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テムズバンクのフォスター男爵ノーマン・フォスター(Norman Foster、本名:Norman Robert Foster, Baron Foster of Thames Bank、1935年6月1日 - )は、イギリスマンチェスター生まれの建築家一代貴族メリット勲章(Order of Merit)を受章している。

ノーマン・フォスター
Norman Foster dresden 061110.jpg
生誕 (1935-06-01) 1935年6月1日(84歳)
イングランドの旗 イングランド チェシャー ストックポート
国籍 イギリスの旗 イギリス
出身校 マンチェスター大学(学士)
イェール大学(修士)
職業 建築家
受賞 RIBAゴールドメダル(1983年)
AIAゴールドメダル(1994年)
プリツカー賞(1999年)
高松宮殿下記念世界文化賞(2002年)
スターリング賞(1998年、2004年)
アストゥリアス皇太子賞芸術部門(2009年)
所属 フォスター・アンド・パートナーズ
建築物 ウィリス・フェイバー・デュマス本社ビル
香港上海銀行・香港本店ビル
スイス・リ本社
香港上海銀行・香港本店ビル
ロンドンスイス・リ本社(別名『ガーキン』)

経歴編集

フォスターはマンチェスター大学イェール大学で学んだ。建築技術者思想家であったバックミンスター・フラーのもとで働いた後、建築家リチャード・ロジャースと会い「チーム4」を結成。1967年自分の事務所フォスター・アソシエーツ(現在のフォスター・アンド・パートナーズ)を設立した。

フォスターの名声を高めたのは1985年に完成した香港の『香港上海銀行・香港本店ビル』であった。建物を支えるために通常の柱や壁を使わず、建物の外側に鋼鉄フレームによる太い構造をむき出しにさせ、このフレームで超高層ビルを支えることに成功した。この記念碑的なハイテク建築の後、1991年ドイツフランクフルトコメルツ銀行本店ビルではエコロジカルな超高層ビルを実現させた。300mの超高層ビルを貫く吹き抜けのアトリウムを中央に作って周りに柱のないオフィス空間を配し、さらにビルのフロアは四つから五つに分節され、その間に日光と緑のある「スカイ・ガーデン」が挟み込まれた。スカイガーデンの窓を開閉することにより、新鮮な外気が各ガーデンからアトリウムを通ってオフィスの隅々にまで行き渡る自然換気が実現された。超高層を支える構造体、換気や冷暖房などのエネルギーを無駄遣いしないエコロジカルで快適なオフィス空間という手法は、マレーシアペナンのMBFタワーやロンドンのロンドン市庁舎ビル、セント・メリー・アクス30番地(スイス・リ本社ビル)など、後のビルでも使われている。

フォスターの建築デザインは当初スタイリッシュで、機械のような形状のハイテク志向のものであったが、次第にそこから離れ、より崇高でより受け入れられやすい鋭いモダニズム建築へと移っていった。

フォスターは王立英国建築家協会が贈るスターリング賞を2度にわたって受賞している。一回目は1998年ダックスフォード帝国戦争博物館に対して、二回目は2004年セント・メリー・アクス30番地に対してである。また、これまでの業績に対し、1999年にはプリツカー賞を受賞している。この他、1990年ナイトに叙勲され、さらに1997年にはメリット勲章を受章、1999年には一代貴族に叙せられている。

しかし、本国イギリスでは軽蔑的に「スーパースター建築士」とも呼ばれ、その名声からほかの建築士より優先した扱いを受けていると非難されてもいる。イギリスのタブロイド紙には「Lord Wobbly(不安定卿)」とあだ名されているが、これはテムズ川2000年に架けたミレニアム・ブリッジが構造の不具合で開通まもなく補修のために閉鎖された事件による。またロンドン事務所兼自宅のすぐ横にある「クーパー・コレクション」(Couper Collection、芸術家マックス・クーパーがテムズ川に浮かぶはしけの上に作った慈善団体、「浮かぶ美術館」)に対し、撤去を申し立てたことで論争となっている。

2004年には、ロンドン市庁舎(GLA)やスイス・リ本社などのプロジェクトで、フォスターのもとで責任者になってきたケン・シャトルワースが事務所を離れ独立、メイクを設立した。シャトルワースはフォスターの事務所の功労者であったといわれている。

フォスターは大林組と共に、様々な都市機能を持ち数万人を収容できる高さ800m級超高層ビル(円錐形の縦型都市)のコンセプトモデルミレニアム・タワー」(1990年発表)の設計を手がけている。また、建築以外では高級ピアノメーカー・ファツィオリの「アート・コレクション」シリーズとして、クロームを特徴としスポーツカーのような輝きを持つ特別モデルのピアノ「Silver」をデザインしている。

作品編集

名称 所在地 国・地域 状態 備考
コックピット・ガゼボ 1963年 コーンウォール   イングランド
クリーク・ヴィーン・ハウス 1966年 コーンウォール   イングランド
スカイブレイク・ハウス 1966年 ラドレット   イングランド
リライアンス・コントロール電子工場 1967年 ウィルトシャー   イングランド
フレッド・オルセン社船客ターミナル 1971年 ドックランズ   イングランド
IBMパイロット本社 1971年 コーシャム   イングランド
モダン・アート・ガラス社 1973年 テムズミード   イングランド
ウィリス・フェイバー・デュマス本社ビル 1975年 イプスウィッチ   イングランド
ビーンヒル集合住宅 1977年 ミルトン・キーンズ   イングランド
センズベリー視覚芸術センター 1978年 ノリッジ   イングランド
英国ルノー社部品配送センター 1982年 スウィンドン   イングランド
香港上海銀行・香港本店ビル 1985年 香港   香港
リバーサイド・オフィスとアパートメント 1989年 ロンドン   イングランド
ストックリー・パーク・オフィス 1989年 アクスブリッジ   イングランド
ITN本社 1990年 ロンドン   イングランド
スタンステッド空港ターミナルビル 1991年 ロンドン   イングランド
サックラー・ギャラリー 1991年 ロンドン   イングランド
センチュリータワー 1991年 東京都千代田区   日本
クレセント・ウィング・センズベリー視覚芸術センター 1991年 ノリッジ   イングランド
テレコミュニケーションタワー 1992年 バルセロナ   スペイン
クランフィールド大学図書館 1991年 クランフィールド   イングランド
川奈の住宅 1992年 静岡県   日本
リセ・アルベルト・キャンパス 1993年 フレジュ   フランス
カレ・ダール (図書館) 1993年[1] ニーム   フランス
ビジネス・プロモーション・センター 1993年 デュッセルドルフ   ドイツ
旺文社本社ビル 1993年 東京都新宿区   日本 現存せず
コルシカの家 1993年 コルシカ   フランス
海洋シミュレーター・センター 1993年 ロッテルダム   オランダ
ジョスリン美術館増築 1994年 オマハ   アメリカ合衆国
マーク=シュライター邸 1994年 リューデンシャイト   ドイツ
ビルバオ地下鉄 1995年 ビルバオ   スペイン
ケンブリッジ大学法学部校舎 1995年 ケンブリッジ   イングランド
ハッフェンフォルム 1995年 デュースブルグ   ドイツ
マイクロエレクトロニック・センター 1996年 デュースブルグ   ドイツ
フランス電力地域本社 1996年 ボルドー   フランス
アメリカン航空博物館、ダックスフォード 1997年 ケンブリッジシャー   イングランド
コメルツ銀行タワー 1997年 フランクフルト   ドイツ
スコットランド展示・会議センター 1997年 グラスゴー   スコットランド
エッセン・デザイン・センター 1997年 エッセン   ドイツ
SECC カンファレンス・センター 1997年 グラスゴー   スコットランド
レプソル サービスステーション 1997年   スペイン
バレンシア会議センター 1998年 バレンシア   スペイン
九廣鐵路 (KCR)・紅磡 (ホンハム) 駅舎 1998年 香港   香港
香港国際空港ターミナルビル 1998年 香港   香港
香港エアカーゴターミナルズ・地上交通センター 1998年 香港   香港
アレクサンダー・フレミング卿ビル、
インペリアル・カレッジ・ロンドン
1998年 ロンドン   イングランド
ロバート・ゴードン大学マネージメント学部校舎 1998年 アバディーン   スコットランド
ASPIRE ナショナル・トレーニング・センター 1998年 スタンモア   イングランド
ノースグリニッヂ交通インターチェンジ 1998年 ロンドン   イングランド
ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク 1999年 ベルリン   ドイツ
ハンブルグ・マルチメディア・センター 1999年 ハンブルグ   ドイツ
カナリー・ワーフ 1999年 ロンドン   イングランド
ホルボーン・プレイス 2000年 ロンドン   イングランド
大英博物館グレート・コート 2000年 ロンドン   イングランド
スタンフォード大学 臨床科学研究センター 2000年 スタンフォード   アメリカ合衆国
フェイサリヤタワー 2000年 リヤド   サウジアラビア
グレート・グラスハウス、ウェールズ国立植物園 2000年 ラナースニー   ウェールズ
シティグループ本社 2000年 ロンドン   イングランド
ミレニアム・ブリッジ 2000年 ロンドン   イングランド
ワールド・ポート・センター 2000年 ロッテルダム   オランダ
50フィンズブリー・スクエア 2000年 ロンドン   イングランド
エレクトニックアーツ ヨーロッパ本社 2000年 チャーツィー   イングランド
エキスポ駅 2000年 シンガポール   シンガポール
ジェーシーデゥコー本社 2000年 ロンドン   イングランド
先史博物館 2001年 カンソン   フランス
ARAG本社 2001年 デュッセルドルフ   ドイツ
ゲルリング・リング・カレー 2001年 ケルン   ドイツ
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス図書館 2001年 ロンドン   イングランド
上海久事本社ビル 2001年 上海   中国
デュースブルグ・ハウジング 2001年 デュースブルグ   ドイツ
インペリアル・カレッジ フラワーズビル 2001年 ロンドン   イングランド
タワープレイス 2002年 ロンドン   イングランド
HSBC銀行本社 2002年 ロンドン   イングランド
ロンドン市庁舎 2002年 ロンドン   イングランド
10グレシャム・ストリート 2003年 ロンドン   イングランド
トラファルガー広場 2003年 ロンドン   イングランド
ザ・メトロポリタン 2003年 ワルシャワ   ポーランド
アルビオン・リバーサイド 2003年 ロンドン   イングランド
スタンフォード大学 クラーク・センター 2003年 スタンフォード   アメリカ合衆国
キャピタル・シティ・アカデミー 2003年 ロンドン   イングランド
ワン・モア・ロンドン 2003年 ロンドン   イングランド
ベックスリー・ビジネス・アカデミー 2003年 ロンドン   イングランド
リージェント・プレイス 2003年 シドニー   オーストラリア
ミヨー橋 2004年 アヴェロン   フランス
30セント・メリー・アクス (スイス・リ本社ビル) 2004年 ロンドン   イングランド
鎌倉の住宅 2004年 神奈川県鎌倉市   日本 鎌倉歴史文化交流館
セージ・ゲーツヘッド 2004年 ゲーツヘッド   イングランド
マクラーレン・テクノロジーセンター 2004年 ウォキング   イングランド
ペトロナス工科大学 2004年 セリ・イスカンダル   マレーシア
サンマリノ・ワールドトレードセンター 2004年 サンマリノ   サンマリノ
チェサ・フトゥーラ 2004年 サンモリッツ   スイス
フランス・アヴェニュー 2004年 パリ   フランス
インペリアル・カレッジ・ロンドン・ビジネス・スクール 2004年 ロンドン   イングランド
インペリアル・カレッジ・ロンドン・職員ビル 2004年 ロンドン   イングランド
アルスタ橋 2005年 ストックホルム   スウェーデン
ドイツバンクプレイス 2005年 シドニー   オーストラリア
ベルリン自由大学フィオロジカル図書館 2005年 ベルリン   ドイツ
ムーア・ハウス 2005年 ロンドン   イングランド
ブーデンベルグ・ハウス 2005年 マンチェスター   イングランド
ジャーノグリー・シティー・アカデミー 2005年 ノッティングヒル   イングランド
ドレスデン中央駅 2006年 ドレスデン   ドイツ
ハースト・タワー 2006年 ニューヨーク   アメリカ合衆国
平和のピラミッド 2006年 アスタナ   カザフスタン
シンガポール最高裁判所 2006年 シンガポール   シンガポール
レズリー・L・ダン・ファーマシー・ビル 2006年 トロント   カナダ
ロンドン・アカデミー、エッジウェアー 2006年 ロンドン   イングランド
ウェスト・ロンドン・アカデミー 2006年 ロンドン   イングランド
3モアロンドン・リバーサイド 2006年 ロンドン   イングランド
リードンパークの家 2006年 シンガポール   シンガポール
アルダー・セントラル・マーケット 2006年 アブダビ   アラブ首長国連邦
ウェンブリー・スタジアムの改修 2007年 ロンドン   イングランド
フォークストーン・アカデミー 2007年 フォークストーン   イングランド
スピニングフィールズ 2007年 マンチェスター   イングランド
トマス・ディーコン・アカデミー 2007年 ピーターバラ   イングランド
スミソニアン博物館コートヤード 2007年 ワシントン   アメリカ合衆国
北京首都国際空港ターミナル3 2008年 北京   中国
カリフォルニア州立大学 2008年 カマリロ   アメリカ合衆国
ドルダー グランド ホテル 2008年 チューリッヒ   スイス
コペンハーゲン動物園 象の家 2008年 コペンハーゲン   デンマーク
ヴィヴァルディ・タワー 2008年 アムステルダム   オランダ
チェシャムプレース・アパートメント 2008年 ロンドン   イングランド
コービー・アカデミー 2008年 コービー   イングランド
ラングリー・アカデミー 2008年 スラウ   イングランド
ゼニス 2008年 サンテティエンヌ   フランス
サイバーポート ベルエアー 2008年 香港   中国
アイボリープレス 2008年 マドリード   スペイン
トーレ・カハ・マドリッド 2009年 マドリッド   スペイン
カペラ・ホテル・シンガポール 2009年 セントーサ   シンガポール
ウィンスペア・オペラハウス 2009年 ダラス   アメリカ合衆国
サークル・バース病院 2009年 バース イギリス
ボストン美術館 2010年 ボストン   アメリカ合衆国
レンバッハハウス美術館 2010年 ミュンヘン   ドイツ
ザ・ウォルブルック 2010年 ロンドン   イングランド
フォルタレザ・ホール、SCジョンソン・キャンパス 2010年 ラシーン   アメリカ合衆国
カーン・シャティール・エンターテイメント・センター 2010年 アスタナ   カザフスタン
7モアロンドン・リバーサイド 2010年 ロンドン   イングランド
ボデガ・ポルティア・ワイナリー 2010年 グミエル・デ・イサン   スペイン
マスダール・インスティチュート 2010年 アブダビ   アラブ首長国連邦
スペローン・ウェストウォーター・ギャラリー 2010年 ニューヨーク   アメリカ合衆国
上海万博 アラブ首長国連邦館 2010年 上海   中国
ジェームソン・ハウス 2011年 バンクーバー   カナダ
ザ・トロイカ 2011年 クアラルンプール   マレーシア
ザ・インデックス 2011年 ドバイ   アラブ首長国連邦
マクラーレン・プロダクション・センター 2011年 ウォキング   イングランド
クイーンアリア空港 2012年 アマン   ヨルダン
ザ・バウ 2013年 カルガリー   カナダ
SSE ハイドロ 2013年 グラスゴー   スコットランド
トリノ大学キャンパス・ルイジ・エイナウディ 2013年 トリノ   イタリア
ブエノスアイレス・ジウダット・カーサ・デ・ゴビエルノ 2013年 ブエノスアイレス   アルゼンチン
マルセイユ旧港再整備計画 2013年 マルセイユ   フランス
スペースポート・アメリカ 2014年 ニューメキシコ   アメリカ合衆国
帝国戦争博物館 2014年 ロンドン   イングランド
アップルストア ゾルル・センター 2014年 イスタンブール   トルコ
カナリー・ワーフ・クロスレール 2015年 ロンドン   イングランド
シャトー・マルゴー 2015年 ボルドー   フランス
ミラノ万博 アラブ首長国連邦館 2015年 ミラノ   イタリア
アップルストア ウェスト・レイク 2015年 杭州市   中国


受賞編集

脚注編集

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  1. ^ 『世界の美しい階段』エクスナレッジ、2015年、25頁。ISBN 978-4-7678-2042-2

外部リンク編集