ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ

藤子不二雄の藤本弘による日本の漫画、アニメ映画

ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ』(ドラえもん ぼく、ももたろうのなんなのさ)は、1981年8月1日[注 1]に公開された『ドラえもん』の映画第3作。上映時間46分の中編。長編映画『21エモン 宇宙へいらっしゃい』の併映作品。

ドラえもん
ぼく、桃太郎のなんなのさ
監督 神田武幸
脚本 城山昇
原作 藤子不二雄
出演者 レギュラー
大山のぶ代
小原乃梨子
野村道子
たてかべ和也
肝付兼太
ゲスト
桑原たけし
大宮悌二
辻村真人
音楽 菊池俊輔
編集 森田清次
製作会社 シンエイ動画旭通信社テレビ朝日
配給 東宝
公開 日本の旗1981年8月1日
上映時間 46分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 5億円[1]
テンプレートを表示

概要 編集

『ドラえもん』の映画第1作『のび太の恐竜』は1980年3月、同第2作『のび太の宇宙開拓史』はその1年後の3月に公開されたが、本作は第2作の公開後約5か月後に夏休み映画として公開された中編作品(1981年は『ドラえもん』の映画が2本公開されたことになる)。第1作と第2作は長編映画であり、翌年以降も『ドラえもん』の長編映画は3月公開が恒例となるが、夏に公開された中編映画の本作のみが例外となるため、本作は長編シリーズとは区別して扱われることが多い。

監督は神田武幸。タイトルは、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドのヒット曲「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の1フレーズ“あんた、あの娘のなんなのさ?”のパロディ。

本映画は、1975年に執筆された漫画『ドラとバケルともうひとつ』「ぼく、桃太郎のなんなのさ」(詳細は#漫画にて後述)を、『ドラえもん』単体の物語としてアレンジした作品である。『バケルくん』の登場人物の役割は「ドラえもん」のレギュラーキャラクターに、バケルくんの能力はドラえもんの道具に置き換えられている。

本映画はドラえもん (1979年のテレビアニメ)のスタッフにより作られた。テレビアニメでは放送時間帯変更に伴い1981年10月8日放送分よりキャラクターデザインが変更されたが、本作では変更後のデザインが一足早く使用された。

あらすじ 編集

夏休みの宿題として、自分の町の過去を調べることになったのび太。ドラえもんのひみつ道具タイムカメラ」で過去の光景を撮影したところ、なんと宝を荷車に積んだ桃太郎一行の姿が写っていた。

一方、のび太のママが偶然出会った外国人が持っていた小さな絵には、桃太郎の格好をした侍が描かれていた。その写真のような絵は、外国人が先祖から代々受け継いできた物だという。

「桃太郎は実在の人物かも知れない」そう思い始めたのび太とドラえもんは、しずか、スネ夫、ジャイアンと共にタイムマシンで過去の日本へと向かうのだった。

声の出演 編集

ゲストキャラクター 編集

オランダ人
声優 - 桑原たけし
のび太のママが出会ったオランダ人。先祖代々受け継いだという写真のような不思議な絵に、日本の侍らしき人物(=桃太郎)が写っていることから、その謎を解くため日本へ来た。642年前にドラえもん達に助けられたオランダの船長の子孫(なお、1338年当時は今日でいうところの「オランダ」はまだ存在していなかった)。方向音痴は先祖譲りである。
声優 - 大宮悌二
鬼が島に住み、村人から人間を襲う妖怪と思われていた。その正体はオランダの船長であり、方向音痴でスペインに向かう最中に嵐で乗組員と散り散りになり、島に流れ着いた。助けを呼ぶも、当時は鉄砲伝来からはるか前の時代であった故に、ヨーロッパ人を見たこともない当時の村人に恐れられて「鬼」と勘違いされて石や竹槍などを投げられ、自分の身を守るために鬼になりすましたという悲劇がある。オランダには妻と子供がおり、恋しがっていた。ドラえもんのどこでもドアで無事オランダへ帰還した。この時に桃太郎一行に扮したドラえもん達の写真を貰い、それが先述のオランダ人の家に受け継がれる。
村長
声優 - 辻村真人
鬼が島のそばの村の村長。神経質でドラえもん達を鬼の仲間と勘違いした。
村人
声優 - 野本礼三西尾徳沢りつお井上和彦
鬼が島のそばの村に住む村人。彼らも村長同様神経質でドラえもん達を鬼の仲間と勘違いして、逃げ出したドラえもん達を捕まえようと追いかけ回した。
おじいさん、おばあさん
声優 - 加藤正之、千々松幸子
川で拾った桃(モモボート)から現れた男子(のび太)を神の授かりものと勘違いして、桃太郎と名付ける。彼が鬼退治に行くと聞くと、武具ときび団子を与えた。
21エモン
声優 - 井上和彦
併映作品『21エモン 宇宙へいらっしゃい』の登場人物。ドラえもん達が時代を間違えて21世紀に来た時に、周囲を見回すドラえもんの後ろを通り過ぎている。『21エモン』側にも同一のシーンが存在してリンクしている。

スタッフ 編集

主題歌 編集

オープニングテーマ「ぼくドラえもん
作詞 - 藤子不二雄 / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 大山のぶ代、こおろぎ'73コロムビア・レコード
エンディングテーマ「青い空はポケットさ
作詞 - 高田ひろお / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 大杉久美子コロムビア・レコード
挿入歌「ドラえもんのうた
作詞 - 楠部工 / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 大杉久美子

漫画 編集

アニメ映画の原作は、藤子不二雄名義で1975年8月に『小学四年生』9月号に発表された漫画ドラとバケルともうひとつ』「ぼく、桃太郎のなんなのさ」である。藤本弘(のちの藤子・F・不二雄)による単独執筆作。てんとう虫コミックス『ドラえもん』9巻、藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』5巻に収録。

この漫画は『ドラえもん』と『バケルくん』(共に藤本単独執筆作)の合体企画で、両作のキャラクターが共演している。漫画は下記の3つのパートで構成されている。

時間写真のなぞ
『ドラえもん』の登場人物で展開。夏休みが終わりに近づいた8月下旬。ドラえもんのび太は、タイムカメラ(初期の単行本では「時間カメラ」と「タイムカメラ」の両方の呼称が用いられている[2])で撮影した637年9か月24日前の写真に桃太郎らしき人物が写っていることを発見する。
へんな外人のなぞ
『バケルくん』の登場人物で展開。バケル一家は、オランダ人から家に約600年伝わる写真を見せてもらって驚く。
桃からうまれた○○○
ドラえもん、のび太、バケルの3人は桃太郎の謎を解くため、タイムマシンで637年前(延元3年[注 2])の日本へと向かう。

テレビアニメ 編集

ぼく、桃太郎のなんなのさ2008
2008年3月7日テレビの1時間スペシャルにて放送された。「舞台は637年前」「タイムマシンが故障する」という設定は漫画版に即しており、1981年の映画とは異なっている。また、「オランダ人が最初から日本語を話せる」点が漫画とも映画とも異なっている。
2010年7月21日発売のDVD『TV版NEWドラえもん プレミアムコレクション 冒険スペシャル〜戦え!時空を超えて』(PCBE-53180)に収録されている[3]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 大阪地区では、2週間早く1981年7月18日に公開された。
  2. ^ グレゴリオ暦を用いた場合、本漫画作品の初出年および単行本初収録年の1975年を起点に637年9か月前を計算しても延元3年にはならない。

出典 編集

  1. ^ 「邦画フリーブッキング配収ベスト9作品」『キネマ旬報1982年昭和57年)2月下旬号、キネマ旬報社、1982年、123頁。 
  2. ^ てんとう虫コミックス9巻昭和54年9月30日第36刷では158頁では「時間カメラ」、189頁では「タイムカメラ」。
  3. ^ TV版NEWドラえもん プレミアムコレクション 冒険スペシャル〜戦え!時空を超えて”. ポニーキャニオン (2010年7月21日). 2016年6月21日閲覧。

関連項目 編集