甲乙付け難い」として2種類のパッケージで発売されたものの、トニーの方に人気が集中したのでほどなく一本化が図られる[2]1963年、"Frosted Flakes"は日本市場において「コーンフロスト」の商品名で発売され(1997年に「コーンフロスティ」へ改称)、この当時に米国と同じデザインでパッケージに描かれていたトニーはローカルで「とらチャン」と呼ばれていた(スカーフに黄色の文字で「とらチャン」と書かれている)[1]

米国では1970年代に入って大幅なキャラクターデザインの変更が行われ、1984年から今日よく知られるカートゥーン的なデザインのトニーが登場した。日本では2年後の1986年から新デザインへ変更され、同時にキャラクター名をそれまでの「とらチャン」から「トニー」へ統一している。この時期からケロッグ社が全米で学生のスポーツ活動に焦点を当てたプロモーションを強化した関係でパッケージやテレビCMにおいてトニーが様々なスポーツを行う描写が採り入れられるようになり、そのイメージは日本のテレビCMでも踏襲されている。

 
1955年に米国で放送された"Garry Moore Show"のスチル。左側の人物は番組司会のギャリー・ムーア英語版

コルキーのオリジナルデザインを基にしたクラシック版のトニーは2010年代以降もビンテージ版パッケージ[4]コラボレーション雑貨などで起用されている[5][6]

担当声優 編集

米国のCMにおいては、当初ダラス・マッケノン英語版を担当していたが、のちにサール・レイブンズクロフト英語版と交代した。レイブンズクロフトは2005年に死去するまで、50年にわたりトニーの声をあてていた[7]

レイブンズクロフトの没後、米国およびカナダ向けのCMではプロレスの実況アナウンサーを務めていたリー・マーシャル英語版が声をあてていた[8]。マーシャルは2014年4月27日に死去し[9]テックス・ブラッシャー英語版が後任となっている。

イギリス向けのCMでは、レイブンズクロフトの没後にミュージシャンのトム・ヒルが役を引き継いだ。

日本版のCMにおいては1986年から2001年までの15年にわたって内海賢二がトニーの声を担当しており[10]、決め台詞の「グゥーレイト!」(英:"They're G-r-r-reat!")も米国と共通のものであった。2021年時点では、鏡優雅がキャスティングされている[11]

大衆文化における受容 編集

コーンフロスティやチョコクリスピー他の姉妹商品では長年にわたり紙箱におまけの食玩が封入されており[注 2]、日本では特に1980年代後半から1990年代に封入されたおまけで柄の部分にトニー他のケロッグキャラクターをデザインした「色が変わるマジックスプーン」が人気であった[12]

M-1グランプリ2019 編集

M-1グランプリ2019で優勝したお笑いコンビミルクボーイが「コーンフレークは生産者さんの顔が浮かばへん」「浮かんでくるのは腕組んでるトラの顔だけ」「赤いスカーフしてるトラの顔だけ」とトニーをネタにしたところ日本ケロッグのTwitterアカウントがいち早く反応し[13]、翌日に「優勝祝い」としてコーンフロスティ1年分の贈呈を発表した[14]。ミルクボーイはこの縁により、翌年1月から日本ケロッグの「公式応援サポーター」へ任命されている[15]

家族 編集

  • 妻:ミセス・トニー(Mrs. Tony)
  • 男子:トニー・ジュニア(Tony Jr.)[1]
  • 女子:アントワネット(Antoinette)[1]

トニー・ジュニアは1952年の発売当初からパッケージに描かれていた[2]。また、日本では公式に紹介されていないが1970年代に米国で放送されたアニメーションCMではトニーの母のママ・トニー(Mama Tony)も登場したことがあり、その作中でトニーの一家はイタリア系の家庭として描写されている[16]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 1976年に日本オリジナル商品として発売された「チョコワ」ではラテンアメリカにおいて「チョコクリスピー」のマスコットとなっているゾウのメルビン(Melvin)が起用されたが、2004年からサルのココくん(「チョコクリスピー」他と共通)にその地位を譲った。また「コンボ」(販売終了)のマスコットは日本ではゴリラのキングコンボだったが、北米ではブルー・ヌー(Blue Gnu)が使用されていた。ブルー・ヌーは日本発売の製品に起用されたことはないが、メディコムトイ2002年に発売したケロッグキャラクターのフィギュアセットではラインナップに含まれている。
  2. ^ 日本では2018年に紙箱からアルミ包装の袋入りで販売されるようになったが、米国をはじめ多くの市場では2020年時点でも紙箱で販売されている。

出典 編集

  1. ^ a b c d “じつは妻子持ち!? ケロッグに聞いた「トニー・ザ・タイガー」意外な素顔”. 東京バーゲンマニア (J-CAST). (2022年1月2日). https://bg-mania.jp/2022/01/02456672.html 2022年3月19日閲覧。 
  2. ^ a b c “The Tony the Tiger protest sign at a Kellogg’s plant could have featured a kangaroo, an elephant, or a gnu”. クォーツ英語版. (2021年10月7日). https://qz.com/2070080/tony-the-tigers-road-to-appearing-in-a-kelloggs-worker-protest/ 2022年3月19日閲覧。  (英語)
  3. ^ “RAYMOND ANTHONY WELLS, 73”. シカゴ・トリビューン. (2002年10月16日). https://www.chicagotribune.com/news/ct-xpm-2002-10-16-0210160176-story.html 2022年3月19日閲覧。  (英語)
  4. ^ “「トニー・ザ・タイガー、別人やん」ケロッグ シリーズのビンテージパッケージ化が話題”. GetNavi (ワン・パブリッシング). (2018年4月20日). https://getnavi.jp/topic/251658/ 2022年3月19日閲覧。 
  5. ^ 谷町邦子 (2021年1月6日). “ケロッグ「トニー・ザ・タイガー」がおしゃれでレトロなキッチングッズに! 「212 KITCHEN STORE」からコラボアイテムがどどんと発売”. ねとらぼ (ITmedia). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2101/06/news080.html 2022年3月19日閲覧。 
  6. ^ “「トニー・ザ・タイガー」などケロッグの公式キャラクターが各種BE@RBRICKになって発売!!”. 電撃ホビーウェブ (KADOKAWA). (2021年7月5日). https://hobby.dengeki.com/news/1277855/ 2022年3月19日閲覧。 
  7. ^ Press, The Associated (2005年5月25日). “Thurl Ravenscroft, Voice of Tony the Tiger, Dies at 91” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2005/05/25/arts/television/thurl-ravenscroft-voice-of-tony-the-tiger-dies-at-91.html 2022年3月20日閲覧。 
  8. ^ Topher's Breakfast Cereal Character Guide - Kellogg's”. Lavasurfer.com (2005年5月22日). 2014年7月25日閲覧。
  9. ^ Lee Marshall, Voice of 'Tony The Tiger' Passes Away”. 2014年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月28日閲覧。
  10. ^ “コーンフロストでお馴染みの【トニー・ザ・タイガー】の声優を覚えていますか?”. ミドルエッジ (ディー・オー・エム). (2017年12月16日). https://middle-edge.jp/articles/VhQvu 2022年3月19日閲覧。 
  11. ^ 鏡 優雅”. プロダクション・エース. 2022年3月19日閲覧。
  12. ^ “懐かしの“色が変わるスプーン”当たる! 「コーンフロスティ」「チョコワ」「チョコクリスピー」復刻版パッケージ発売! 象のメルビンも復活”. ガジェット通信 (東京産業新聞社). (2022年1月25日). https://getnews.jp/archives/3207950 2022年3月20日閲覧。 
  13. ^ “「コンビ名コーンフレークと間違えそう」 M-1王者・ミルクボーイのネタでコーンフレーク食べたくなったという人が続出 「腕を組んでる虎はトニー・ザ・タイガー」”. ねとらぼ (ITmedia). (2019年12月23日). https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/3709/ 2022年3月19日閲覧。 
  14. ^ “M-1覇者「ミルクボーイ」にコーンフレーク1年分 ケロッグが贈呈、CMも検討中”. 毎日新聞. (2019年12月23日). https://mainichi.jp/articles/20191223/k00/00m/040/197000c 2022年3月19日閲覧。 
  15. ^ “ミルクボーイ、M-1特需で仕事10倍増「1ヶ月で10年分働いてる」 ケロッグ公式応援サポに就任”. ORICON NEWS (オリコン). (2020年1月28日). https://www.oricon.co.jp/news/2154096/full/ 2022年3月19日閲覧。 
  16. ^ “Tony the Tiger Apparently Has a Big Italian Family, and We’re Really Confused”. デイリー・ミール英語版 (Tribune Publishing). (2017年8月14日). https://www.thedailymeal.com/eat/tony-tiger-apparently-has-big-italian-family-and-we-re-really-confused 2022年3月20日閲覧。  (英語)

関連項目 編集

外部リンク 編集