イーデン・フィルポッツ(Eden Phillpotts、1862年11月4日 - 1960年12月29日)は、イギリス作家インド生まれ、プリマス育ち。別名に、ハリントン・ヘクスト(Harrington Hext)。

ハイティーン時代のアガサ・クリスティの隣家に住んでおり、当時創作を始めたばかりのクリスティの小説を読み、適確な助言をしたことが、クリスティの自伝に記されている。

娘のアデレイド・フィルポッツ英語版(1896年 - 1993年)も小説家である。

推理小説 編集

ジョン・リングローズもの 編集

作中で『赤毛のレドメイン家』の探偵ピーター・ガンズについての言及がある。
  • Prince Charlie's Dirk(1929):中編 

エイビス・ブライデンもの 編集

  • Bred in the Bone (1932)
  • A Shadow Pusses (1933)
  • Witch's Cauldron (1933) 

ノンシリーズ(長編) 編集

  • The Three Knaves (1912)
ミステリ要素のある最初の長編。
法廷もの。
  • 『溺死人』(Found Drowned(1931)、橋本福夫訳、創元推理文庫) 1984
  • A Clue from the Stars (1932)
  • Mr. Digweed and Mr. Lumb (1933)
  • 『医者よ自分を癒せ』(Physician, Heal Thyself(1935)、宇野利泰訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 1956
  • 『極悪人の肖像』(Portrait of a Scoundrel(1938)、熊木信太郎訳、論創社、論創海外ミステリ) 2016
  • Monk Shood (1939)
  • Adress Unknown (1949)
  • The Hidden Hand (1952)
  • 『老将の回想』 There Was an Old Man (1959)
最後の長編。

ノンシリーズ(中短編) 編集

  • 「三死人」(The Three Dead Men(1929)、宇野利泰訳、東京創元社)
    江戸川乱歩編、世界推理小説全集51、『世界短篇傑作集2』に収録
    江戸川乱歩編、創元推理文庫、『世界短編傑作集4』に収録
    江戸川乱歩編、創元推理文庫、『世界短編傑作集3 新版』に収録
  • 「鉄のパイナップル」(The Iron Pineapple(1929)、宇野利泰訳、創元推理文庫、G・K・チェスタートン編『探偵小説の世紀』に収載)
  • 「探偵ピーターズ」(Peters, Detective (1954)、東野さやか訳、ミステリマガジン 2004.6 No.580に収録)

短編集 編集

フィルポッツには11のミステリ中短編集(100篇を超す中短編)があるが(普通小説の短編集は倍以上ある)[2]、長編にくらべ日本語訳が極端に少ない。理由は原書タイトルだけでは「推理小説」なのか「普通小説」か分り難い点が指摘されている[3]

  • 『フライング・スコッツマンの冒険』 My Adventure in the Flying Scotsman (1888)
最初期の短編集。快速鉄道「フライング・スコッツマン」号を舞台にした連作。
  • 『孔雀館』 Peacok House and Other Mysteries (1926)
    ミステリ短編集。三谷光彦訳の表題作がヒッチコックマガジン(1963.2)に掲載。
    • 『孔雀屋敷 フィルポッツ傑作短編集』(武藤崇恵訳、創元推理文庫) 2023.11
  • 『カンガの王様』 The End of Count Rollo and oter stories (1946)
ミステリと普通小説を含む短編集。

ハリントン・ヘクスト名義の作品 編集

  • No. 87(1921)
  • 『テンプラー家の惨劇』(The Thing at Their Heels(1923)、高田朔訳、国書刊行会、世界探偵小説全集42) 2003
  • 『怪物』(The Monster(1924)、宇野利泰訳、ハヤカワ・ミステリ) 1956
  • 誰が駒鳥を殺したか?(だれがダイアナ殺したの?)』 Who Killed Cock Robin? [4]Who Killed Diana? [4]) (1924)
    • 『だれがコマドリを殺したのか?』(武藤崇恵訳、創元推理文庫) 2015

その他の小説 編集

怪奇小説 編集

ファンタジー 編集

  • 『ラベンダー・ドラゴン』(The Lavender Dragon(1923)、安田均訳、早川書房、ハヤカワ文庫FT) 1979

普通小説 編集

  • The End of a Life(1891)
フィルポッツ最初の作品。
  • A Tiger's Cub(1892)
  • A Down Dartmoor Way(1896)
ダートムアものとも呼ばれる田園小説集。
1929年に映画化(The American Prisoner)。
  • The Farmer's Wife(1923)
1928年にアルフレッド・ヒッチコック監督で映画化(『農夫の妻』)。ミステリではなくヒューマン・コメディ。

脚注 編集

  1. ^ 赤毛のレドメイン、赤毛のレッドメーン、赤毛のレッドメーンズ、赤毛のレドメイン一家などの訳題あり。
  2. ^ Twentieth Century Crime & Mystery Writers 』by John M. Reilly (St James Guide 1980)
  3. ^ 「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10」(1947年、「随筆探偵小説」)
  4. ^ a b タイトルの違いは米英および出版社の違いが理由で、内容は同じ。被害者であるダイアナのあだ名が「コマドリ」である。由来はマザー・グースクックロビンS・S・ヴァン・ダイン僧正殺人事件』と同じ)。

関連項目 編集