メインメニューを開く

バンクシー

イギリスを活動の中心とする芸術家

バンクシーBanksy, 生年月日未公表)は、イギリスロンドンを中心に活動する覆面芸術家である。世界各地でゲリラ的に社会風刺グラフィティアートやストリートアートを残す。本人は自身の詳細を明らかにせず本名など多くは不明だが、大作を短時間で仕上げた事例などから複数人によるグループ説もある。2018年時点で英国外を含めて約170か所[1]に軌跡がある。2005年に各国有名美術館の人通りが少ない部屋に作品を無断で陳列したが数日間気づかれず、話題となった。

バンクシー
著名な実績 グラフィティストリートアート
無政府主義のネズミ(Anarchist rat)

目次

特徴編集

型紙を用い、街中の壁などに反資本主義や反権力など政治色が強いグラフィティを残したり、メトロポリタン美術館大英博物館などの館内に無許可で作品を陳列するなどのパフォーマンスにより、「芸術テロリスト」と称する者も散見される。

街頭などのグラフィティにこだわり、企業や音楽家などの依頼は全て断っている。2002年に日本のファッションブランド「モンタージュ」にTシャツの図案を2種類、 2003年にブラーのアルバム『シンク・タンク』のジャケットをそれぞれ提供して以後、ソニーナイキマイクロソフト、ミュージシャンのデヴィッド・ボウイオービタルマッシヴ・アタックなどの申し入れを断っている。

多くは街頭の壁面などに無断で描かれ、落書きとして行政が清掃などの際に消去[2]する事例もあるが、描かれた壁面をアクリル板で保護する建物所有者[1]も見られた。2007年2月のサザビーズオークションで作品6点が372000ポンド[3]で落札された。

2009年6月13日から8月31日までブリストルの市営美術館で大規模展「Banksy versus Bristol Museum」が催された。

2010年にドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を監督してアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。

2015年にイギリスで期間限定のテーマパーク「ディズマランド[4]を演出した。

「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」「セービング・バンクシー」「バンクシーを盗んだ男」などドキュメンタリー映画が多数制作されている。

作例編集

 
バスルームの窓からぶら下がる裸の男
  • 2006年6月にブリストルで、裸の男がバスルームの窓からぶら下がる壁画を残し、除去か否かがインターネットで問われて97%が除去に反対して残存している。
  • 2006年の8月から9月にかけて、パリス・ヒルトンのデビューアルバムのフェイクを500枚制作してイギリスの48のレコードショップに無断で陳列した。デンジャー・マウスによる40分のリミックスで "Why am I Famous?"(私は何で有名なの?) "What Have I Done?"(私が一体何をしたの?)などが採録されていた。ブックレットはパリスの顔の部分に犬の頭を貼り付けたり、ヌードのマネキンにパリスの顔を貼り付けたコラージュされた写真が載せられていた。表面からはその違いが分からなかったため、いくつかのCDは店側の認知前に購入されてオークションで750ポンドの値段がついた。
  • 2006年9月に、カリフォルニアディズニーランドの遊具「ビッグサンダー・マウンテン」の近くに、グァンタナモ米軍基地囚人を模したオレンジのジャンプスーツ、黒い帽子手錠の人形を無断で設置した。
     
    分離壁に描かれた絵
  • 2007年12月にヨルダン川西岸地区ベツレヘムで、分離壁などにステンシル画6点を残した。
  • 2009年の「Banksy versus Bristol Museum」でグラフィティアート、絵画、生き物のように蠢く加工食品、化粧をするウサギ、老衰したトゥイーティーのロボットなどを展示した。
  • 2010年10月10日に『ザ・シンプソンズ』のオープニングアニメーションを演出し、『ザ・シンプソンズ』のアニメーションやグッズの大半が制作されるアジア地域の劣悪な労働環境を風刺した。
  • 2017年3月20日にベツレヘム市のヨルダン川西岸地区パレスチナ分離壁の目の前で、世界一眺めの悪いホテルを開業した。
  • 2018年10月7日にサザビーズオークションへ出品された「赤い風船に手を伸ばす少女」が約1億5千万円で落札された直後、額縁に仕掛けられたシュレッダーが作動して作品は切断された。本人はインスタグラムで成功の喜びと共に仕掛けを仕込む様子を動画で公開[5]して「愛はごみ箱の中に」に改題された。オークション会社はシュレッダーの存在を知らなかったと発表したが、バンクシーと組んで話題を作り作品の価値を上げるためのやらせだったと見る向きもある。

身元編集

バンクシーの身元は不明で、落書きが犯罪であるから[6]とされる。

2008年の『メール・オン・サンデー英語版』の調査ではかつての校友や同僚は、パブリックスクールのブリストル大聖堂公立学校の元生徒だったロビン・ガニンガム (Robin Gunningham) と信じている[7][8]。この説はバンクシーの作品が発見された場所の研究によって2016年に確証された。バンクシーの作品の発生率はガニンガムの動きと相関していることが分かった[9][10]

7人組のアーティストチームであるという憶測もある[11]2014年にインターネットで「バンクシーが逮捕され、その身元が明らかになった。」という嘘のニュースが出た[12]

2016年8月にスコットランドジャーナリストクレイグ・ウィリアムズは、バンクシーの壁画出現のタイミングとトリップ・ホップバンドマッシヴ・アタックのツアースケジュールを結び付けた調査結果を発表した[13] 。ウィリアムズは、バンクシーの仕事が集団の仕事であり、バンクシー自身がマッシヴ・アタックのロバート・デル・ナジャ英語版であるかも知れないという説を提唱した[14][15] 。デル・ナジャは1980年代にバンドを結成する前はグラフィティアーティストであり、以前はバンクシーの個人的な友人であった[13]。 だがバンクシーが有名になる前に、ロンドンで彼にインタビューをした翻訳家の鈴木沓子は「マッシヴ・アタックの方ではなかった」と語っている。

2017年6月イギリスのミュージシャンゴールディ英語版は、スクルービアス・ピップ英語版のポッドキャスト番組にゲスト出演した際に、バンクシーを「ロブ(またはロバート)」と呼んだ。これは、バンクシー=デル・ナジャ説を裏付ける発言と思われたが、ゴールディはロバート・デル・ナジャ、ロビン・カニンガム、またはその両方、誰に言及しているのか分からないという指摘もされている[16]

ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーには、写真家のジェームス・パフ(James Pfaff)によるバンクシーのポートレート(覆面状態ではあるが)が収蔵されている[17]。また2010年の映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』には覆面を被ったバンクシー本人が登場して喋っている。

2017年12月、バンクシーの写真が英『デイリー・メール』などのメディアに掲載された。パレスチナを訪れた観光客がたまたま撮影したグラフィティを描くアーティストがバンクシーだったというのだ。帽子をかぶった痩身の中年男性が写っている。しかし、この写真自体がフェイクの可能性もある。

ギャラリー編集

脚注編集

  1. ^ a b 「落札後に作品細断/神出鬼没 バンクシーって!?」東京新聞』朝刊2018年10月28日(1面)2018年12月19日閲覧。
  2. ^ 落書きと間違えた市当局が、巨匠バンクシーの作品を塗りつぶす - 英国 AFP BB News - BETA - (現在リンク切れ)
  3. ^ もっとも、公共の場に描かれた作品は動かすことも買い取ることもできないので、この「価格」がどれだけの意味を持つのかは不明。
  4. ^ バンクシーの"陰気な"テーマパーク「ディズマランド」フランス北部に移転”. Fashionsnap.com (2015年9月28日). 2015年10月9日閲覧。
  5. ^ “バンクシー”絵画の仕掛けか 落札後に切り刻む”. Fashionsnap.com (2018年10月7日). 2018年10月7日閲覧。
  6. ^ The Culture Show - Episode 13
  7. ^ "Banksy 'may abandon commercial art' Archived 3 March 2015 at the Wayback Machine.. BBC. Retrieved 20 May 2015
  8. ^ "Banksy: the artist who's driven to the wall" Archived 26 August 2016 at the Wayback Machine.. The Guardian. Retrieved 20 May 2015
  9. ^ Sherwin, Adam (2016年3月3日). “Banksy: Geographic profiling 'proves' artist really is Robin Gunningham, according to scientists”. Independent. オリジナルの2016年3月4日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160304052043/http://www.independent.co.uk/news/people/banksy-geographic-profiling-proves-artist-really-is-robin-gunningham-according-to-scientists-a6909896.html 2016年3月4日閲覧。 
  10. ^ Hauge, Michelle V.; Stevenson, Mark D.; Rossmo, D. Kim; Le Comber, Steven (3 March 2016). “Tagging Banksy: using geographic profiling to investigate a modern art mystery”. Journal of Spatial Science. doi:10.1080/14498596.2016.1138246. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/14498596.2016.1138246?journalCode=tjss20. 
  11. ^ Who is Banksy? The answer may surprise you, but my source is good”. 2016年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月23日閲覧。
  12. ^ Alexander, Ella (2014年10月20日). “Banksy not arrested: Internet duped by fake report claiming artist's identity revealed”. The Independent (London). http://www.independent.co.uk/news/people/banksy-arrest-hoax-internet-duped-by-fake-report-claiming-that-the-street-artists-identity-has-been-revealed-9806157.htm 2014年11月9日閲覧。 
  13. ^ a b Is Banksy actually a member of Massive Attack?”. Mixmag (2016年9月2日). 2016年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月4日閲覧。
  14. ^ Is Banksy Actually Massive Attack's Robert Del Naja?”. TIME.com. 2016年9月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月4日閲覧。
  15. ^ Is Banksy actually a member of Massive Attack?”. The Daily Dot (2016年9月2日). 2016年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月4日閲覧。
  16. ^ Has Goldie just revealed Banksy’s true identity?”. NME (2017年6月22日). 2017年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月23日閲覧。
  17. ^ http://www.npg.org.uk/collections/search/person.php?LinkID=mp90771&role=art

関連項目編集

  • 281_Anti nuke バンクシーと対比される日本の活動家。

外部リンク編集