トロンプ級フリゲート
トロンプ級フリゲート(トロンプきゅうフリゲート、オランダ語: fregat van de Trompklasse、英: Tromp-class frigate)は、オランダ海軍が運用していたフリゲートの艦級。実質的にはミサイル駆逐艦とされている[1]。
トロンプ級フリゲート | |
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基本情報 | |
艦種 | フリゲート (ミサイル駆逐艦) |
前級 | デ・ロイテル級 (巡洋艦) |
次級 | ヤコブ・ファン・ヘームスケルク級 |
要目 | |
基準排水量 | 3,665t |
満載排水量 | 4,305t |
全長 | 133.2m |
最大幅 | 14.8m |
吃水 | 6.6m |
機関方式 | COGOG方式 |
主機 |
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巡航速力 | 28ノット (公試速力30ノット) |
航続距離 | 5,000海里 (18kt巡航時) |
乗員 | 306名 |
兵装 |
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搭載機 |
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C4ISTAR |
海軍戦術情報システム (SEWACO I+リンク 10/11) |
レーダー | |
ソナー |
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電子戦・ 対抗手段 |
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来歴 編集
1966年、オランダ海軍は、艦隊旗艦の任にあたっていたデ・ロイテル級巡洋艦の後継として、2隻の誘導ミサイル・フリゲート(Geleide Wapenfregatten)の建造を計画した。この計画に基づいて整備されたのが本級であり、1971年よりロイヤル・シェルデ造船所において建造に着手した[1]。
設計 編集
L/B比9.3と比較的幅広の船型を採用しており、またフィンスタビライザーも備えている。これにより、非常に優れた航洋性を実現した。船体および艦橋構造物は鋼製であるが、後部上部構造物はアルミニウム合金製とされた[2]。
主機関としては、当初は蒸気タービン主機の搭載が予定されていたが、運用人員削減の要請から、同国海軍で初めてガスタービンエンジンを搭載することになった。その主機構成は、西側諸国初のオール・ガスタービン推進戦闘艦であるイギリス海軍の21型フリゲートのものを踏襲して、巡航用のロールス・ロイス タインRM1Cと高速用のロールス・ロイス オリンパスTM3Bを組み合わせたCOGOG方式とされた[2]。推進器は5翔式の可変ピッチプロペラである。また電源は、450ボルト、60ヘルツの三相交流であり、SMIT/パクスマン・バレンタRP-200 12気筒ディーゼルエンジンによって駆動される出力1,000 kWの発電機を4基(うち2基のみで戦闘配置に充分な出力を確保可能)搭載した。機関部はパラレル配置による3区画構成とされており、第1機械室にオリンパス2基、発電機2基と補助ボイラー、第2機械室にタイン2基、発電機室に発電機2基を設置している[1]。
装備 編集
防空艦として最重要のセンサーとなる3次元レーダーとしては、国産のSPS-01を艦橋構造物上に設置した。これはSバンドの多機能レーダーで、パラボロイド・アンテナ2基と周波数走査アンテナ2基がそれぞれ背中合わせに配置されたほか、敵味方識別装置のアンテナ1基と、計5基のアンテナを用いた独特な構成を採用している。 [3]。1980年にはSPS-01に大型のプラスチック製レドームが設置され、コジャックの愛称で呼ばれた。またSEWACO I戦術情報処理装置も、アメリカの海軍戦術情報システム(NTDS)に準拠してはいるが、基本的には国産とされている。1984年から1985年にかけての改修でリンク 11の運用能力が付与されたほか、1988年から1989年の改修で、「トロンプ」にはSCOT衛星通信装置が搭載された[1][2]。
防空武器システムとしては、当初はイギリス製のシーダートが検討されていたが、最終的にはアメリカ製のターター・システムが選定された[2]。また個艦防空用としてシースパローIBPDMSも搭載された。ただしシースパローIBPDMS用の射撃指揮システムとしては、国産のWM-25が用いられている。主砲としては、退役するホラント級駆逐艦「ヘルダーラント」より転用されたボフォース社製120mm連装砲を改修の上で搭載している[1]。また後にゴールキーパー 30mmCIWSも搭載されたほか、デコイ発射機も、イギリス製のコーバスからアメリカ製のMk 36 SRBOCに換装された[2]。
配備 編集
1974年度の艦隊整備計画では、本級2隻によって、3個の対潜任務群のうち2個の旗艦に充当することとされていた[2]。
# | 艦名 | 造船所 | 起工 | 就役 | 退役 |
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F801 | トロンプ HNLMS Tromp |
ロイヤル・シェルデ | 1971年8月 | 1975年10月 | 1999年11月 |
F806 | デ・ロイテル HNLMS De Ruyter |
1971年12月 | 1976年6月 | 2001年10月 |
脚注 編集
- ^ a b c d e Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 376-377. ISBN 978-0870212505
- ^ a b c d e f Robert Gardiner, ed (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. p. 276. ISBN 978-1557501325
- ^ Norman Friedman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681
参考文献 編集
- seaforces.org. “Tromp class Guided Missile Frigate FFG - Royal Netherlands Navy -” (英語). 2013年2月16日閲覧。
- globalsecurity.org (2011年11月28日). “Tromp Class AAW Command Frigates” (英語). 2013年2月16日閲覧。
外部リンク 編集
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