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ハーブ・アルパート(Herb Alpert、1935年3月31日 - )は、アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロサンゼルス出身のポップ・ミュージック/ポップ・ジャズ・トランペッター、コンポーザー、アレンジャー、ザ・ティファナ・ブラス(The Tijuana Brass)を率いた人物。また、A&Mレコードの創始者である。なお、A&Mの"A"はアルパート(Alpert)を指す。

ハーブ・アルパート
Herb Alpert 1966.jpg
ハーブ・アルパート、1967年
基本情報
生誕 (1935-03-31) 1935年3月31日(84歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス
ジャンル ポップジャズロックンロールフュージョン
職業 ミュージシャン, 音楽プロデューサー, コンポーザー
担当楽器 トランペット
レーベル RCAレコード, A&Mレコード, アルモ・サウンズ

ニッポン放送系の深夜ラジオ番組、『オールナイトニッポン』のテーマソングとして「ビター・スウィート・サンバ」が長年使われている。

目次

バイオグラフィ編集

A&M設立まで編集

アルパートは、ユダヤ系ルーマニア移民の両親との間に生まれた。8歳よりトランペットを習い始め、10代になるとダンスを踊るようになる。1952年にフェア・ファックス高校を卒業後、アメリカ軍に入隊し軍の式典で演奏したりしながらトランペットの腕を磨く。除隊後、一時期俳優になりたがっていたが、結局は諦め 最終的に音楽の道へ進む事を決めた。1950年代に南カリフォルニア大学に在籍していた間、トロジャン・マーチング・バンド(Trojan Marching Band)に2年間参加した。1954年に学士号を同大学より修得し、卒業。

彼のミュージシャンとしての幕開けは、ルー・アドラーLou Adler)と共作の、サム・クックのヒットで知られる、「ワンダフル・ワールド」に始まる。しかしアルパート自身はそういうスタンダードナンバーになるような大ヒット曲を生み出しながらも作曲家としての自身の才能には執着せず、演奏家としての道を選ぶ。ドア・アルパート(Dore Alpert)の名でRCAレコードでキャリアを挙げ、ロックンロール・デュオジャン&ディーン等をプロデュースした。1962年にジェリー・モスと100ドルずつを出資しA&Mレコードを創設する。A&Mは現在こそ一大レーベルであるが、創設初期は自身のレコード・リリースの為に設立したプライベート・レーベルだった。 なお、「A」はアルパート、「M」はモスの頭文字である。

ティファナ・ブラス期編集

アルパートは自身のガレージ内に小さいレコーディング・スタジオを起こし、彼はメキシコティファナマリアッチバンドより起こされた楽曲"Twinkle Star"を録音した。さらに、マリアッチとロックンロールを融合させたスタイルの楽曲第一弾として闘牛場での群集の歓喜の効果音を取り入れた"The Lonely Bull"(邦題「悲しき闘牛」)もレコーディングし、アルパートは自費でこのシングルをプレスした。そしてラジオDJを通して広まり、1963年のトップ10にまで躍り出た。人気に応じて他曲も録音、ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス名でデビューアルバム、The Lonely Bullをリリースした。この時のティファナ・ブラスは後の正式なバンド名義ではなく、彼が雇ったスタジオ・ミュージシャンの総称として使った。 。このシングルは後にビルボードポップ・シングル・チャートの6位にまで達した。この曲がA&Mの初のレコード盤となるが、録音したのはコーンウェイ・レコード(Conway Records)となる。

1964年の終わりになると、アルパートはティファナ・ブラスを正式なバンドへ転換させる事を決意し、メンバーのオーディションを行い、また必要に応じてセッション・マンを雇う等して態勢を整えていく。「ただし団員の中にヒスパニックはいなかった」。 アルパートはこのバンドを「3枚のパストラミに2つのベーグル、1つのアメリカン・チーズ」から成る」と表現していた。 メンバーは最終的にアルパートを中心に、ジョン・ピサーノ(John Pisano) (guitar); 、ロウ・パガーニ(Lou Pagani) (piano);、 ニック・セロリ(Nick Ceroli) (drums); パット・セネター(Pat Senatore) (bass); トニー・カラッシュ(Tonni Kalash) (trumpet); 、ボブ・エドモンソン(Bob Edmondson) (trombone) となる。 このバンドは1965年にデビューし、1969年にバンドを解散するまで活動した。尚、日本で一番有名な楽曲であろう、"ビター・スウィート・サンバ"は現在も深夜ラジオ番組の王道であるニッポン放送系の「オールナイトニッポン」のテーマ音楽として親しまれている。この曲は1965年リリースのWhipped Cream & Other Delightsに収録されており、2006年にリイシューCDがリリースされている。ティファナ・ブラスは数多くのヒット曲を生み出したが、No.1シングルは獲得できなかった。

1968年、ハル・デヴィッド作詞、バート・バカラック作曲の「ディス・ガイ(This Guy's in Love with You)」をヴォーカリストとして発表。この曲で初のNo.1ヒットになった。

ティファナ・ブラス解散後編集

1969年にアルパートはバンドを解散、しかし数名のオリジナルのティファナ・ブラスのメンバーと新たなメンバーを加え、1971年と1973年に"the T.J.B."名で活動する。この新生ティファナ・ブラスは1974年と1975年に2枚のアルバムを出し、ツアーも行った。 1984年にはロサンゼルスオリンピックの為に、第3期ティファナ・ブラスを結成した。

1970年代から1990年代にかけ、ソロ・ミュージシャンとしても活躍している。ヒュー・マセケラとのジョイント・アルバムを制作後、ティファナ・ブラスを再結成するつもりでレコーディングを開始するがどうにも上手く行かず断念した。

1979年、ソロ名義でアルバム『Rise』を発表。タイトル曲「Rise」でトランペッターとしては自身初のNo.1になり、同曲でグラミー賞ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス部門を受賞。また、アメリカ以外ではイギリスのクラブなどでは33回転シングルを45回転で流したところ評判になり、瞬く間にヒットチャートを駆け上がった。後にノトーリアス・B.I.G.が1997年に発表した"Hypnotize"にサンプリングに使用されている。

ソロ名義のアルバムの大半には、夫人でセルジオ・メンデスとブラジル'66の元ヴォーカリストのラニ・ホール(Lani Hall)が参加し、ヴォーカル作での共演曲も多い。1988年には第22回スーパーボウルで試合開始前の国歌斉唱でアメリカ国歌を演奏した。

1962年から1992年にかけてアルパートはA&Mレコードと所属するミュージシャン、バンドとの契約やプロデューサーとしても活動し、中でもプロデュースした著名なミュージシャンとしては、カーペンターズセルジオ・メンデスビル・メドレーBill Medley)、ジャネット・ジャクソン等がいる。

A&M後編集

アルパートは現在でも演奏家としての活動を続けており、ガトー・バルビエリGato Barbieri)やリタ・クーリッジジム・ブリックマンブライアン・カルバートソンデイヴィッド・ランツDavid Lanz)等にゲスト参加している。

1990年にA&Mをポリグラムに売却し離れる。アルパートは第二の人生として、抽象表現主義アーティストとしても活動し始める。(アルバムMy Abstruct HeartColoursのジャケットアートはアルパート自身の筆によるものである。)ブロードウェイ・ミュージカルのプロデューサーもするようになった。

音楽活動としては1994年に新たに自身のプライベートレーベルを再びモスとアルモ・サウンズを立ち上げる。今度は双方の名前を2文字ずつとって「ALMO」とした。このレーベルからはSecond Wind(1996)、Passion Dance(1997)、Colors(1999)の3枚のソロ・アルバムをここからリリースされている。また1996年にはジェフ・ローバーのバンドとともにモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに参加。

1997年にはパートナーであるジェリー・モスとレコード会社の役員として偉業によりGrammy Trustees Award(英語)を得た。レコード会社への貢献により、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにモスと共に名を刻まれている。

1999年のColours以降、ソロ活動を控え、旧作アルバムの再発を積極的に監督するようになった。アルパートは2000年に現在のA&Mのオーナーのユニバーサル・ミュージックから権利を買い戻し、自身のアルバムのリミックスとリマスタリングをし、再発し始めている。2005年には、シャウト!ファクトリーからA&M時代のアルバムをデジタル・リマスタリングしたCDを供給しており、ティファナ・ブラスの未発表曲を含めたアルバムもリリースしている。これらのアルバムは、日本では1960年代にA&Mレーベルを配給していたキングレコードから新装盤として発売されている。

2006年3月13日にモスと共に演奏者としてではなく、A&Mレーベルでの貢献によりロックの殿堂入りを果たした。

2007年4月20日NHK総合のドキュメンタリー番組「プレミアム10~カーペンターズ スーパースターの栄光と孤独~」に登場した。

2009年には、妻のラニ・ホールとのライヴを収めたアルバムAnything Goesを発表、10年ぶりのアルバムとなった。

2013年Colours以来のスタジオレコーディングのアルバムsteppin' outを発表、本作は第56回グラミー賞(「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」部門)を受賞した。

アルパートは音楽教育と後進の育成のために様々な貢献を行なっている。

1980年代にアルパートは莫大な私財を投じ、音楽教育を支援するための非営利法人アルパート財団(The Herb Alpert Foundation)[1]を設立した。また、カリフォルニア芸術大学アルパート賞(The Alpert Awards)[2]を設け、若き才能をサポートしている。

2000年からはアルパート財団を通じて、ボストンのバークリー音楽院ハーブアルバート記念客員教授(Herb Alpert Visiting Professor)を設け、世界の音楽業界で活躍するトップ・ミュージシャン毎年同学院に招聘している[3][4]。また、2000年にはバークリー音楽院から名誉博士号を授与された[5]

さらに、2007年には3千万ドルをカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に寄付し、UCLAは音楽学部門をThe UCLA Herb Alpert School of Music[6][7]と命名した。

日本への影響編集

"Bittersweet Samba"以外の日本への影響としては、

  • 1980年代前半、A&Mレーベルは日本国内の販売契約をアルファ・レコードと結んでいた関係で、1980年にYMOがロサンゼルスのチャップリン・メモリアル・スタジオでのライヴから日本へ衛星中継を行った際、ホストとしてYMOを紹介したのが、当時A&Mの副会長だったハーブ・アルパートだった。
  • "Tijuana Taxi"(ティファナ・タクシー)は、1989-91年のラジオ番組「コサキン増刊号」のオープニングテーマとしても使用された。

ディスコグラフィ編集

ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス名義編集

  • The Lonely Bull (1962)
  • Volume 2 (1963) (1966 re-release)
  • South of the Border (1964)
  • Whipped Cream & Other Delights (1965)(※「Whipped Cream」は、TBSラジオで放送されている「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」(パーソナリティは毒蝮三太夫)のテーマソングとして使用されているものと同曲である)
  • Going Places (1965)
  • What Now My Love (1966)
  • S.R.O. (1966)
  • Sounds Like... (1967)
  • Herb Alpert's Ninth (1967)
  • The Beat of the Brass (1968)
  • The Herb Alpert & The Tijuana Brass Christmas Album (1968)
  • Warm (1969)
  • Greatest Hits (1970)
  • The Brass Are Coming (1969)
  • Summertime (1971)
  • Solid Brass (compilation, 1972)
  • Four Sider (compilation, 1973)
  • You Smile - The Song Begins (1974)
  • Coney Island (1975)
  • Greatest Hits Vol. 2 (compilation, 1977)
  • Bullish (1984)
  • Classics Volume 1 (compilation, 1987)
  • Definitive Hits (compilation, 2001)
  • Lost Treasures (2005)
  • Whipped Cream & Other Delights Rewhipped (remix, 2006)

ハーブ・アルパート(ソロおよびラニ・ホールとの共演)名義編集

  • Just You and Me (1976)
  • Herb Alpert/Hugh Masekela (1978)
  • Main Event Live! (1978)
  • Rise (1979)
  • Beyond (1980)
  • Magic Man (1981)
  • Fandango (1982)
  • Blow Your Own Horn (1983)
  • Wild Romance (1985)
  • Classics Volume 20 (compilation, 1987)
  • Keep Your Eye On Me (1987)
  • Under a Spanish Moon (1988)
  • My Abstract Heart (1989)
  • North on South St. (1991)
  • Midnight Sun (1992)
  • Second Wind (1996, ALMO)
  • Passion Dance (1997, ALMO)
  • Colours (1999, ALMO)
  • Definitive Hits (compilation, 2001, Interscope)
  • Anything Goes (2009, Concord Jazz)
  • I Feel You ( & Lani Hall, 2011, Concord Jazz)
  • steppin' out ( featuring Lani Hall, 2013, Shout Factory)
  • In The Mood ( featuring Lani Hall, 2014, Shout Factory)
  • Come Fly With Me (2015)

外部リンク編集