ネパール・ガバメント鉄道

かつてネパール王国にあった鉄道事業者

ネパール・ガバメント鉄道(ネパールガバメントてつどう、: Nepal Government Railway、略称: NGR)は、かつてネパール王国(現・ネパール連邦民主共和国、通称:ネパール)にあった、ネパール初の鉄道である。

ネパール・ガバメント鉄道
1950年代のネパール・ガバメント鉄道
概要
現地表記 नेपाल गभर्मेन्ट रेलवे
現況 廃止
起終点 アムレクガンジ(ネパール)
ラクソール (Raxaul) (インド)
路線 1
運営
開業 1927年2月16日 (1927-02-16)
廃止 1960年
路線諸元
路線総延長 47 km (29 mi)
軌間 2 ft 6 in (762 mm)
電化 非電化
テンプレートを表示
ラクソール - Simra間の切符
ネパール・ガバメント鉄道の位置(ネパール内)
ラクソール
ラクソール
アムレクガンジ
アムレクガンジ
ネパール内の位置

1927年に当鉄道が設立され、1965年まで運行されており、ネパール南部にてアムレクガンジ (Amlekhganj) とインド国境を越えた先にあるラクソール英語版 (Raxaul) を結んでいた。 当鉄道は、軌間2 ft 6 in (762 mm)ナローゲージ鉄道であり、総延長は47キロメートルであった[1][2]

歴史 編集

1923年に、ネパールの木材をインドへ輸送するために、インド森林局 (Indian Forest Service) のJ・V・コリアー (J. V. Collier) によって短距離のナローゲージ鉄道が敷設された。 コリアーは、ネパールにて森林部門を管理するようにと、ネパールのラナ首相より命じられていた。 1924年の冬に、コルカタマーティン・アンド・コーポレーション英語版は、国境北からBichako(アムレクガンジ)までの軽便鉄道を敷設するために調査を実施した[3]

1926年3月より鉄道建設が開始され、1927年2月16日にネパール・ガバメント鉄道が開業した[4]。 このナローゲージ鉄道では、軌間2 ft 6 in (762 mm)の軌道を使用していた。 当鉄道は、蒸気機関車7両、客車12両および有蓋車82両を所有していた[5]。 当鉄道では、イギリスベイヤー、ピーコック・アンド・カンパニーで製造された蒸気動力のガーラット式機関車を運行していた[6]

ネパール・ガバメント鉄道は1965年までは運行されていたが、そのころには南部の国境を連絡する近代的な高速道路の建設によって不要となっていた[7]

高速道路が建設されるまで、アムレクガンジ - ラクソール間の鉄道がインドと首都カトマンズを結ぶ唯一のルートであった。 カトマンズからの旅行者は、徒歩で丘陵地帯を越え、トラックでアムレクガンジへ移動し、そこでインド行きの列車に乗っていた[8]。 アムレクガンジとカトマンズを連絡するトリブバン・ハイウェイ英語版1956年に建設された後は、歩く必要がなくなった。 1959年に、高速定期バスサービスが運行開始されており、ネパール・トランスポート・サービス英語版 (Nepal Transport Service) という名の民間企業によって運営されている[9][10]

大衆文化において 編集

ネパール政府が製作し、1964年に公開された、最初のネパール語映画『Aama英語版』(題意は『母』)のオープニングシーンに、ネパール・ガバメント鉄道が映っている。休暇でネパールに帰国したグルカ英語版兵士の主人公が列車で故郷へと向かう場面である。

ギャラリー 編集

脚注 編集

  1. ^ United States Department of Commerce, Bureau of Foreign and Domestic Commerce (1927). Commerce Reports Nos.14-26. Volume 2. p. 148. https://books.google.com.np/books?ei=V7ryUZGQKYOGrAf374CQBQ&id=Q2cWcqhwtBsC&dq=amlekhganj+railway&q=amlekhganj 2013年7月26日閲覧。 
  2. ^ Tilman, H.W. (1952) (PDF). Nepal Himalaya. p. 9. http://himalaya.socanth.cam.ac.uk/collections/rarebooks/downloads/Tilman_Nepal_Himalaya.pdf 2013年7月26日閲覧。 
  3. ^ Landon, Perceval (1928). Nepal. London: Constable and Co. Ltd.. pp. 197, 201. http://www.scribd.com/doc/53135995/Nepal-Vol-II-Percival-Landon 2013年9月20日閲覧。 
  4. ^ Aitchison, Sir Charles Umpherston (1929). A Collection of Treaties, Engagements and Sanads Relating to India and Neighbouring Countries, Volume 14. Government of India Central Publication Branch. p. 47. https://books.google.com.np/books?id=YsElAAAAMAAJ&q=amlekhgunj+train&dq=amlekhgunj+train&hl=en&sa=X&ei=kmL2UZfzFoTTrQf4lICIDQ&redir_esc=y 2013年7月29日閲覧。 
  5. ^ Railroads”. A Country Study: Nepal. The Library of Congress (2011年3月22日). 2013年7月26日閲覧。
  6. ^ Garratt Locomotives produced by Beyer Peacock”. 2013年7月29日閲覧。
  7. ^ (PDF) A National Transport System for Nepal. Washington, D.C.: World Bank. (1965-06). p. 22. http://www-wds.worldbank.org/external/default/WDSContentServer/WDSP/IB/2003/01/18/000178830_98101903524881/Rendered/PDF/multi0page.pdf 2014年5月25日閲覧。 
  8. ^ Nepal 1954”. 2013年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月26日閲覧。
  9. ^ Tuladhar, Kamal Ratna (2008年9月26日). “Nepal took the bus half a century ago”. The Kathmandu Post. http://www.ekantipur.com/the-kathmandu-post/2008/09/28/expression/nepal-took-the-bus-a-half-century-ago/162128/ 2013年7月27日閲覧。 
  10. ^ Shrestha, Surya Bahadur. “Railway Development In Nepal”. The Rising Nepal. オリジナルの2010年12月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101204003001/http://www.gorkhapatra.org.np/gopa.detail.php?article_id=18466&cat_id=10 2013年7月27日閲覧。 

関連項目 編集