ナイト・レンジャー
ナイト・レンジャー(Night Ranger)は、アメリカ合衆国出身のロックバンド。
ナイト・レンジャー | |
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アメリカ・タンパ公演にて(2009年10月30日) | |
基本情報 | |
別名 |
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出身地 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンフランシスコ |
ジャンル | |
活動期間 | 1982年 - |
レーベル |
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公式サイト |
www |
メンバー | |
旧メンバー | 別記参照 |
「ヴァン・ヘイレン」らをはじめとした、米西海岸を代表するアメリカン・ハードロック・バンドの一つ。ブラッド・ギルス、ジェフ・ワトソンというギターヒーローを輩出するなど、結成から30年以上を経た現在も活動中[5]。最初の5枚のスタジオ・アルバムの売り上げは1000万枚を超え、[6]トータルセールスは1700万枚を記録している[7]。ツインギターによる演奏スタイルが特徴である。
来歴
編集結成まで (1977年 - 1982年)
編集1977年、サンフランシスコ・ベイエリアでファンク・ロック・バンド「ルビコン」が結成され、ジャック・ブレイズとブラッド・ギルスが参加、後にツアー・メンバーとしてケリー・ケイギーも加わる。
ルビコン解散後に3人は、よりロック色を濃くした「ステレオ」を結成する。その後、更なるサウンド強化を目指し、サミー・ヘイガーのバンドや「モントローズ」のメンバーだったアラン・フィッツジェラルド、その友人だったジェフ・ワトソンを加え「レンジャー」を結成。しかし同名のカントリー・バンドがいたため、「ナイト・レンジャー」と改名。
1982年、ブラッド・ギルスが事故で急死したランディ・ローズの代役として、オジー・オズボーン・バンドに参加のため一時離脱 (来日公演も果たしている)。
1982年、レコード契約を結んだのを機にブラッドが復帰し、1stアルバム『ドーン・パトロール』でデビュー。
頂点から解散へ (1982年 - 1989年)
編集デビュー・アルバム『ドーン・パトロール』や、2ndアルバム『ミッドナイト・マッドネス』(1983年)の軽快でキャッチーなハードロック・ナンバーが、当時のLAメタル(グラム・メタル)ムーブメントにもマッチし、多くの支持を得る。1983年には初来日公演を開催。
母国では、シングルカットした「シスター・クリスチャン」(1983年)や「センチメンタル・ストリート」(1985年)といったバラード曲の大ヒットを飛ばすが、逆に「バラード・バンド」という認識が強まり過ぎてジレンマに陥ってしまう。
ジャック・ブレイズは1987年のインタビューで、レコード会社によるバラード主体のシングル・リリースに不満を表明し「世間一般のファンが僕達のことをソフトなバラード・バンドと思い込んでいるけど、それはとんでもない誤解だ」と語っている[8]。予見した通り4thアルバム『ビッグ・ライフ』の頃からセールスが伸び悩む。
1988年、5thアルバム『マン・イン・モーション』をリリースするが、発表前にアラン・フィッツジェラルドが脱退。翌年にもジャック・ブレイズが脱退したことを受け、バンドも追い込まれるように活動停止に至った。
ムーン・レンジャー時代 (1991年 - 1996年)
編集1991年、ブラッド・ギルスはバンドの復活を企図し、ケリー・ケイギーとゲイリー・ムーンを誘った3人の変則メンバーで活動を始める。このときブラッドはジャック・ブレイズにも声を掛けているが、「不完全な形での再結成は如何なものか」と難色を示され、「ダム・ヤンキース」で活動中の事情もあり断られている。
後にデビッド・ザイーチェクが加入してツインギター編成を復活させ、アルバム『フィーディング・オフ・ザ・モジョ』(1995年)をリリースするなど、当初はナイト・レンジャー名義の活動としていたが、本来の姿ではなかったことから後年になり「ムーン・レンジャー」の呼称で区別している。
オリジナルメンバー再始動 - 現在 (1996年 - )
編集1996年、突如としてオリジナル・ラインナップでの来日公演が実現。日本のレーベル「ゼロ・コーポレーション」と契約し、翌1997年に9年ぶりの6thアルバム『ネヴァーランド』を発表。さらに1998年、再結成後2枚目の7thアルバム『セヴン』をリリースし、健在を印象づける。
しかしゼロ・コーポレーションの事業撤退を受ける形で、バンド活動も沈静化。2003年に来日公演を開催したが、アラン・フィッツジェラルドの姿はなく、「グレイト・ホワイト」のマイケル・ローディーが参加していた。
2007年、9年ぶりの8thアルバム『ホール・イン・ザ・サン』をリリース。しかしレコーディング終了後にジェフ・ワトソンの脱退が発表され、代役に「ウィンガー」のレブ・ビーチを迎え、同年来日公演を敢行。翌2008年も、「ファイアーハウス」とのジョイントで来日公演が決定。マイケルはグレイト・ホワイトへの活動復帰で離脱し、後任にジョエル・ホークストラ、クリスチャン・カレンが加入した。
2011年、4年振りに9thアルバム『サムホエア・イン・カリフォルニア』をリリース[9]。キーボードはエリック・リーヴィー。
2014年、区切りの10thアルバム『ハイ・ロード』をリリース[10]。8月にジョエルが「ホワイトスネイク」に移籍し[11]、後任に数々のバンドに参加実績のある実力派ギタリスト ケリ・ケリーが加入[12]。
2017年、11thアルバム『ドント・レット・アップ』を発表[13]。
2021年、12thアルバム『ATBPO ~アンド・ザ・バンド・プレイド・オン~』をリリース。
音楽的特徴
編集2人のギター・ヒーロー
編集ブラッド・ギルスとジェフ・ワトソンという対照的な2人のリード・ギタリストの存在が同バンドの大きな特徴である。
ブラッド・ギルス
- ステージポジションは上手(かみて・観客から見て舞台の右側)
- 赤いストラトキャスターを弾く
- アームを使用する
- 必要以上にタッピング奏法は使用はしない
- 速弾きは多用しない
ジェフ・ワトソン
- ステージポジションは下手(しもて・観客から見て舞台の左側)
- ゴールドトップのレスポールを弾く
- アームを使用しない
- エイトフィンガー奏法(タッピング奏法の一種)を使用する
- 速弾きを多用する
2人のリード・ボーカリスト
編集ギター同様、ジャック・ブレイズ、ケリー・ケイギーの2人のリード・ボーカリストがいることも、このバンドの特徴となっている。ハードな曲はジャック・ブレイズ、レイドバックした曲はケリー・ケイギーが担当することが多い。初期は1人のリード・ボーカルが1曲を通して歌うことが多かったが、5人で再結成した以降は、1曲の中で2人が分担したり、ハーモニを奏でることが多くなっている。
メンバー
編集現ラインナップ
編集- ジャック・ブレイズ (Jack Blades) - ボーカル、ベース (1982年-1989年、1996年- )
- ケリー・ケイギー (Kelly Keagy) - ボーカル、ドラムス (1982年- )
- ブラッド・ギルス (Brad Gillis) - ギター (1982年- )
- ケリ・ケリー (Keri Kelli) - ギター (2014年- )
- エリック・リーヴィー (Eric Levy) - キーボード (2011年- )
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ジャック・ブレイズ(Vo/B) 2009年
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ケリー・ケイギー(Vo/Ds) 2009年
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ブラッド・ギルス(G) 2012年
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ケリ・ケリー(G) 2008年
旧メンバー
編集- ジェフ・ワトソン (Jeff Watson) - ギター (1982年-1989年、1996年-2007年)
- アラン・フィッツジェラルド (Alan "Fitz" Fitzgerald) - キーボード (1982年-1988年、1996年-2003年)
- ジェシー・ブラッドマン (Jesse Bradman) - キーボード (1988年-1989年)
- ゲイリー・ムーン (Gary Moon) - ボーカル、ベース (1991年-1996年) ※ムーン・レンジャー時代
- デビッド・ザイーチェク (David Zajicek) - ギター (1993年-1996年) ※ムーン・レンジャー時代
- マイケル・ローディー (Michael Lardie) - キーボード (2003年-2007年)
- レブ・ビーチ (Reb Beach) - ギター (2007年-2008年)
- クリスチャン・カレン (Christian Matthew Cullen) - キーボード (2007年-2011年)
- ジョエル・ホークストラ (Joel Hoekstra) - ギター (2008年-2014年)
ディスコグラフィ
編集スタジオ・アルバム
編集- 『ドーン・パトロール』 - Dawn Patrol (1982年)
- デビューシングルとなった「炎の彼方 (Don't Tell Me You Love Me)」(40位)、セカンドシングル「シング・ミー・アウェイ」(54位)を収録
- 『ミッドナイト・マッドネス』 - Midnight Madness (1983年)
- 米ビルボード15位 プラチナム 「シスター・クリスチャン」(5位)「ホエン・ユー・クローズ・ユア・アイズ」(14位)「ロック・イン・アメリカ」(51位)を収録
- 『セヴン・ウィッシーズ』 - 7 Wishes (1985年)
- 米10位 プラチナム 「センチメンタル・ストリート」(8位)「フォー・イン・ザ・モーニング」(19位)「グッドバイ」(17位)を収録
- 『ビッグ・ライフ』 - Big Life (1987年)
- 映画『摩天楼はバラ色に』主題歌「シークレット・オブ・マイ・サクセス」(64位)も収録
- 『マン・イン・モーション』 - Man in Motion (1988年)
- 『フィーディング・オフ・ザ・モジョ』 - Feeding off the Mojo (1995年)
- 前述の通称ムーン・レンジャー時代の作品であることもあり、現在バンド側は正式なナイト・レンジャーの作品として認めていない。
- 『ネヴァーランド』 - Neverland (1997年)
- 『セヴン』 - Seven (1998年)
- 『ホール・イン・ザ・サン』 - Hole in the Sun (2007年)
- 『サムホエア・イン・カリフォルニア』 - Somewhere in California (2011年)
- 『ハイ・ロード』 - High Road (2014年)
- 『ドント・レット・アップ』 - Don't Let Up (2017年)
- 『ATBPO ~アンド・ザ・バンド・プレイド・オン~』 - ATBPO(2021年)
ライブ・アルバム
編集- 『ライヴ・イン・ジャパン』 - Live in Japan (1990年)
- 『ロック・イン・ジャパン 1997』 - Rock in Japan '97 (1997年)
- Rock Breakout Years: 1984 (2005年)
- The Best of Night Ranger Live (2006年)
- Night Ranger Live (2007年)
- Extended Versions (2007年)
- 『ロッキン・シブヤ 2007』 - Rockin' Shibuya 2007 (2008年)
- 『24ストリングス&ア・ドラマー〜ライヴ&アコースティック!!』 - 24 Strings & a Drummer (Live & Acoustic) (2012年)
- 35 Years and a Night in Chicago (2016年)
- 『40イヤーズ・アンド・ア・ナイト・ウィズ・ザ・コンテンポラリー・ユース・オーケストラ』 - 40 Years And A Night With Contemporary Youth Orchestra (2023年) ※同名のライブビデオ作品(DVD/BD)も同時発売[14][15]。
コンピレーション・アルバム
編集- 『グレイテスト・ヒッツ』 - Greatest Hits (1989年)
- Rock Masterpiece Collection (1998年)
- 『キープ・ロッキン (ベスト・セレクション97-98)』 - Keep Rockin': Best Selection '97–'98 (1998年)
- 20th Century Masters: The Millennium Collection – The Best of Night Ranger (2000年)
- Hits, Acoustic & Rarities (2005年)
- 『ナイト・レンジャー・ボックス』 - Night Ranger Box (2007年)
- Icon (2015年)
シングル
編集- 「炎の彼方」 - "Don't Tell Me You Love Me" (1983年)
- 「シング・ミー・アウェイ」 - "Sing Me Away" (1983年)
- 「ロック・イン・アメリカ」 - "(You Can Still) Rock in America" (1983年)
- 「シスター・クリスチャン」 - "Sister Christian" (1984年)
- 「ホエン・ユー・クローズ・ユア・アイズ」 - "When You Close Your Eyes" (1984年)
- 「センチメンタル・ストリート」 - "Sentimental Street" (1985年)
- 「フォー・イン・ザ・モーニング」 - "Four in the Morning (I Can't Take Any More)" (1985年)
- 「グッドバイ」 - "Goodbye" (1985年)
- 「シークレット・オブ・マイ・サクセス」 - "The Secret of My Success" (1987年)
- 「ハーツ・アウェイ」 - "Hearts Away" (1987年)
- "Color of Your Smile" (1987年)
- 「フォー・ラヴ」 - "I Did It for Love" (1988年)
- "Restless Kind" (1988年)
- 「ドント・スタート・シンキング」 - "Don't Start Thinking (I'm Alone Tonight)" (1989年)
- "Reason to Be" (1989年)
- "Forever All Over Again" (1997年)
- 「ニューヨーク・タイム」 - "New York Time" (1997年) ※EP
日本公演
編集- 1983年
- 12月6日 東京厚生年金会館、7日 フェスティバルホール、8日 名古屋市公会堂、9日 中野サンプラザ、10日 NHKホール、 13日 東京厚生年金会館
- 1985年
- 1986年
- 1月27日,28日 日本武道館、29日 フェスティバルホール、30日 大阪厚生年金会館大ホール
- 1988年
- 11月14日,15日 中野サンプラザ、16日 大阪厚生年金会館大ホール、19日 渋谷公会堂
- 1996年
- 7月8日,9日,10日 新宿リキッドルーム
- 1997年
- 4月6日 仙台電力ホール、7日,8日,9日 赤坂BLITZ、11日 ダイアモンドホール、12日 大阪厚生年金会館、13日 福岡スカラエスパシオ
- 1998年
- 2003年
- 12月4日 広島クラブクアトロ、5日 心斎橋クラブクアトロ、6日 名古屋クラブクアトロ、8日,9日,10日 渋谷クラブクアトロ
- 2007年
- 6月10日 渋谷C.C.Lemonホール、11日 名古屋クラブクアトロ、13日 松下IMPホール、15日 渋谷C.C.Lemonホール
- ジェフ・ワトソンの代役としてホワイトスネイクのレブ・ビーチの参加が決定した。
- 2008年 ファイアーハウスとのジョイントツアー
- 2011年
- 6月9日 大阪なんばHatch、10日 名古屋ボトムライン、13日,14日 渋谷C.C.Lemonホール
- 2014年
- 2017年
- 10月4日 広島クラブクアトロ、5日 ダイアモンドホール、7日 松下IMPホール、8日,9日 東京ドームシティホール
- 2019年
- 10月5日 マイナビBLITZ赤坂、7日,8日 昭和女子大学人見記念講堂、10日 あましんアルカイックホール
- 1st『ドーン・パトロール』&2nd『ミッドナイト・マッドネス』完全再現 さらにベスト・ヒットを加えた来日公演。
- 2022年
- 10月21日,22日,23日 昭和女子大学 人見記念講堂、25日 グランキューブ大阪
- デビュー40周年記念ツアー来日公演。
関連項目
編集- ルビコン - ナイト・レンジャー結成前にジャック・ブレイズ、ブラッド・ギルス、ケリー・ケイギーが在籍したファンク・ロック・バンド。
- モントローズ - ナイト・レンジャー結成前にアラン・フィッツジェラルドが在籍したハードロック・バンド。
- オジー・オズボーン - ランディ・ローズ亡き後、ブラッド・ギルスが一時在籍。
- ダム・ヤンキース - ナイト・レンジャー解散後にジャック・ブレイズがテッド・ニュージェントやスティクスのトミー・ショウらと結成したバンド。
- ショウ・ブレイズ - ダム・ヤンキースのソングライティングチームであったジャック・ブレイズとトミー・ショウが発表したアコースティック・アルバムのユニット。95年発表。
- マザーズ・アーミー - ナイト・レンジャー解散後にジェフ・ワトソンがジョー・リン・ターナーやカーマイン・アピスらと結成したバンド。
- TMG - 2004年にB'zの松本孝弘を中心に結成されたハードロック・バンド。ジャック・ブレイズが在籍。
- シブがき隊 - グループの代表曲である「ZOKKON 命(LOVE)」でナイト・レンジャーの代表曲「Don't Tell Me You Love Me」のイントロのリフを拝借したエピソードは非常に有名であり、日本の音楽雑誌でネタにされたことがあった。
- グレイト・ホワイト - マイケル・ローディが元来在籍するハードロックバンド。また1999年にジャック・ブレイズがそのアルバム『Can't Get There From Here』をプロデュースした。
脚注
編集- ^ Night Ranger – Artist Details - オールミュージック. 2023年4月5日閲覧。
- ^ McPadden, Mike (2015年9月24日). “The Hair Metal 100: Ranking the '80s Greatest Glam Bands, Part 4”. VH1 News. Viacom International. 2023年4月5日閲覧。
- ^ Talevski, Nick (2010). Knocking on heaven's door : rock obituaries. London: Omnibus. p. 210. ISBN 978-0-85712-117-2. OCLC 804890832
- ^ Harrison, Thomas (2011). Music of the 1980s. Santa Barbara, California: Greenwood. p. 80. ISBN 978-0-313-36600-0. OCLC 741122865
- ^ Night Rangerプロフィール - キングレコード
- ^ https://web.archive.org/web/20090704123758/http://www.sonymusic.com/artists/NightRanger/biograph.html
- ^ https://web.archive.org/web/20090704123758/http://www.sonymusic.com/artists/NightRanger/biograph.html
- ^ Night Ranger Denies Being Only A 'Ballad Band' - Sun Sentinel - 2014年9月23日閲覧
- ^ サムホエア・イン・カリフォルニア/ナイト・レンジャー - ヤング・ギター
- ^ アメリカン・ハードロックの雄ナイト・レンジャー、アルバム『ハイ・ロード』を携えてのジャパン・ツアー決定 - BARKS
- ^ ホワイトスネイク、新ギタリストを公表 BARKS 2014年8月23日
- ^ ナイト・レンジャーの新ギタリストはKeri Kelli - amass
- ^ ナイト・レンジャー、3月にニューアルバム - BARKS
- ^ “NIGHT RANGERが10月発売のオーケストラ共演ライヴ作品から ”Sister Christian” の映像を公開!”. BURRN! ONLINE (2023年9月7日). 2023年10月21日閲覧。
- ^ “ナイト・レンジャー、オーケストラ共演ライヴ作品『40 Years And A Night With Contemporary Youth Orchestra』全曲公開”. amass.jp (2023年10月20日). 2023年10月21日閲覧。