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ナショナル・シアター・ライヴ(英語: National Theatre Live)、略称NTライヴロンドンロイヤル・ナショナル・シアターが行っている企画であり、衛星中継により、ナショナル・シアターその他の上演を世界中の映画館やアートセンターで上映するというものである。

目次

来歴編集

私は1960年代にマンチェスターで育ちました。もしあの時地元の映画館でローレンス・オリヴィエ[1]がナショナル・シアターに出ているのを見られていたとしたら、入り浸っていたでしょうね。
ロイヤル・ナショナル・シアター総監督ニコラス・ハイトナー[2]

2009年6月にヘレン・ミレン主演の『フェードル』の上演でパイロットシーズンが始まり、イギリス中の70の映画館で中継された[3]。最終的には世界中の200以上の会場でこのプロダクションが上映され、あわせて5万人以上が1回のパフォーマンスを見たことになった[3]。2本目のプロダクションである『終わりよければ全てよし』は合計300ほどのスクリーンで上映された[4]。2017年時点ではNTライヴのプロダクションを上映する会場の数は700館ほどになっている[5]

土曜のマチネだったNation、月曜の夕方だったLondon Assurance、火曜の夕方だった『欲望という名の電車』を除き、すべてのナショナル・シアター・ライヴのプロダクションは映画館の週末スケジュールと重ならないよう、木曜日の午後にパブリックビューイングの中継を行う。ほとんどの会場ではライヴ中継を上映するが、南アフリカ、オーストラリアニュージーランドアメリカ合衆国日本などの会場では時差のために撮影したプロダクションを後日上映している。多くの会場では「アンコール」と言われる、人気作品の再上映も行っている。

上映されるプロダクションのほとんどはロイヤル・ナショナル・シアターのレパートリーで上演された芝居だが、他の劇団による作品も含まれている。コンプリシテの『消え行く数字』(A Disappearing Number)は2010年10月14日にプリマスのシアター・ロイヤルから中継された[6]デレク・ジャコビ主演の『リア王』はドンマー・ウエアハウスのプロダクションで、2011年2月3日にコヴェント・ガーデンから中継された[6]。2013年7月20日にはケネス・ブラナーアレックス・キングストン主演の『マクベス』がマンチェスター国際フェスティバルから中継された[7]ジリアン・アンダーソン主演の『欲望という名の電車』はヤング・ヴィクから2014年9月16日に中継された[8]。この他にもニューヨークブロードウェイにあるロングエーカー劇場で上演された『二十日鼠と人間』など、他劇場で収録されたプロダクションはいくつかある。

2015年にバービカン・センターから中継されたベネディクト・カンバーバッチ主演『ハムレット』はナショナル・シアター・ライヴ史上最大のヒットとなっており、2016年8月の時点において、世界で55万人以上が鑑賞していた[9]

日本語版編集

日本におけるナショナル・シアター・ライヴは2014年2月、ベネディクト・カンバーバッチジョニー・リー・ミラー主演の『フランケンシュタイン』上映から展開を開始した[10]。カルチャヴィルとTOHOシネマズの協力によるプロジェクトであり、日本語字幕をつけて上映を行っている[11]。時差のためライヴ中継ではなく、またイギリスで収録された全てのプロダクションが上映されているわけではない。

上映作品編集

注記がないかぎりは全てナショナル・シアターで収録された上演である[12]。日本語版が上映されたものについても注記してある。通常の長編映画とは異なる扱いであり、日本では非映画コンテンツなどと言われる。

2009年編集

2010年編集

  • Nation – 2010年1月30日
  • The Habit of Art – 2010年4月22日
  • London Assurance – 2010年6月28日

2011年編集

  • 『一人の男と二人の主人』– 2011年9月15日。2017年に日本で上映。
  • The Kitchen – 2011年10月6日
  • Collaborators – 2011年12月1日

2012年編集

2013年編集

2014年編集

2015年編集

2016年編集

2017年編集

  • 『フォーリーズ』 - 2017年11月16日[26][27]。2018年に日本で上映。
  • 『ヤング・マルクス』- 2017年12月、ブリッジ・シアターより中継[28]。2018年に日本で上映。

2018年編集

2019年編集

受容編集

イギリスでは当初、ナショナル・シアター・ライヴがライヴパフォーマンスのチケット売り上げに悪影響を与えることが懸念されていた[50]。しかしながら、ナショナル・シアター・ライヴのせいでライヴ公演のチケットが売れなくなるという兆しはないことが指摘されている[51]

日本においては、イアン・マッケラン主演の『リア王』など注目度の高い演目を「海外へ行かずして日本の映画館で見られるのは貴重な機会[52]」であるとして評価されており、演劇ファンの間では「好評[53]」を博しているとされる。中本千晶は、あまり舞台を見に行ったことのない観客にもすすめられるシリーズであり、「日本でも定着しつつある[54]」と評価している。

脚注編集

  1. ^ National Theatre Live”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  2. ^ National Theatre broadcast live to cinemas around the world”. Loncoln Theatre. 2017年7月24日閲覧。
  3. ^ a b Hasan Bakhshi and David Throsby (2010年). “Culture of Innovation: An Economic Analysis of Innovation in Arts and Cultural Organisations”. National Endowment for Science, Technology and the Arts. 2017年7月24日閲覧。
  4. ^ Maurice Hindle (2015). Shakespeare on Film. Palgrave Macmillan. p. 89. 
  5. ^ National Theatre Live”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  6. ^ a b National Theatre Live: Complicite's A Disappearing Number”. Dundee Contemporary Arts. 2017年7月24日閲覧。
  7. ^ Macbeth”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  8. ^ a b A Streetcar Named Desire”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  9. ^ National Theatre Live: everything you need to know”. The Telegraph. 2017年7月24日閲覧。
  10. ^ 狩野良規「スクリーンでロンドンの演劇を」Artlet: Keio University Art Center Newsletter, 44 (2015): 10–11. http://www.jstr.org/project/Arcive/ARTLET-44_0914.pdf
  11. ^ 「すべてのお客様にS席で観る機会を作りたい」ベネディクト×ジョニー主演『フランケンシュタイン』スクリーン上映の「舞台裏」インタビュー”. 海外ドラマNAVI (2014年2月8日). 2017年7月24日閲覧。
  12. ^ 上映情報は基本的にナショナル・シアター・ライヴ公式サイト及び日本語版公式サイト日本語版公式ツイッターアカウントの速報に拠る。
  13. ^ Mark Brown (2010年7月29日). “Sir Derek Jacobi's King Lear to go live at 300 world cinemas”. The Guardian. 2017年7月24日閲覧。
  14. ^ Othello”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  15. ^ King Lear”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  16. ^ A Small Family Business”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  17. ^ Skylight”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  18. ^ Medea”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  19. ^ JOHN”. National Theatre Live. 2016年5月27日閲覧。
  20. ^ Behind the Beautiful Forevers”. National Theatre Live. 2016年5月27日閲覧。
  21. ^ The Hard Problem”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  22. ^ Everyman”. National Theatre Live. 2016年5月27日閲覧。
  23. ^ 「英米の傑作舞台、日本の映画館で 字幕つき録画版」『朝日新聞』2015年5月14日、夕刊、p. 3。
  24. ^ ntlivejapan | ヴァージニア・ウルフなんかこわくない” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  25. ^ a b NTLive2019前半ラインナップ発表~『マクベス』『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』『リア王』『英国万歳!』『アントニーとクレオパトラ』 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス”. SPICE(スパイス)|エンタメ特化型情報メディア スパイス. eplus (2018年12月29日). 2019年6月15日閲覧。
  26. ^ Follies”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  27. ^ NT Live on Twitter」『Twitter』、2017年1月27日。2018年6月16日閲覧。
  28. ^ Young Marx – The Bridge Theatre” (英語). bridgetheatre.co.uk. 2017年4月21日閲覧。
  29. ^ “NT Live on Twitter” (英語). Twitter. https://twitter.com/NTLive/status/854655768292974592 2017年4月21日閲覧。 
  30. ^ ntlivejapan | ジュリアス・シーザー” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  31. ^ New for 2017 and 2018”. National Theatre Live. 2017年7月24日閲覧。
  32. ^ ntlivejapan | マクベス” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  33. ^ Julie - National Theatre Live”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2018年6月23日閲覧。
  34. ^ a b アレルヤ!” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  35. ^ King Lear - National Theatre Live”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2018年6月23日閲覧。
  36. ^ リア王” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  37. ^ The Madness of George III - National Theatre Live”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2018年6月23日閲覧。
  38. ^ 英国万歳!” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  39. ^ Antony & Cleopatra - National Theatre Live”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2018年6月23日閲覧。
  40. ^ アントニーとクレオパトラ” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  41. ^ a b リチャード二世” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  42. ^ I'm Not Running - National Theatre Live”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2018年6月23日閲覧。
  43. ^ a b c イヴの総て” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  44. ^ a b c みんな我が子” (日本語). ntlivejapan. 2019年6月15日閲覧。
  45. ^ Small Island”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2019年6月15日閲覧。
  46. ^ The Lehman Trilogy”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2019年6月15日閲覧。
  47. ^ A Midsummer Night’s Dream”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2019年6月15日閲覧。
  48. ^ Hansard”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2019年6月15日閲覧。
  49. ^ Present Laughter”. ntlive.nationaltheatre.org.uk. 2019年6月15日閲覧。
  50. ^ Hemley, Matthew (2014年1月10日). “NT Live must not become a "substitute" for theatregoing – Stephen Joseph Theatre executive | News” (英語). The Stage. 2019年6月15日閲覧。
  51. ^ Hasan Bakhshi and David Throsby, ‘Digital Complements or Substitutes? A Quasi-field Experiment from the Royal National Theatre’, Journal of Cultural Economics, 38 (2014):1–8, p. 7.
  52. ^ ナショナル・シアター・ライブ2019 イアン・マッケラン主演 × シェイクスピア作『リア王』予告編解禁 - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)” (日本語). screenonline.jp. 2019年6月15日閲覧。
  53. ^ 狩野良規「スクリーンでロンドンの演劇を」『ARTLET』44 (2015):9-10、p. 9。
  54. ^ 中本千晶「ナショナル・シアター・ライブ5周年――本場英国の舞台を身近に(中本千晶のレビューれびゅー)」『日経MJ』2018年8月17日。

関連項目編集

外部リンク編集