トリノスケール

地球への天体衝突の危険度を表すスケール

トリノスケール (Torino Scale) は、地球近傍天体 (NEO) が地球に衝突する確率、及び衝突した際の予測被害状況を表す尺度。色と数値で表される。

トリノスケールのチャート。上ほど天体が大きく、右ほど衝突確率が高い。

概要 編集

マサチューセッツ工科大学リチャード・ビンゼル英語版教授により提案され、1996年イタリアのトリノで開催された国際天文連盟の会議で採択された。

レベル1の小惑星発見に対する過剰報道(2003年の (143649) 2003 QQ47発見時の騒動など)を考慮し、2005年には説明文が改訂された。たとえば改訂前のレベル1は「注意深く観測するに値する事象」(Events meriting careful monitoring)だったが、改訂後は単なる「普通」(Normal)になった。

これまで実際に適用されたことのある最高の階級は、(99942) アポフィスのレベル4(2004年)である。また、レベル2まで引き上げられたケースは、アポフィスの他に (144898) 2004 VD17英語版2006年)がある。

階級表 編集

トリノスケールは、リスクの低い順から白、緑、黄、オレンジ、赤と色でも表される。 各色は大体以下のような意味である。

危険性なし (白)
0. 衝突の可能性は0といっていいほどに低い。もしくは大気中で燃え尽きるか、たとえ隕石として落下したとしてもほとんど被害が出ないほどに小さい天体である。
普通 (緑)
1. 地球近くを通過することが予想される天体が発見されたが、危険性は決して並外れたレベルにあるとはいえない。このような天体は日常的に発見される。衝突の可能性はきわめて低いと算定されており、公共の注意や懸念に値しない。さらに望遠鏡による観測を重ねれば、評価がLevel 0に切り替わると思われる。
天文学者による注意に値する (黄)
2. 地球との接近距離はいくらか近いが、そこまで珍しくもない程度のものである。さらに観測の幅が広ければ、そのような発見は日常茶飯事のものとなろう。天文学者は注意を払うに値するが、実際に衝突すると考えにくく公共の注意や懸念の根拠にはならない。さらに望遠鏡による観測を重ねれば、評価がLevel 0に切り替わると思われる。
3. 接近距離は近く、天文学者が注意を払うに値するものである。今のところ衝突して局地的な破壊がもたらされる可能性は1%以上と算定されている。さらに望遠鏡による観測を重ねれば、評価がLevel 0に切り替わる可能性はきわめて高い。遭遇が10年を切っているならば、公共、公共機関が注意するに値する。
4. 接近距離は近く、天文学者が注意を払うに値するものである。今のところ衝突して広域の破壊がもたらされる可能性は1%以上と算定されている。さらに望遠鏡による観測を重ねれば、評価がLevel 0に切り替わる可能性はきわめて高い。遭遇が10年を切っているならば、公共、公共機関が注意するに値する。
脅威 (オレンジ)
5. 地域を荒廃させる恐れのある深刻な、しかしまだ不確実な近接遭遇。衝突が起こるか否か確実に決定するため、天文家は非常に注意する必要がある。もし遭遇が10年を切っている場合、政府の非常事態計画は正当化されるかもしれない。
6. 世界的大災害発生の恐れのある深刻な、しかしまだ不確実な大きな物体の近接遭遇。衝突が起こるか否か確実に決定するため、天文家は非常に注意する必要がある。もし遭遇が30年を切っている場合、政府の非常事態計画は正当化されるかもしれない。
7. 世界的大災害発生の恐れのある空前の、しかしまだ不確実な大きな物体の今世紀中の非常な近接遭遇。今世紀のそのような脅威のために、国際的な非常事態計画は正当化され、特に衝突が起こるか否か緊急にそして確実に決定する。
間違いなく衝突 (赤)
8. 衝突は確実で、陸への衝突(沖合い近くなら津波かもしれないが)で局地的に破壊する能力を有する。そのような出来事は50年から数千年に一回の割合で発生する。
9. 衝突は確実である。陸への衝突や海洋への衝突による大津波によって空前の地域的荒廃をもたらす能力を有する。そのような出来事は1万年から10万年に一回の割合で発生する。
10. 衝突は確実である。それが陸海いずれで起こるにせよ、文明の存続が危ぶまれる程の全地球的な気候の壊滅的異変が起こるであろうことが明らかである。そのような出来事が起こる可能性は、10万年に一回かそれ以下の割合である。

脚注 編集

英語版WikipediaTorino Scale」はNASAのページから引用しています。

関連項目 編集