トランス女性

生物学上または出生届上は男性として誕生したが、女性としての性自認を持つ人物

トランス女性(とらんすじょせい)は、出生時男の身体性と自らを女性であるとの性自認が一致しないトランスジェンダーを意味する。トランスジェンダー女性の略称。トランスジェンダーやトランス女性とは、的に女性であることを望むが性転換手術を望まない人も含む言葉であり、未手術で出生時の男性機能を保持している人もいる[1][2][3]。 

逆に、性別適合手術など身体的な性別適合も望んでいる人、または性別適合手術済みの人はトランスセクシュアル(TS)と呼ぶ[4]

トランス女性の定義と論争編集

トランス女性(トランスじょせい、trans woman)は出生時に男性と識別されたが後天的に女性のジェンダーとなった者。トランス女性は出生時の性別と逆の性同一性を持っており性別違和症候群を経験する可能性があり、性別移行(GID)する可能性がある。この過程には通常、ホルモン補充療法が含まれ、場合によっては身体を女性に似せる外科的な性別適合手術が含まれる。これにより、性別違和感を和らげることができるとされる。性別適合手術までしたものには日本では戸籍の変更が可能となる便宜が図られている。 トランス女性は、異性愛両性愛同性愛(ただし出生時女性ではないため純粋な定義の女性同性愛ではない)、無性愛であるか、他の性的指向(クィアなど)である可能性がある。

現在もトランス女性の定義と範疇が定まらず混乱があり、女装者、クロスドレッサー、トランスヴェスタイトオートガイネフィリアもトランスジェンダー女性に含まれている曖昧な認識の問題もある。トランス女性を取り巻く環境に福祉や理解が必要であれば、一体どこまでをトランス女性とするかなどの定義と社会的合意が必要であり、今後更なる議論を深める必要がある。

性的指向編集

トランス女性の性的指向は異性愛(性的指向が身体男性)だけに限られず、両性愛(性的指向が身体男女)・同性愛(性的指向が身体女性)・無性愛、または上記のいずれでもない場合もある[5][3][6][7]。そのため、「身体も性自認も男性」が性的指向であるトランス女性の場合は、「Straight Trans Woman(異性愛トランス女性)」と呼ばれる[6]

2012年に約3000人のアメリカ国内のトランス女性を対象にした調査では、31%が両性愛、29%が同性愛、23%が異性愛、7%が無性愛、7%が「クィア」、2%が「その他」であった[8]

性適合後の性欲編集

2008年の「トランスセクシュアル女性の性欲低下:有病率とテストステロンレベルとの関連」という研究では、手術済トランス女性と女性の間でリビドーに統計的に有意な差は検出されなかった[9]。2014年に発表された別の研究によると、手術済トランス女性の62.4%が、性別適合後に身体男性だった手術前より性的欲求が低下したと報告している[10]

未手術トランス女性による女性専用空間利用と事件編集

アメリカのカリフォルニア州には、セルフID制度が制定されている州であり、未手術トランス女性でも性自認による女性専用空間利用が法的に認められている。そのため、2021年6月24日にアメリカ合衆国のカリフォルニア州のスパ施設店内にて、未成年の少女もいる女性専用エリアで未手術トランス女性が男性器を露出していることへの抗議を巡って、双方の支持者が衝突し、警察が出動する事態となったWi Spa事件が起きている[11]

女性専用空間である女子刑務所関連施設であるアメリカ合衆国ニュージャージー州のエドナマハン女性専用矯正施設(Edna Mahan Correctional Facility for Women)は2021年から未手術トランス女性も収容するようになった[12]。しかし、里親刺殺した罪で30年間の懲役が課されていた未手術トランス女性囚人が2022年に二人の女性を妊娠させたことで、州内の男性刑務所へ移動させられた。移送させられた未手術トランス女性囚人は「私はこのように扱われるに値しません。」 「移送された男子刑務所には LGBTQ+の支援グループが存在しない」と移送措置を批判している[12]

性適合手術済トランス女性(TS女性)例編集

性適合手術を受けたトランスジェンダー女性、つまりトランスセクシュアル女性(TS女性)として、日本人初・トランスジェンダータレントのパイオニアと言われるカルーセル麻紀[13]KABAちゃん[14]はるな愛(戸籍は名前と性を維持)[15]などがいる。

参考文献編集

  1. ^ トランスジェンダーなのに性転換手術しない理由とは?”. エキサイトニュース (2020年1月26日). 2022年6月21日閲覧。
  2. ^ Robertson, Kirsten (2022年7月18日). “Trans inmate who got two women pregnant is moved to men's prison”. Metro. 2022年7月25日閲覧。
  3. ^ a b Transgender FAQ”. GLAAD (2020年). 2020年6月30日閲覧。
  4. ^ デジタル大辞泉,世界大百科事典内言及. “トランスセクシュアルとは” (日本語). コトバンク. 2022年8月2日閲覧。
  5. ^ “Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender Health”. Centers for Disease Control and Prevention. (2017年5月18日). https://www.cdc.gov/lgbthealth/transgender.htm 2018年7月27日閲覧。 
  6. ^ a b My Experiences As A Straight Cis Man Engaged To A Straight Trans Woman”. HuffPost (2017年6月26日). 2020年6月30日閲覧。
  7. ^ 11 Dating Struggles Only Trans Lesbians Will Understand”. GoMag (2018年9月10日). 2020年6月30日閲覧。
  8. ^ Injustice at Every Turn: A Report of the National Transgender Discrimination Survey”. National Center for Transgender Equality & National Gay and Lesbian Task Force. p. 29 (2015年1月21日). 2012年7月3日閲覧。
  9. ^ “Hypoactive sexual desire in transsexual women: prevalence and association with testosterone levels”. European Journal of Endocrinology英語版 158 (3): 393–9. (Mar 2008). doi:10.1530/EJE-07-0511. PMID 18299474. 
  10. ^ Wierckx, Katrien; Elaut, Els; Van Hoorde, Birgit; Heylens, Gunter; De Cuypere, Griet; Monstrey, Stan; Weyers, Steven; Hoebeke, Piet et al. (2014). “Sexual Desire in Trans Persons: Associations with Sex Reassignment Treatment”. The Journal of Sexual Medicine 11 (1): 107–118. doi:10.1111/jsm.12365. PMID 24165564. 
  11. ^ Archive, View Author (2021年7月4日). “Violence in LA erupts after viral video of complaint about trans woman disrobing in spa”. New York Post. 2022年7月25日閲覧。
  12. ^ a b Robertson, Kirsten (2022年7月18日). “Trans inmate who got two women pregnant is moved to men's prison”. Metro. 2022年7月25日閲覧。
  13. ^ Company, The Asahi Shimbun (2012年6月7日). “カルーセル麻紀さん 「●●●を取ったらもてなくなった」〈週刊朝日〉”. AERA dot. (アエラドット). 2022年6月21日閲覧。
  14. ^ KABA.ちゃん、性別適合手術が無事成功 - モデルプレス”. モデルプレス - ライフスタイル・ファッションエンタメニュース. 2022年6月21日閲覧。
  15. ^ Company, The Asahi Shimbun (2014年7月15日). “はるな愛「女性になったけど、大西賢示のまま戸籍は男のままでいたいと思った」〈週刊朝日〉”. AERA dot. (アエラドット). 2022年6月21日閲覧。

関連項目編集