メインメニューを開く

ハイイログマ

ヒグマの一亜種

ハイイログマ(灰色熊、学名 Ursus arctos horribilis)は、北アメリカに生息するクマ科の大型動物で、ヒグマの一亜種である。日本に生息するエゾヒグマU. a. yesoensis)とは近縁である。

ハイイログマ
Grizzlybears ChrisServheenUSFWS.jpg
ハイイログマ
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
亜目 : イヌ亜目 Caniformia
下目 : クマ下目 Arctoidea
小目 : クマ小目 Ursida
上科 : クマ上科 Ursoide
: クマ科 Ursidae
亜科 : クマ亜科 Ursinae
: クマ属 Ursus
: ヒグマ U. arctos
亜種 : ハイイログマ U. a. horribilis
学名
Ursus arctos horribilis
Ord, 1815
和名
ハイイログマ
英名
Grizzly bear
Ursus arctos horribilis map.svg
生息域

解説編集

別名アメリカヒグマ。また、日本でもグリズリーGrizzly)という英名がよく知られている。北米では、内陸に棲む同種をグリズリー、沿岸に棲む同種をヒグマ (Brown Bear) と呼ぶことが多いが、実際のところ、ヒグマと区別する明確な基準はない。 亜種小名「horribilis」は「恐ろしい」という意味である。

なお、ゲノムの解析により絶滅種のホラアナグマと交配しており、現生のハイイログマにもホラアナグマの遺伝子を持つ個体が存在する事が判明した[1]。 

生態編集

最大級の個体は体重が450kg以上に達する(1979年にイエローストーン国立公園で508kgの個体が麻酔銃で捕獲・計量された)が、平均的な大きさは日本のヒグマとあまり変わらない(1979年にイエローストーン国立公園で行われた調査では雄の平均体重は260kg、雌の平均体重は170kgであった)。ただ、肩のコブがより盛り上がっている。

絶滅したカリフォルニアハイイログマは平均で今のグリズリーの最大級ぐらいの大きさだった。かつては北アメリカ大陸西部に幅広く生息していたが、開発に伴って生息域が減少し、現在の分布はアラスカ州アメリカ合衆国北西部、カナダ西部に限られている。

イエローストーン国立公園内ではオオカミの群れと並んで生態系の頂点に位置し、季節によってヘラジカトナカイアメリカアカシカアメリカバイソン等の草食獣やその死体、サケマスバス等の魚類、松の実ベリー等の植物や昆虫など何でも食べる雑食性である。アメリカクロクマを捕食することがあり、オオカミから獲物を奪うことも多い。しかし一方、ヘラジカアメリカバイソンの成獣等との戦闘で死亡することがあり、アメリカバイソンが敗走するヒグマを追走して殺すこともある[2][3][4][5]

時速50kmほどで走り(最大で時速65kmに達するという説もある)[6]、泳ぎも得意とする。木登りについては若い個体は得意とするが、成獣は体重が増加するためほとんど登らなくなる。

ハイイログマの保護編集

 
駆除された灰色熊。中央は、カスター中佐。左はカスターの片腕、リー族ブラッディ・ナイフ(1876年撮影)
ラピッドシティにて撮影されたハイイログマ

亜種全体としては、アメリカ合衆国では「絶滅危惧」("Threatened")[7]カナダでは「特別懸念」("special concern")に指定されている[8]。米国では現在この他に、複数の個体群を絶滅危惧特別個体群("Threatened Distinct Population Segments")に指定するよう要請がなされている。

2006年1月アメリカ合衆国内務省魚類野生生物局モンタナ州ワイオミング州にまたがる大イエローストーン生態系に生息する個体群の絶滅危機種指定の解除を提案した。多くの生態学者が実質的個体群の大きさが長期間にわたる存続には不十分なこと、主要な食料資源の確保が将来危ぶまれること、乱獲からの保護が保証されないこと、などの理由で反対を表明したにもかかわらず、2007年3月22日に同個体群は指定を解除された。現在天然資源防護協議会をはじめとする複数の自然保護団体が、内務省の決定は科学的根拠よりも政治的な理由によるものなので撤回されるべきと主張し、米国政府を相手取り訴訟を起こしている。

人との関わり編集

北米の西部開拓の歴史は、ハイイログマの生息域への開拓の歴史でもあり、人との接触にまつわる逸話は多く知られており、日本ではシートンの著書を通して知られるものが多い。

生け捕りにしたハイイログマを、見世物として他の動物と戦わせることも盛んに行われており、闘牛用の雄牛と闘わせられたり[9]ライオンと闘わせられたり[10]したハイイログマの記録も残っている。

アメリカ合衆国の絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律をはじめとする保護法の発効以来ハイイログマの個体群数は回復の傾向にあるが、放牧業を営む畜農家との軋轢、拡大する住宅地、イエローストーン国立公園などでの観光客との接触、交通事故など、人とハイイログマとの共存は容易ではない。住宅地の近くに棲む個体はゴミを漁ることもあり、環境問題になっている。

その他編集

NBAメンフィス・グリズリーズや有名なグリズリー・アダムスなど、グリズリーの名で日本に知られているものも多い。

画像編集

脚注編集

  1. ^ ナショナルジオグラフィック(2018年8月30日)絶滅クマのDNA、ヒグマで発見、異種交配していた
  2. ^ International Bear News. Quarterly Newsletter of the International Association for Bear Research and Management (IBA) and the IUCN/SSC Bear Specialist Group. (2002), 第7頁, vol. 11, no. 2
  3. ^ Larry Kaniut, 2001, Bear Tales for the Ages: From Alaska and Beyond, 第26頁, ISBN 0970953704
  4. ^ Mary Ann Franke, 2005, To Save the Wild Bison: Life on the Edge in Yellowstone, 第201頁, University of Oklahoma Press
  5. ^ Tom McHugh, 1979, The Time of the Buffalo, 第213頁, University of Nebraska Press
  6. ^ Province of Columbia. “conservation of Grizzly Bears in British Colunmia (PDF)”. 2010年10月29日閲覧。
  7. ^ Species Profile”. U.S. Fish and Wildlife Service. 2008年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月22日閲覧。
  8. ^ カナダ政府絶滅危惧種のページ(英文)
  9. ^ JOHN DAVID BORTHWICK. “Bear in Mind: Bears in the Arena (1 of 10) print”. The Regents of the University of California.. 2019年3月22日閲覧。
  10. ^ Lanier Bartlett: “Ursus Horribilus - California Grizzly”. 2012年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月22日閲覧。

参考文献編集

関連項目編集