ノーザンパイク (Northern pike, 学名:Esox lucius) は、カワカマス属の1種の淡水魚汽水魚キタカワカマス(北川魳)。ヨーロッパに住む唯一のパイクであり、ヨーロッパで単にパイク(あるいは相当する各国語)といえばノーザンパイクのことである。一部の名鑑ではノーザン・パイクと記載されている場合がある。

ノーザンパイク
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: カワカマス目 Esociformes
: カワカマス科 Esocidae
: カワカマス属 Esox
: ノーザンパイク E. lucius
学名
Esox lucius
Linnaeus1758
和名
ノーザンパイク
キタカワカマス(北川魳)
英名
Northern pike
分布
分布

分布 編集

北アメリカシベリアヨーロッパと、北半球高緯度地域に広く分布する。淡水のみならず、バルト海汽水域にも住む。

北アメリカでは、アメリカ合衆国中西部北東部アラスカ州カナダのほぼ全域(ブリティッシュコロンビア州を除く)に分布する。

ヨーロッパでは、イベリア半島アイスランドを除くほぼ全域に分布する。

イギリスアイルランドカリフォルニア州などで、外来魚として生息する。日本では報告されていないが、特定外来生物指定されている(パイクでは本種とマスキーパイク英語版[2]

形態 編集

体は褐色で、小さな白斑を持つ。

“カワカマス”の別名のとおり体型はカマスに似て長大な筒状を呈し、口吻は尖り長く突出する。口内には鋸歯状の鋭く細かい歯が並ぶ。成魚の体長は100cmを超え、特に大型の個体では150センチメートルを超える、パイクの中でも大型種である。

生態 編集

 
ノーザンパイクの絵
 
クロアチアのFinzula湖で釣り人にキャッチアンドリリースされたE. lucius

河川や湖沼に生息する。上流部に限定はされないが冷水と比較的清澄な水質が必要で、水底が丸い石や砂利、砂で構成されるような環境に多い。

肉食魚であり、生態ピラミッドの最上位を占める。主に魚食だが、魚類のみならず甲殻類両生類、時には鳥類哺乳類など、さまざまな動物を食べる。

春、氷の下で産卵する。卵は放置し、は作らず子育てもしない。産卵時以外は群を作らず単独で行動する。稚魚は1〜3年で成魚となり、20年以上生きる。

人間とのかかわり 編集

ひろく食用される。フランスローヌ―アルプ地方ではクネルquenelle)というつみれ様の調理法が有名である。

料理に使う時は、大きな骨を取り除き、ニゴイ太刀魚のように骨切りして使う。

釣り 編集

 
釣られたノーザンパイク
ハンガリードラーヴァ川

欧州では、ゲームフィッシングの対象魚として高い人気を誇る。

飼育 編集

日本では主に観賞魚として飼育されていた。暑さに弱いため、水温は10℃以下にすることが好ましい。

2006年に特定外来生物に指定され、以後日本国内で愛玩飼育はおこなえなくなった。

脚注 編集

  1. ^ NatureServe (2013). "Esox lucius". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.3. International Union for Conservation of Nature.
  2. ^ 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 p.138

関連項目 編集