トヨタ・NZエンジンは、トヨタ自動車水冷直列4気筒アルミダイキャスト製ガソリンエンジンの系列である。

トヨタ・NZエンジン
1NZ-FE
生産拠点 トヨタ自動車
トヨタ自動車東日本
製造期間 HEV車用:
1997年11月 - 現在
ICE車用:
1999年7月 - 現在
タイプ 直列4気筒DOHC16バルブ
排気量 1.3リットル
1.5リットル
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2NZ-FEは2000年インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーの1.0 - 1.4Lエンジン部門賞に選ばれている。1NZ-FXEは2004年のインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーに選ばれており、グリーンエンジン部門も2004年から5年連続、1.4 - 1.8Lエンジン部門も1999年と2004年から3年連続で受賞している。

概要 編集

E型エンジンの後継として、1990年代末期から現在まで、同社の小型車クラスの主力エンジンに用いられている。

従来のE型エンジンと異なり、シリンダーブロックとシリンダーヘッドの材質にそれぞれアルミダイキャストが[注釈 1]、カムシャフトの駆動にはタイミングチェーンがそれぞれ用いられている。

2019年9月現在では、ハイブリッドカー専用の1NZ-FXE型、ローラーロッカーアーム式バルブ仕様の1NZ-FE型、およびLPGハイブリッド仕様の1NZ-FXPの3種類のみが生産されている。

2020年2月以降、トヨタの新世代エンジンであるダイナミックフォースエンジンが小型車向けに登場し、ヤリスを皮切りにガソリン車用はM15A-FKS、ハイブリッド車用はM15A-FXEへとそれぞれ移行が進み、主力車種は2代目シエンタを皮切りにNZエンジンの採用を終了している。2023年12月現在は、2代目カローラアクシオ(2代目トヨタ教習車含む)2WD車5速MT車と4WD車、および3代目カローラフィールダーの2WD車の5速MT車と4WD車、プロボックスの計3車種のみが本系列を搭載しており、主に法人向け車種で主流のエンジンとなっている。

系譜 編集

型式 編集

1NZ-FE 編集

1NZ-FE
生産期間 1999年7月 - [注釈 2]
(国内向け)
エンジン種別 ガソリンエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列 4気筒
種類 DOHC 16バルブ EFI VVT-i
内径×行程 75.0mm×84.7mm
排気量 1,496cc
圧縮比 10.5
出力 81kW(110PS)/6,000rpm
(FF車用・最初期型)
トルク 143N・m(14.6kg・m)/4,400rpm
(FF車用・最初期型)
重量 87kg(最初期型)

変わったところでは、ウエストレーシングカーズのレーシングカー「VITA-01」に、ヴィッツRS用の1NZ-FEが搭載されている[1]

1NZ-FXE 編集

 
1NZ-FXEエンジンとハイブリッドモーターのカットモデル
 
初代プリウス用1NZ-FXEエンジンとCVTのカットモデル
 
二代目プリウス用1NZ-FXEエンジンとCVTのカットモデル
1NZ-FXE
生産期間 1997年11月 -
(国内向け)
エンジン種別 ガソリンエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列 4気筒
種類 DOHC 16バルブ ミラーサイクルアトキンソンサイクル) EFI VVT-i
内径×行程 75.0mm×84.7mm
排気量 1,496cc
圧縮比 13.5
出力 56kW(76ps)/5,000rpm(初代プリウス)
トルク 110N・m(11.2kg・m)/4,000rpm(初代プリウス)
重量 -kg

圧縮比が高いのはミラーサイクル[注釈 6]のため。なお圧縮比13.5はNHW10の数値で、NHW11、NHW20では13.0、アクア、ヴィッツ/ヤリス、カローラアクシオ(EX含む)/フィールダー(EX含む)、リューギ/リューギワゴン、シエンタ、プロボックス/サクシードおよびそのOEMであるファミリアバンでは13.4となる。シリンダーチャージの減少はトルクと出力の低下につながるが、効率は向上している。これにより、1NZ-FXEはTHSとの併用が可能となり、電気モーターとバッテリーでピークトルクとパワーの要求を満たすことが可能となった。

鍛造スチール製コンロッドとアルミ製インテークマニホールドを採用。なお1NZ-FEのバルブ駆動方法は、当初の直動式のみであったところにローラーロッカーアーム式が追加され、のちにローラーロッカーアーム式に統一されたが、1NZ-FXEは改良されつつも一貫して直動式をとっている。

1NZ-FNE 編集

1NZ-FNE
生産期間 2003年4月 - 2014年6月
(国内向け)
エンジン種別 都市ガスエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列 4気筒
種類 DOHC 16バルブ CNGエンジン VVT-i
内径×行程 75.0mm×84.7mm
排気量 1,496cc
圧縮比 12.0
出力 68kW(92PS)/6,000rpm
トルク 125N・m(12.8kg・m)/4,400rpm
重量 -kg
  • 搭載車種(車両型式)
    • (初)プロボックス(NCP52V)

1NZ-FXP 編集

 
1NZ-FXPエンジン
1NZ-FXP
生産期間 2017年10月 -
(国内向け)
エンジン種別 LPGエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列 4気筒
種類 DOHC 16バルブ ミラーサイクル(アトキンソンサイクル) LPGエンジン EFI-LP VVT-i
内径×行程 75.0mm×84.7mm
排気量 1,496cc
圧縮比
出力 54kW(74PS)/4,800rpm
トルク 111N・m(11.3kg・m)/2,800 - 4,400rpm
重量 -kg

1NZ-FXEを開発のベースとしているが、バルブ駆動方式は耐久性確保のためローラーロッカーアーム式となっている[2]

2NZ-FE 編集

2NZ-FE
生産期間 1999年7月 - 2014年6月
(国内向け)
エンジン種別 ガソリンエンジン
冷却方式 水冷
シリンダー配置・数 直列 4気筒
種類 DOHC 16バルブ EFI VVT-i
内径×行程 75.0mm×73.5mm
排気量 1,298cc
圧縮比 10.5
出力 65kW(88PS)/6,000rpm
(FF車用・最初期型)
トルク 123N・m(12.5kg・m)/4,400rpm
(FF車用・最初期型)
重量 86kg(最初期型)
  • 搭載車種(車両型式)
    • (初)初代ヴィッツ(NCP10/15)
    • プラッツ(4WD車)(NCP16)
    • ファンカーゴ(NCP20)
    • WiLL Vi(NCP19)
    • Will サイファ(NCP70)
    • 初代bB(NCP30)
    • 9代目カローラセダン(NZE120)
    • イスト(NCP60)
    • プロボックス(NCP50V)※前期型のみ
    • ポルテ(NNP10)
    • 2代目ヴィッツ(4WD車)(NCP95)
    • ベルタ(4WD車)(NCP96)

   

脚注 編集

注釈

  1. ^ 一連のトヨタの小排気量向け直列4気筒エンジンとしては初の試みとなる。
  2. ^ 直動式バルブ仕様は1999年7月 - 2014年6月、ローラーロッカーアーム式バルブ仕様は2004年3月 -
  3. ^ 2代目モデルは4WD車のみ搭載。
  4. ^ NZE161/161GのCVT車用は前期型のみ搭載。
  5. ^ NZE161改のCVT車用は前期型のみ搭載。また、NZE161G改は登場当初からMT専用となる。
  6. ^ トヨタでの呼称はアトキンソンサイクル。

出典

  1. ^ 黒澤元治、長谷見昌弘らレジェンドが参加するデモレース。鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2019で開催決定 - オートスポーツ・2019年9月27日
  2. ^ 【トヨタ・ジャパンタクシー】は法的にも個人が購入してマイカーとして使うことができます。 - ラブカーズ

関連項目 編集