ノート:表現主義

最新のコメント:7 年前 | 投稿者:Chuta

「表現主義」の誤訳のこと。日本語の「表現」って語は、representation と expression、両方の訳語になってて、区別が出来ないんですよね~。「あの人の絵の表現は~」っていう時と、「あの人の表現主義的な絵は~」っていう時、同じですね。だから「表現主義」っていうときの「表現」(expression)というのを、語感的に理解できないんです~。

日常表現でいう意味の「表現」という意味でなら、ムンクも「表現」であれば、クールベも「表現」に違いない。ではなぜムンクは表現主義者であっても、クールベが表現主義者でないのか、美学でも学んでなきゃわからないでしょう。

で、実際、ジャンソンの美術史本で、おかしな箇所があるんです。20世紀美術の特徴の一つとして、expression をあげているんですけど、それが邦訳では「表現」と訳されちゃっています。だから、「20世紀の美術の特徴が、『表現』?? はぁ??」って感じに読めちゃうんですよね~。ありゃ、監修者が悪いです。

かつて Expressionism の訳として「表出主義」という言葉が当てられたこともあったみたいです。現在でも一部研究者の間では使われていますが、こちらの方がはるかに正確ですね。「表現主義」も字義的には正確なんですが、やはり日常語で使われる「表現」の語のおかげで・・

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ご回答、どうもありがとうございます。私などは、「表現主義」と聞くと、言葉の意味よりも、すぐに、カンディンスキーやマルクの色が思い浮かんでしまい、言葉に違和感を覚えたことがなかったので(私の言葉に対する感覚の欠如を如実に示しており恥ずかしい限りですが)、興味深く拝見しました。
ところで、「expressionism」というもともとの言葉(英語)ですが、ドイツ語であれば、「Expressionismus」になるかと思います。ところが、面白いことに、通常であればその言葉の元になるであろう「Expression」という(「表現・表出」を意味するはずの)単語がドイツ語にはないのではないかと思うのですが、正しいですか? むしろ、「表現・表出」にあたるドイツ語は、「Ausdruck」(または「Äußerung」?)ではないでしょうか?
結局何を申し上げたいのかというと、「Expressionismus」は本来のドイツ語ではなく、(「Surrealismus」のように)外国語(フランス語か英語?)の翻訳ではないか(フランス語か英語がオリジナルなのではないか)、すなわち、「expressionism」という呼び名は、(ドイツにとっての)外国によってつけられた名称なのではないか、ということです。
私の聞いたことのある範囲では、「expressionism」という呼び方をどこの誰が始めたのかは、よくわかっていなかったようですし、また、フォーヴィスムのことをフランスで「expressionnisme」と呼ぶことがあるのかどうか(もし、そう呼ぶことがあるとすれば、フランス語からの輸入の可能性が高くなると思います)についても、まったく知見がないので、そもそも「expressionism」という語が、「ドイツ表現主義」のために作られた言葉なのか、さらには、「絵画」のために作られた言葉なのか(「表現主義」には、少なくとも、音楽や建築といった分野もあります。文学もあったかな?)等につき疑問があるものの、ちょっと先に進めない状況です。
「expressionism」という語の由来についても、もし、ご存知であれば、お教えいただきたく、よろしくお願いいたします。
20世紀(前半)美術 14:34 2004年1月2日 (UTC)

expression というのは、綴りから見ても、元々ロマンス語系の言葉でしょう。仏語の expression とか。ドイツ語は、バリバリのゲルマン語派であるし、片っ端から自分たちの言葉で翻訳しちゃうような言語ですから、日常語に無くても当然かと思われます。問題の Ausdruck っていうのは、 expression の直訳から来てるっぽいですね~。aus + druck ってex + pres に偶然とは思えないほど対応してます。グリムの辞典とか引かなきゃ、断言できませんけど。

というわけで、Expressionismus というのは、英語か仏語からきているのではないでしょうか? Merriam-Webster Dictionary によると、英語圏では1901年頃に初出だそうです。語源の問題は、いずれ詳しく調べることにします。

それとですね、表現主義ってドイツだけではないですよ~。ドイツ表現主義自体、ムンクに感化されたところが大きいですね~。フォーヴも表現主義です。ヴラマンクなんて、そのものといった感じです。Expressionism って単語自体は、Impressionsm って言葉が生まれれば、自然にでてくるんじゃないでしょうかね~。im + pression と ex + pression ってのは対語ですからね。印象派が現象世界を”内へ”取り込むなら、表現主義者は、内なる世界を”外へ”吐き出すわけですね、ふむふむ。だから、印象派のような「網膜的」な方法論を超克しようとすれば、当然、逆の ex-press がでてくるわけですね。それを言葉の上でも(半ば言葉遊びの感覚で)意識するのも、自然なことに思えます~。「印象」と「表現」が対概念であるってことも、日本語の訳語からは見えてこないですね~。


英語版とドイツ語版の内容を、全部訳して記事にしてみました。ここまでのノートでなされている議論のような微妙なニュアンスは、全く反映できていないような気がしますので、どんどん手を入れてください。それと、「映像分野における表現主義」 (w:en:Expressionism (film)) もせっかく英語版にあるので取り込もうと思っています。よろしくご指導ください。Dora 08:05 2004年2月23日 (UTC)

expressionism の語はロージャー・フライが post-impressionism とどちらを用いるか勘案したあげく、後者を用いた、という経緯があります。ご参考までに。


表現主義#建築en:Expressionist architecture(05:26, 24 July 2006)の翻訳を追加(まだ途中ですが)。翻訳を開始したあとから向こうで頻繁に改稿がなされているようなので、同記事の新版(11:07, 5 August 2006)も参照しています。取り急ぎ。--Darkmagus 2006年8月6日 (日) 21:18 (UTC)返信

ロジャー・フライ(1866-1934)  --忠太会話2016年11月15日 (火) 14:57 (UTC)返信
アドルフ・ベーネ(1885-1948)  --忠太会話2016年11月23日 (水) 13:39 (UTC)返信
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