ニューギニア海溝(ニューギニアかいこう、: New Guinea trench)は、ニューギニア島北方沖に沿って存在する海溝プレートテクトニクスでは沈み込み帯とされる。

概要 編集

西端はマピア環礁英語版付近(東経134.5度)、東端はウェワク付近(東経143度40分)で、全長は約1,100kmとなっている[1]

ニューギニア島暁新世からメッシニアンまではニューギニア高地英語版南縁やポックリントントラフ英語版から、インド・オーストラリアプレート太平洋プレート下へ沈み込む収束型境界であった。

オントンジャワ海台北ソロモン海溝英語版への衝突や、サフル大陸の衝突(ニューギニア高地の形成)などにより、この沈み込み帯は停止。代わってニューブリテン海溝英語版やニューギニア海溝の沈み込みが開始した。

ニューギニア海溝はポックリントントラフとは逆に、北の太平洋プレート側の西カロリン海盆英語版が、南のインド・オーストラリアプレート側のニューギニア島下に沈み込む収束型境界とされている[2]スラブは最深部で160kmまで到達しているが、火山フロントは形成されていない[3]。現在のニューギニア島中央部付近の太平洋プレートとインド・オーストラリアプレートの相対速度は年間約11cmで、このうち約9割(9~10cm)がニューギニア海溝で消費され、残り約1割(1~2cm)がBewani-Torricelli断層帯やニューギニア高地英語版褶曲衝上断層帯など大陸側で消費されていると推定される[4]

プレート境界としては、ニューギニア海溝の西側にアユトラフ英語版が沈み込む全長約300kmのマノクワリトラフ英語版や、左横ずれのソロン断層英語版ヤペン断層英語版が連続する。東側では、左横ずれのビスマルク海地震帯英語版や、ラム・マーカム断層帯英語版が連続する。また、エアウリピク海膨英語版南端付近から北東方向にマヌス海溝英語版が存在している[5]

地震活動 編集

海溝型地震が度々発生しており、インドネシア西パプア州パプア州や、パプアニューギニアサンダウン州東セピック州に被害を齎している他、津波グアム日本などの太平洋沿岸に到達することがある。

主な地震活動(日時は世界標準時

脚注 編集

  1. ^ Warren Bell Hamilton (1979). “Evidence for active subduction at the New Guinea Trench”. Geological Survey professional paper 1078: 345. doi:10.3133/pp1078. 
  2. ^ P. Tregoning; A. Gorbatov (2004). “Evidence for active subduction at the New Guinea Trench”. Geophysical Research 31 (13). doi:10.1029/2004GL020190. 
  3. ^ GAVIN P. HAYES et al. (2018). “Slab2, a comprehensive subduction zone geometry model”. サイエンス 362 (6410): 58-61. doi:10.1126/science.aat4723. 
  4. ^ A. Koulali; P. Tregoning; S. Mcclusky; R. Stanaway; L. Wallace; G. Lister (2015). “New Insights into the present-day kinematics of the central and western Papua New Guinea from GPS”. Geophysical Journal International 202 (2). doi:10.1093/gji/ggv200. 
  5. ^ Sean J. Hutchings (2021). “The Seismicity of Indonesia and Tectonic Implications”. Geochemistry, Geophysics, Geosystems 22 (9). doi:10.1029/2021GC009812.