ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲

ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 ハ短調 WoO63(ドレスラーのこうしんきょくによる9つのへんそうきょく ハたんちょう WoO63、: Neun Variationen über einen Marsch von Ernst Christoph Dessler c-moll)は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン1782年にピアノのために作曲した変奏曲[1]

概要 編集

ベートーヴェンの最初の出版作品で、11歳の時に書かれた作品だが、当時は10歳という詐称した年齢で出版された[2]。ベートーヴェンの初期の重要な師であるクリスティアン・ゴットロープ・ネーフェの勧めで出版され、マンハイムで印刷されている。主題を書いたエルンスト・クリストフ・ドレスラードイツ語版は、ゴータケルントナートーア劇場カッセルで活動した宮廷音楽家・テノール歌手・作曲家で、3年前の1779年に亡くなったばかりだった。

1803年にはほんの少し改稿しただけで、新版の刊行をベートーヴェンが許可している[3]。これは、報酬が手に入るとなると、古い時期に作曲された取るに足らないような作品の出版を、ベートーヴェンが断ることができなかった証拠である[3]。この再版時には「ドレスラー」の名前は削除されたが、10歳で作曲したという事実はそのまま残っている[3]

演奏時間 編集

約12~15分。

楽曲構成 編集

主題と9つの変奏からなっている。

マエストーソ、4分の4拍子の単純でぎこちないハ短調の行進曲主題を用い、変奏では慣習的な書法で右手か左手のどちらかで主題を提示し、和声構造も主題を保った形で進行する[1]。後のベートーヴェンの作品と比べると、かなり単純である[3]。最終変奏はハ長調になる。

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b ロックウッド 2010, pp. 73–75.
  2. ^ ロックウッド 2010, pp. 73–74.
  3. ^ a b c d ロックウッド 2010, pp. 75.

参考文献 編集

  • ルイス・ロックウッド『ベートーヴェン 音楽と生涯』土本英三郎・藤本一子[監訳]、沼口隆・堀朋平[訳]、春秋社、2010年11月30日。ISBN 978-4-393-93170-7 

外部リンク 編集