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バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲート

バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲート
BADEN-WURTTEMBERG 00257 (cropped).jpg
艦級概観
艦種 フリゲート
艦名 ドイツの連邦州
建造期間 2011年 -
就役期間
前級 ブレーメン級 (122型)
次級 最新
性能諸元
排水量 満載: 7,316 t[1]
全長 149.5 m[1]
全幅 18.8 m
吃水 5 m
機関 CODLAG方式
MTU 20V4000M53Bディーゼル発電機 (2.9 MW) 4基
電動機 (4.7 MW/6,300 hp) 2基
LM2500ガスタービンエンジン
(20 MW/27,000 hp)
1基
スクリュープロペラ 2軸
バウスラスター (1 MW/1,300 hp) 1基
速力 26 kt[1]
航続距離 4,000海里 (20kt巡航時)
乗員 艦乗員120名+航空要員20名
+特殊部隊50名
兵装 64口径127mm単装砲 1基
MLG 27 27mm機関砲 2門
12.7mmRWS 5基
12.7mm機銃 2基
RAM近SAM 21連装発射機 2基
ハープーンSSM 4連装発射筒 2基
艦載機 NFH90哨戒ヘリコプター 2機
レーダー TRS-4Dロシア語版 多機能型
(AESAアンテナ×4面)
1基
ソナー CERBERUS Mod.2 対戦闘泳者用

バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲートドイツ語: Fregatte Baden-Württemberg-Klasse)は、ドイツ海軍フリゲートの艦級。公称艦型は125型Klasse 125[1]

設計編集

本級の大きな特徴は、マルチハザード化およびグローバル化に伴う任務の多様化に対応するため、非対称戦争戦争以外の軍事作戦を重視して、思い切ったトレードオフ開発が行われている点にある。この結果として、従来のドイツ海軍フリゲートが備えていたような防空対潜戦能力はほとんど削ぎ落とされた。その一方で、遠隔地において、長期間に渡る任務を少人数で安定的に遂行できるように要求されており、設計にあたっては下記のような要求事項が提示された[2]

  • 母港を離れての連続展開期間: 2年
  • 海上での作戦時間: 5,000時間/年
  • 大規模オーバーホール実施間隔: 約60ヶ月
  • 乗員交代: 4ヶ月ごと(交代は48時間以内に完了)

また冷戦構造崩壊後の防衛予算削減に対応するため、省人員化も積極的に進められており、乗員は1タイプ前のブランデンブルク級(243名)よりも100人近く少ない140名となっており、加えて平和維持活動などの行動のために、50名分の居住区画を有する[1]。少人数で抗堪性を確保するため、多機能レーダーの構造物、戦闘指揮所や通信室、機関制御室などの枢要区画は船体の前後2ヶ所に分けて分散配置されたほか、船体は二重隔壁により、それぞれ独立した電力供給・吸排気・空調系を備えた6つの水密区画に区分されている[2]

主機方式としてはディーゼルエレクトリック・ガスタービン複合推進(CODLAG)方式が採用されている。巡航機としては、MTU 20V4000M53Bディーゼルエンジン4基を発電機として使用したディーゼル・エレクトリック方式が、加速機としてはゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジン1基が用いられる。また特殊作戦時に洋上で定位置を保つなどの精密な操艦を求められる状況を考慮して、バウスラスターも搭載される[2]

装備編集

メインセンサーとしては、EADS傘下のカシディアン社が開発したCバンドのTRS-4Dロシア語版多機能レーダーが搭載される。4面のアクティブ・フェイズド・アレイ(AESA)アンテナは、上記の通り前後2つの上部構造物に分散配置されており、前部に0度と90度を向いたもの、後部に180度と270度を向いたものが固定装備されている。またこれを補完する光学センサーとして、ディール社のSIMONEも搭載される[2]。一方、ソナーとしては、アトラス社の障害物回避ソナーであるCERBERUS Mod.2対戦闘泳者用ソナー(DDS)が搭載される[3]。これは70~130kHzの高周波数を用いる吊下げ式ソナーで、スクーバ潜水具を用いたダイバーであれば900m、閉式潜水具を用いたダイバーであれば700mで探知できる性能を備えているとされている[4]

武器システムに関しては、上記のとおり、非対称戦争に注力したものとなっている。主砲としては、沿岸部への兵力投射の際の火力支援任務を重視して、オート・メラーラ 127 mm 砲の長砲身(64口径長)モデルが搭載される。主砲からは誘導砲弾を発射することが可能で、これにより最大100kmの射程を有する[1] 。計画当初は、さらに艦砲射撃時の威力を増大させるため、PzH2000 155mm自走榴弾砲の砲塔部分を艦載化することも計画された(MONARC計画)ほか、MLRSの艦載化も検討されたが、冒険的な要素が大きすぎたことから、127mm砲装備に落ち着いた[5]

対水上火力としては従来通りのハープーン艦対艦ミサイルが搭載されるほか、舟艇などに近距離で対処するため、マウザーBK-27 27mm機関砲を単装に配したヒットロールNT RWSを5基設置する予定とされている[1]

一方、艦固有の対潜火力は一切搭載されておらず、対潜捜索も含めて艦載ヘリコプターであるNH902機に依存する。また防空火力もRAM近接防空ミサイルに限定されている[2]。ただし、主砲とRAM発射機の間に何も搭載されていない区画があり、VLSを搭載できる区画と推測されている[1]

沿岸部への兵力投射任務を重視して、特殊部隊50名を乗艦させることができる。その移送としては、2機のNH90ヘリコプター用の格納庫と飛行甲板が用意されている[1]ほか、40ノットの速力を発揮できる11メートル型複合艇(RHIB)が4隻、船体両舷のレセスに収容されている[2]

同型艦編集

一覧表編集

艦番号 艦名 起工 進水 就役
F222 バーデン=ヴュルテンベルク
Baden-Württemberg
2011年
11月2日
2013年
12月12日
2019年
6月17日
F223 ノルトライン=ヴェストファーレン
Nordrhein-Westfalen
2012年
10月24日
2015年
4月16日
n/a
F224 ザクセン=アンハルト
Sachsen-Anhalt
2014年
6月4日
2016年
3月4日
F225 ラインラント=プファルツ
Rheinland-Pfalz
2015年
1月29日
2017年
5月24日

運用史編集

1番艦「バーデン・ヴュルテンベルク」は、相次ぐ遅れを経て2016年に海上公試を開始したが、その結果を踏まえて、2017年12月、ドイツ海軍は想定外の設計ミスがあると判断し、同艦の就役を拒否した。船体が著しく右に傾いていたほか、搭載ソフトウエアにバグがあるうえ、見当違いの武器を装備しているとされる[6]

出典編集

  1. ^ a b c d e f g h i M.NITZ「独新型FF「バーデン・ヴュルテンベルク」公試開始!」『世界の艦船』第840号、海人社、2016年7月。
  2. ^ a b c d e f 多田智彦「5 バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲート (世界の新型水上戦闘艦ラインナップ)」『世界の艦船』第782号、海人社、2013年8月、 86-87頁。
  3. ^ navyrecognition.com (2012年7月16日). “Atlas Elektronik to provide Cerberus portable diver detection sonar for the German Navy F125 frigate” (英語). 2013年9月6日閲覧。
  4. ^ ATLAS ELEKTRONIK UK (2010年). “Cerberus Mod2 – Portable Diver Detection Sonar (PDF)” (英語). 2013年9月6日閲覧。
  5. ^ Matthew Rodchenko (2012年5月22日). “155 mm/52 (6.1") MONARC” (英語). 2013年9月19日閲覧。
  6. ^ “新型ドイツ軍艦は不合格、背景に何が”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2018年1月15日). http://jp.wsj.com/articles/SB12404974170281193886104583639271413624366 2018年1月15日閲覧。 

関連項目編集

  • MKS180 - 現在計画中のフリゲートの艦級。