バスターミナル

複数のバス路線の発着点(バス停)として設置されている施設

バスターミナル(bus terminal)とはバス停留所の内、複数のバス路線の発着点(バス停)として設置されている施設である。

概要編集

中・長距離において、バス交通が中心の国や地域(ブラジルスペインフィリピンベトナムなど)では、都市にある中・長距離バス路線の発着場所として設けられ、交通の拠点であり、鉄道中心の国(日本ドイツフランスなど)における鉄道ターミナル駅と同じく、都市の玄関口としての性格が強い。

それぞれ国や都市あるいはバス会社により、近距離・市内バスと中・長距離バス(高速バス)が同じバスターミナルに乗り入れるケースと別々に設けられているケースがある。鉄道中心の国では、近距離路線を結節させるため鉄道駅にバスターミナルが設置されるケースがある。バスターミナルの性格や形状は、一つの国内でも都市・地域により違いが大きいことが多い。

施設の名称編集

 
ドイツフレンスブルクのセントラル・バス・ステーション。1931年開業で、同国初のセントラル・バス・ステーションである。

バスターミナルの名称の由来については、英語のterminal という言葉が、終着点という意味があるためバスの終着点・結節点という意味でこう呼ばれる。旧日本国有鉄道自動車路線(国鉄バス)の場合には、路線バス専用線ないしはそれに類する道路上にあるバスターミナルには自動車駅と称し、連絡運輸との兼ね合いで鉄道の駅と同等に扱う場合もある。そのため、一部には「○○バスターミナル駅」と称した場合もある。また、現在でも「駅」と称しているバスターミナルの沿革を見ると、かつて鉄道の駅ないしは駅の予定地であったものも散見される。

米国の公営バス事業者は、地域バスの発着場にtransit centerという名称を与えることが多い。地域によってはterminalという語が人生の終点を連想させるとして(ターミナルケアなど)、bus terminalという表現をしないところもある。

スペインでは「バスの駅」を意味するスペイン語estación de autobuses(エスタシオン・デ・アウトブーセス)」と呼ぶ。ブラジルではポルトガル語で、「Rodoviária(ホドビアリア)」と呼ぶ。インドではbus standと呼ばれることもある。

なお、日本のバスターミナルは「○○バスセンター」と名乗る施設が数多く存在するが、「バスセンター」という言葉はほぼ造語和製英語であり、英語圏では通用しない。イギリス英語ではcoach station、アメリカ英語ではbus terminalbus terminusbus stationbus depotなどの表現が用いられる。

bus station(バスステーション)は、地域路線バスや都市間バスが乗客の乗降を扱うための施設。バス停留所より大規模な施設であり、多くの場合、各路線の始発・終点や乗り継ぎ拠点として使用されている。

世界で最大のバスステーションは、イスラエルテルアビブにあるテルアビブ・セントラル・バスステーションで、1993年に開設された。敷地面積は4万平方メートル、全てのフロアの面積を合計すると23万平方メートルに及ぶ。ただし、このバスステーションは住宅地の中に存在するという立地条件から、失敗とみなされていた。

なお、ヨーロッパで最大の地下のバスステーションは、2006年に開設された、フィンランドのヘルシンキにあるカンピセンターで、設計・建設には1億ユーロの費用と3年の期間を要した。2万5千平方メートルの広さを持つこのバスセンターは、現在フィンランドで最も利用者数の多いバスセンターとなっており、1日に700本程度のバスが発着し、およそ17万人の利用者を捌いている。

各乗り場は固定の路線に割り当てられることもあれば、乗客への情報を提供するシステムを整備の上で乗り場と路線を固定しないこともある。後者は乗り場のプラットフォームは少なく済むが、利用者側では乗り場を前もって確認しておく必要がある。

日本のバスターミナルの特徴編集

概要編集

日本にあるバスターミナルは、違いが非常に大きく、その設備に関しては一概では言えない。鉄道や、空港・バスの車庫を起点にして路線バス網を形成している場合が多いため、これらの近くに設ける場合が近・中距離路線に多い。また、都市計画等により一地域で分散しているバス停を一箇所に整理した事例の他、バス会社が中心街や観光地に設置している事例もある。

基本的には鉄道中心の国ではあるが、高速道路網の発達と、精力的にバス事業を拡大・発展させてきたバス会社が幾つも存在することから、鉄道(鉄道駅)に取って代わるほどの利用客があったり都市玄関口としての性格が強い中・長距離バスターミナルが存在する都市(熊本福岡広島札幌北海道の諸都市など)もある。また、本州でもバスが鉄道並みに交通の中心的な役割を果たす都市では概ね近・中距離バスが発達しているが、中・長距離利用にあわせて鉄道(駅)と結節させることが多いため、鉄道駅に設置され、独立した施設を持たない事例も少なくない(宇都宮水戸仙台など)。

例外的ではあるが、高速路線バスのバス停について、他の路線バスが発着し、かつ高速バスと路線バスが連携している場合、この停留所自体をこう呼ぶ場合がある。また、利便性を高めるために路線バス会社や地方公共団体などがこの近くに営業所や案内所を設けている場合が多い。

沖縄本島第二次世界大戦後、長らくバスのみの地域であり、本州・九州などとは事情が異なる。那覇にはバスターミナルが設置され、那覇バスターミナルは島内諸都市からの玄関口として、本州における鉄道駅のように機能してきた。那覇には現在沖縄都市モノレールが存在するが、市内の一部を通るのみなので市外方面に関して基本的に変わっていない。

バスターミナルの形状としては、それ自体が建物になっているもの(熊本熊本桜町バスターミナルや福岡の西鉄天神高速バスターミナル、広島の広島バスセンター、名古屋の名鉄バスセンター北海道中央バス札幌ターミナル)や、単に広場状で旅客部分にのみ屋根がついているもの(鉄道駅バスターミナルに多い)などさまざまである。

仙台では、広場上で旅客部分にのみ屋根が付いているものを「バスプール」と称し、「バスターミナル」を称する停留所は旭ヶ丘バスターミナルなど一部に限られる。

また大規模なバスターミナルの場合、バース間の移動通路を兼ねた地下街を持つ場合も少なくない。

近年では八戸の様に自治体主導で市街地のエリアそのものをターミナルと位置付け「青空ターミナル」と称する事例もある。

なお、日本の自動車ターミナル法では、「旅客の乗降のためバス事業用の自動車を同時に2両以上停留させることを目的とした施設であって、乗合バス事業者が自ら使用することを目的として設置したバスターミナルを専用バスターミナルといい、それ以外のものを一般バスターミナルという」と規定されている[1]。専用バスターミナルは175箇所、一般バスターミナルは24箇所あり、そのうち11以上のバースを持つ規模の大きいものは専用で9箇所、一般で10箇所である(2006年4月末現在)[2]

日本における沿革編集

日本のバスターミナルは、少なくとも1949年12月岡山県岡山市に開業した「セントラルバスステーション」(現在の「天満屋バスステーション」)まで遡ることができ、次いで1951年2月、新潟県新潟市に開業した「新潟交通バスステーションビル」(後に移転。現在の万代シテイバスセンター)、1957年7月29日広島県広島市に開業した「広島バスセンター」などが登場することとなる。

「バスの駅」構想編集

バスの駅(バスのえき)は、鉄道駅に代わる地域の交通の結節点として、高速バスを中心とした交通ネットワークの結節点としての役目を果たすべく、建設省1999年に整備の方針を打ち出し、国土交通省が整備を進めているバスターミナル施設である。

高速バスのバス停を中心として商業施設や公共施設を周辺に統合することにより、地域の新しい中心にするというもので、パークアンドライドの機能を持たせた上で市街地から外れた場所に施設を設置することによって、市街地への自家用車の流入を減少させ、市街地道路の混雑緩和を図る目的も含まれている。

設備の概要としては、概ねバス3台分以上の乗降スペースを設置し、駐車場・駐輪場・公衆便所・案内標識などを国土交通省が整備し、待合室・公共施設・商業施設を地方自治体や民間が整備するものである。日本全国で50箇所程度が想定されており、2003年には徳島県徳島とくとくターミナルが、2006年には熊本県山鹿バスの駅が整備された。

バスタプロジェクト編集

バスタプロジェクトは、鉄道駅、バスターミナル、タクシー乗り場などを集約し、官民が連携して交通結節点を整備するプロジェクトである[3]。国土交通省が「バスタプロジェクト推進検討会」で「交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン」を策定し、バスタ新宿をモデルに全国展開している[3][4]MaaSスマートシティとの連携、他の交通拠点との連携、新たなモビリティとの連携などの未来志向の取組や、防災拠点・観光拠点としての機能強化が進められている[3]

日本全国のバスタプロジェクト一覧
交通拠点 名称 事業名 事業主体 事業段階 進捗[3]
新宿駅 バスタ新宿 新宿駅南口地区基盤整備事業 関東地方整備局東京国道事務所[5] 供用中 2016年4月に開業した。
品川駅 未定 品川駅西口基盤整備事業 関東地方整備局東京国道事務所[6] 事業中 2019年4月に事業化された。
新潟駅 未定 新潟駅交通ターミナル整備事業 北陸地方整備局新潟国道事務所[7] 事業中 2020年4月に事業化された。
三ノ宮駅三宮駅 未定 神戸三宮駅交通ターミナル整備事業 近畿地方整備局兵庫国道事務所[8] 事業中 2020年4月に事業化された。
追浜駅 未定 追浜駅交通結節点事業 関東地方整備局横浜国道事務所[9] 事業中 2021年4月に事業化された。
近鉄四日市駅 未定 近鉄四日市駅バスターミナル整備事業 中部地方整備局三重河川国道事務所[10] 事業中 2021年4月に事業化された。
呉駅 未定 呉駅交通ターミナル整備事業 中国地方整備局広島国道事務所[11] 事業中 2021年4月に事業化された。
札幌駅 未定 札幌駅交通ターミナル整備事業 北海道開発局札幌開発建設部[12] 計画中 2020年1月に事業計画の検討が始まった。
大宮駅 未定 大宮駅西口交通結節点事業 関東地方整備局大宮国道事務所[13] 計画中 2021年4月に事業計画の検討が始まった。
松山駅 未定 未定 四国地方整備局松山河川国道事務所[14] 構想中 2022年5月に事業化の検討が始まった。

令和4年3月時点で、下記の交通拠点も「バスタプロジェクトマップ」に載っており、必要性の調査が行われている[15]

日本各地のバスターミナル一覧編集

以下、代表的なバスターミナルを記載する。自動車ターミナル法で規定する一般バスターミナル[16][17] については、☆印を付している。

原則として、鉄道駅構内、鉄道駅交通広場のバスターミナルは割愛する。ただし施設または管理が独立しているもの、またはウィキペディア日本語版において特筆性のある代表的なバスターミナルとしての独立記事が存在する場合を除く。

北海道地方編集

東北地方編集

青森県

岩手県

秋田県

宮城県

山形県

福島県

関東地方編集

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

中部地方編集

新潟県

富山県

石川県

福井県

長野県

山梨県

静岡県

岐阜県

愛知県

近畿地方編集

三重県

滋賀県

  • 延暦寺バスセンター

奈良県

京都府

大阪府

兵庫県

和歌山県

  • 白浜バスセンター

中国地方編集

岡山県

広島県

鳥取県

島根県

山口県

四国地方編集

香川県

徳島県

高知県

愛媛県

九州地方編集

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄地方編集

韓国のバスターミナル一覧編集

韓国は、鉄道網が発達している一方で、長距離のバス網も発達しており、ソウルなど大都市には、長距離バス(高速バス)の拠点となるバスターミナルが幾つも設置されている。

ソウル編集

京畿道編集

江原道編集

釜山編集

その他編集

台湾のバスターミナル一覧編集

韓国同様、高速バス網が発達しており、同業者間、さらには鉄道との競争が激しい。近年では、高速鉄道開通により、競争が激化している。

公路客運(市外バス)・国道客運(高速バス)用のターミナルは轉運站(転運站/転運駅)、轉運中心站(転運中心站)、客運站(客運站/客運駅)、總站(総站/総駅)と呼ばれる。

台北・新北編集

新竹編集

宜蘭編集

台中編集

  • 台中転運站- 各国道客運台中総站。
  • 干城転運站
  • 朝馬転運站

嘉義編集

台南編集

  • 兵工廠站(台南転運站)- 各国道客運台南総站。台南公園横にあり、台鉄台南駅とはかなり離れている。
  • 平實転運站 - (台南市の玄関口)
  • 新營総合転運站 -(台南市の最北部)
  • 麻豆転運站 -(台南市の中部)
  • 仁德転運站 - (台南市の東部)
  • 開元転運站 - (台南市中心)
  • 保安転運站 -(台南市の最南部)
  • 北門站 - 和欣北門站・統聯北門站・国光台南站(台南駅北側、主に乗車用)
  • 台南駅 - (和欣客運・乗車専用)

高雄編集

  • 国道客運高雄站(台鉄高雄駅前の建国二路沿いに分散)

その他編集

その他の都市では、各バス会社が独自にバスターミナルを設置している。近年では、駅周辺の区画整理事業とともに、バスターミナルを建設し、そこに集約する傾向にある。

タイのバスターミナル一覧編集

タイでは鉄道網よりもバス網が広く発達している。

バンコク編集

ベトナムのバスターミナル一覧編集

ベトナムでは鉄道網よりもバス網が広く発達している。ベトナム語でバスターミナルのことはBến Xe(ベン・セー)と言う。

ホーチミン市編集

  • ベンタインバスターミナル(Bến Xe Bến Thành) - ベンタイン市場前。市内ローカルバスの中心ターミナル。カンボジア国境ゆきの便もある。
  • チョロンバスターミナル(Bến Xe Chợ Lớn) - 中華街であるチョロン地区にある市内南西のターミナル。
  • ミエンタイバスターミナル(Bến Xe Miền Tây) - ベトナム南部(メコンデルタ)方面への長距離バスを扱う。
  • ミエンドンバスターミナル(Bến Xe Miền Đông) - ベトナム中部・北部方面への長距離バスを扱う。

ハノイ編集

  • ザップバットバスターミナル(Bến Xe Giáp Bát) - ベトナム中部・南部方面への長距離バスを扱う。
  • ザーラムバスターミナル(Bến Xe Gia Lâm) - ベトナム北部のうち西方面への長距離バスを扱う。
  • ミーディンバスターミナル(Bến xe Mỹ Đình) - ベトナム北部のうち北・東方面への長距離バスを扱う。
  • ルオンイエンバスターミナル(Bến xe Lương Yên) - ベトナム北部のうち西方面への長距離バスを扱う。

スペインのバスターミナル一覧編集

マドリード州・マドリード市編集

カタルーニャ州・バルセロナ市編集

エストレマドゥーラ州編集

アンダルシア州編集

ナバラ州編集

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 自動車:バスターミナルについて - 国土交通省
  2. ^ 交通新聞社刊「交通年鑑2008」より。
  3. ^ a b c d 道路:バスタプロジェクト - 国土交通省
  4. ^ バスタプロジェクトを全国展開へ 国交省が「交通拠点の機能強化ガイドライン」を策定” (日本語). レスポンス(Response.jp). 2022年4月14日閲覧。
  5. ^ バスタ新宿(交通結節点事業)”. www.ktr.mlit.go.jp. 国土交通省 関東地方整備局 東京国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  6. ^ 品川駅西口基盤整備事業”. www.ktr.mlit.go.jp. 国土交通省 関東地方整備局 東京国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  7. ^ 新潟駅交通ターミナル整備事業”. www.hrr.mlit.go.jp. 国土交通省 北陸地方整備局 新潟国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  8. ^ 国道2号 神戸三宮駅交通ターミナル整備”. www.kkr.mlit.go.jp. 国土交通省 近畿地方整備局 兵庫国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  9. ^ 追浜駅交通結節点事業計画検討会”. www.ktr.mlit.go.jp. 国土交通省 関東地方整備局 横浜国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  10. ^ 近鉄四日市駅バスターミナル”. www.cbr.mlit.go.jp. 国土交通省 中部地方整備局 三重河川国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  11. ^ 国道31号等 呉駅交通ターミナル整備事業計画検討会”. www.cgr.mlit.go.jp. 国土交通省 中国地方整備局 広島国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  12. ^ 札幌駅交通ターミナル”. www.hkd.mlit.go.jp. 国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部. 2022年2月19日閲覧。
  13. ^ 大宮駅西口交通結節点事業計画検討会”. www.ktr.mlit.go.jp. 国土交通省 関東地方整備局 大宮国道事務所. 2022年2月19日閲覧。
  14. ^ 松山駅交通拠点機能強化検討会”. www.skr.mlit.go.jp. 国土交通省 四国地方整備局 松山河川国道事務所. 2022年7月2日閲覧。
  15. ^ バスタ事業の事例”. 松山市 都市整備部 松山駅周辺整備課. 2022年7月2日閲覧。
  16. ^ 一般バスターミナル現況”. 国土交通省 (2007-10-01). 2021年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月20日閲覧。
  17. ^ 一般バスターミナル現況”. 国土交通省. 2018年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月20日閲覧。
  18. ^ さいたま市、長距離バスターミナル「さいたま新都心バスターミナル」供用開始(トラベルWatch 2020年6月1日 2020年6月4日閲覧)

参考文献編集

  • 鈴木文彦 『路線バスの現在・未来』グランプリ出版、2001年。ISBN 4-87687-217-1 

関連項目編集

外部リンク編集