ハルマヘラ島
ハルマヘラ島(ハルマヘラとう、インドネシア語: Pulau Halmahera)は、インドネシアのモルッカ諸島にある島。ジャイロロ島(Jailolo)、ジロロ島(Jilolo, Gilolo)ともいう。面積は17,780km2で、モルッカ諸島で最も大きい。北東は太平洋に面し、南東はハルマヘラ海、西はモルッカ海峡・モルッカ海に面する。人口は449,938人(2010年)。住民の8割はムスリムで、残りの2割はキリスト教徒が占める。 最近では2007年に噴火した島の最高地点であるガムコノラ山(標高1560m、1635mとも)の他に活火山がいくつかある。
歴史
編集ハルマヘラ島は山がちのうえ、全島を熱帯雨林に覆われるため人口が少ない。この地域の中心は、ハルマヘラ島の西海岸沖合いに浮かぶテルナテ島、ティドレ島である。どちらも面積100km2あまりの小島だが、丁子の原産地として香辛料貿易で栄え、ハルマヘラ島を含めたインドネシア東部全域に勢力を広げた。16世紀初めにポルトガル人がやってきて以来、モルッカ諸島は西洋諸国による支配権争いの舞台となり、最終的にオランダ領東インドに組み込まれた。インドネシア独立後はマルク州に含まれていたが、1999年に成立した北マルク州(インドネシア語:Maluku Utara)の一部になっている。
2010年代には、島内のニッケル資源が注目され、フランスのエラメットとドイツのBASFが共同でニッケルの精錬事業プロジェクトを計画したが[1]、2020年代に入るとニッケルの需給が緩んだため、2024年には事業の中止が発表されている[2]。
言語
編集ハルマヘラ島およびその周辺部の諸言語はオーストロネシア系と非オーストロネシア系のものが混在している。
まず、主なオーストロネシア系言語は以下の通りである。この中ではブリ語について最も早い時期から体系的に記述されている[3]。
- ギマン語(Giman; 別名: Gani語、Gane語)
- サワイ語(別名または方言: ウェダ語 (Weda)、Were語)
- パタニ語
- ブリ語
- Wayamli(Wajamli、Jawanli)方言
- 東マキアン語
- Kayoa(Kajoa)方言
- マバ語 (インドネシア)(別名: Bitjoli語、Ingli語)
また、非オーストロネシア系言語は主に以下のものが挙げられる。
脚注
編集- ^ “石を宝に変える芸術-世界のEV業者が注目するインドネシアのニッケル資源”. MILUPLUS (2021年3月18日). 2024年7月2日閲覧。
- ^ “独BASFと仏企業、インドネシアのニッケル製錬所を中止”. 日本経済新聞 (2024年6月26日). 2024年7月2日閲覧。
- ^ 崎山(1969:276-277)。
参考文献
編集- R. E. アシャー、クリストファー・マーズレイ 編、土田滋、福井勝義 日本語版監修、福井正子 翻訳『世界民族言語地図』東洋書林、2000年。ISBN 4-88721-399-9
- Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- Lewis, M. Paul; Simons, Gary F.; Fennig, Charles D., eds. (2015). Ethnologue: Languages of the World (18th ed.). Dallas, Texas: SIL International.
- 崎山理「マライ・ポリネシア語族におけるブリ語(ハルマヘラ島)の系統」 『東南アジア研究』第7巻第3号、1969年、274-292頁。