トロピカルTropical )は木製カメラ熱帯仕様のことである[1][2][3]ドイツ語ではトローペン[注釈 1]Tropen )である。

カメラの黎明期はイギリスの黄金時代でもあったが、その植民地は本国とは気候が違うため、本国で製造されたカメラをそのまま使うと色々な問題が想定された。そのためメーカーは熱帯の強い日差し、高温多湿に耐えられるよう設計したカメラを製作した。しかし後にはその仕上げの美しさから高級仕上げとしても珍重されるようになった[4][5]。工作は見事で工芸品と言っても良いものである[3]

製品としてはA・アダムスマイネックス[4][5]ソロントン・ピッカードルビーデラックスレフレックスマリオンソホレフレックス[6][7][5]ジェームズ・A・シンクレアウナ[4][8][9][1][3][注釈 2]ホートンサンダーソン[4][9][1][10]コンテッサ・ネッテルデクルローネッテル[4]アドロ[11][1]エルネマンクラップ[4]小西六リリー[12]等に存在することが知られる。

日差し対策 編集

熱を溜めないよう黒仕上げとしない。

高温多湿対策 編集

腕時計の「トロピカル」 編集

パテック・フィリップのRef.2526は強い日差しにも焼けないよう陶製文字盤を使用していることから、この言葉にちなんで「トロピカル」と俗称されている。

注釈 編集

  1. ^ 「トロッペン」と表記されることが多いがトロッペン(Truppen )では「部隊」という意味になってしまうので誤記である。
  2. ^ 1924年以降に作られたものが良いとされる。

出典 編集

  1. ^ a b c d e f 『クラシックカメラ専科』p.191。
  2. ^ a b c 『現代カメラ新書No.6、クラシックカメラ入門』p.37。
  3. ^ a b c d e f g h 『発明の歴史カメラ』p.73-77「金属製精密カメラへ移行」。
  4. ^ a b c d e f g h i 『現代カメラ新書No.6、クラシックカメラ入門』p.38。
  5. ^ a b c d e f 『クラシックカメラ専科』p.28。
  6. ^ 『クラシックカメラ専科』p.6。
  7. ^ 『クラシックカメラ専科』p.49。
  8. ^ 『クラシックカメラ専科』p.8。
  9. ^ a b 『クラシックカメラ専科』p.25。
  10. ^ 『クラシックカメラ専科No.2、名機105の使い方』p.148。
  11. ^ 『クラシックカメラ専科』p.26。
  12. ^ 『クラシックカメラ専科』p.11。

参考文献 編集

  • 鈴木八郎『現代カメラ新書No.6、クラシックカメラ入門』朝日ソノラマ
  • 鈴木八郎『発明の歴史カメラ』発明協会
  • 『クラシックカメラ専科』朝日ソノラマ
  • 『クラシックカメラ専科No.2、名機105の使い方』朝日ソノラマ