NPR(エヌ・ピー・アール)は、以前ナショナル・パブリック・ラジオアメリカ英語: National Public Radio)と呼ばれていた、アメリカ合衆国非営利団体公共放送用番組の作成・配布を行なう。自身では電波に載せる放送は行わず、放送は有料会員の1,000局を超える全米の放送局で行なわれ、これら会員は地方政府関連の外郭団体、州立大学による放送局が多い。2010年より、それまで略称であったNPRを正式名称とした[1]。会員放送局の番組の放送は電波でだけでなく、各放送局のインターネットでも配布されるので、国内だけでなく海外でも聞くことができる。

NPR
National Public Radio logo.svg
形態 公共放送
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

概要編集

 
ワシントンD.C.にあるNPR本部

NPRは1971年4月にアメリカ公共放送社 (CPB)によってナショナル・パブリック・ラジオとして設立された。前身はNERN(National Educational Radio Network、全国教育ラジオネット)。本部はワシントンD.C.にあり、現在はNPRを正式名としている。約900の加盟局に番組を配信、組織化するとともに独自編成によるインターネット放送や、加盟局のストリーミングサービスの代行を行っている。加盟局そのものが独自の組織体であり、編成権は各放送局に委ねられている。加盟局はNPR以外の公共ネットワークから番組の配信を受ける事も出来る(日本語でいうクロスネット局)。

配信する番組はNPR独自制作のほか、加盟局制作の番組も配信する。独自番組ニュース・文化系が中心であり、通勤時間帯に放送されるワイド番組『Morning Edition』(聴取者は全国で1400万人と言われる看板番組)及び『All Things Considered』がある。クラシックジャズなどの音楽番組も制作している。日本放送協会(NHK)など、海外の放送局が制作した番組も一部放送している[2]

NPRの予算は12%が連邦および州政府からの交付金、50%が聴取者とスポンサーからの寄付金、残りは財団や大学などから提供される。連邦政府からの交付金はNPRを対象として議決された予算ではなく、様々な競争的資金を獲得したものである。

NPR会員局編集

NPRの会員局および公共放送ラジオ会社のいくつかを下に挙げる。州によっては、ひとつの局が州全体を中継局、リピーターでカバーしている。

など

関連組織編集

米国の公共ラジオ放送に関連した非営利組織に、次の3つがあったが、1つは他と合併して2つになっている。。

Public Radio International編集

パブリック・ラジオ・インターナショナル(略称:PRI)は、本部が東海岸にあるナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)に対して、1983年に本部が中西部ミネソタ州セントポールにある組織として設立されたもので、自身でも850局を持っていた。イギリスBBCのラジオ放送を米国へ取り次いでいて、BBCとWGBH-FMと共同制作の番組「ザ・ワールド」(The World)もよく知られていた。2019年にPublic Radio Exchangeへ合併して業務をそちらへ移し、消滅した。

American Public Media編集

アメリカン・パブリック・メディア(略称:APM)(本社:ミネソタ州セントポール、略称:APM)は、1994年にPublic Radio International(当時の名称はAmerican Public Radio)から番組を引き継いだ組織で、現在はNPR社に次いで多くのプログラムを公共ラジオのために作成していて、自身でもミネソタ州と南カリフォルニア州で公共ラジオ放送局を持っている。週末のカントリー・ミュージック番組「ライブ・フロム・ヒア」(Live from Here、旧称:プレーリー・ホーム・コンパニオン)、週日のビジネス情報番組「マーケットプレース」(Marketplace)がよく知られている。

Public Radio Exchange編集

パブリック・ラジオ・エクスチェンジ(略称:PRX)は2003年に開設された組織で(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)、公共ラジオ放送をインターネットで配信すると同時に、番組の評論を交流できるサービスを提供している。

ディジタル・メディア編集

NPRは1990年代から、ディジタル・メディアを重視してきて、自身および会員放送局がインターネットでも聴取者が聞けるように務めてきた。

NPR One編集

NPRは2014年にiOSおよびAndroid向けにNPR Oneを発表して、これは2016年にニューヨーク・タイムズ紙がベスト・アプリに選んでいる。 [3]

番組編集

おもな番組を、制作・配布関係で3つの分野に大きく分類して以下に挙げる。また、各会員放送局ではこれらの番組以外にも、独自の番組を放送している。

NPR制作の番組編集

ニュースなど編集

文化関係編集

NPRが配布する番組編集

NPRに直接関係ない放送局の番組編集

NPR以外の公共放送関係機関であるAmerican Public Media (APM)、Public Radio Exchange (PRX、2018年にNPRと合併)、その他になる番組。

American Public Mediaによる編集

Public Radio Exchangeによる編集

WNYC Studiosによる編集

議論編集

論調が政治的にリベラル寄りだとして保守派の政治家、コラムニストなどから批判の対象になることが多く、共和党議員には連邦予算を削減するべきだと主張するものも多い。2010年には「飛行機に乗った際にイスラム教徒がいると不安になる」と発言した人気解説者のファン・ウィリアムズが人種差別的であるとして解雇されたが、この決定をめぐっては処分が厳しすぎるとして批判する者もいた。

2011年の隠しビデオ・スキャンダル編集

以前からNPRの政治傾向に不満を抱いていた保守派の政治活動家ジェームズ・オキーフは、ムスリム同胞団に関連するイスラム団体の関係者だと偽り、500万ドルの寄付金を提供するとNPRに持ちかけた。オキーフは隠しビデオを用意したうえで資金集め担当の重役ロン・シラーと会食し、誘導的な質問によって「現在の共和党、特にティーパーティー運動キリスト教原理主義そのものだ。キリスト教徒だと呼ぶのもいやだ」「共和党の重鎮は党が過激派に乗っ取られていると話している。彼らはイスラム恐怖症でレイシストだ」とのコメントを引き出し、ビデオを公開した[4]。オキーフは以前にもリベラル系の市民団体ACORNに対して同様の罠を仕掛けて政治問題化させている。

このスキャンダルによりロン・シラーは辞職、さらに議会におけるNPRへの補助金削減への圧力が高まることを懸念してCEOのビビアン・シラー(ロン・シラーと血縁関係はない)も辞職した[5]

関連項目編集

参照編集

外部リンク編集