パトロクロス (小惑星)

小惑星

パトロクロス[1] (617 Patroclus) はトロヤ群に属する小惑星で、それ自体とほぼ同じ大きさの衛星を持つ、いわば二重小惑星と呼ぶべき天体であることで知られる。

パトロクロス
617 Patroclus
ハッブル宇宙望遠鏡が2018年2月13日に撮影したパトロクロスとメノイティオス
ハッブル宇宙望遠鏡が2018年2月13日に撮影したパトロクロスとメノイティオス
仮符号・別名 1906 VY
分類 小惑星
軌道の種類 トロヤ群
木星L5
発見
発見日 1906年10月17日
発見者 アウグスト・コプフ
軌道要素と性質
元期:2008年11月30日 (JD 2,454,800.5)
軌道長半径 (a) 5.224 AU
近日点距離 (q) 4.496 AU
遠日点距離 (Q) 5.951 AU
離心率 (e) 0.139
公転周期 (P) 11.94 年
軌道傾斜角 (i) 22.04
近日点引数 (ω) 307.40 度
昇交点黄経 (Ω) 44.35 度
平均近点角 (M) 249.56 度
衛星の数 1
物理的性質
直径 121.8 ± 3.2 km
質量 1.36 ×1018 kg
平均密度 0.8 g/cm3
自転周期 >40 時間
スペクトル分類 P
絶対等級 (H) 8.19
アルベド(反射能) 0.0471
表面温度
最低 平均 最高
110 K
色指数 (B-V) 0.677 ± 0.013
色指数 (U-B) 0.215 ± 0.045
Template (ノート 解説) ■Project

1906年ドイツ天文学者アウグスト・コプフによりハイデルベルクで発見され、ギリシア神話の英雄パトロクロスにちなんで命名された。

軌道 編集

パトロクロスは木星の軌道上で木星より60度後方(ラグランジュ点のL5)付近に位置する。木星のトロヤ群のうち狭義の「トロヤ群」(Trojan camp) に分類される。

本来、由来となったパトロクロスはギリシア軍の一員なので木星の前方(L4点)に位置する「ギリシア群」の小惑星に名付けられなければならないはずだが、これはトロヤ群 / ギリシア群の区別がつけられる前にパトロクロスが発見・命名されたことによる。同様の例としては、(624) ヘクトルがある(こちらはパトロクロスと逆である)。

衛星 編集

2001年、地上からの観測によりパトロクロスは衛星を持つことが判明し、衛星には仮符号S/2001 (617) 1が付けられた。2006年2月にはケック天文台での補償光学観測により、パトロクロスとその衛星は 680 ±20 kmの距離を4.283 ±0.004 日かけて互いに周回していることが判明した。

パトロクロスおよび衛星の大きさについては、2000年11月に行われた観測のデータを後に解析した結果、それぞれ122kmおよび112kmであることがわかった。

2006年2月、衛星はパトロクロスの父メノイティオスに因んでメノイティオス ((617) Patroclus I Menoetius) と命名された。

組成について 編集

公転周期などから、パトロクロスとメノイティオスの密度は 0.8 g/cm3であることが判明した。このことから、両天体は元は彗星で、木星の重力に捉えられた結果、今の軌道になったと考えられている。

探査 編集

パトロクロスは、2021年打ち上げ予定のNASAの木星トロヤ群小惑星探査ミッションルーシーにおいて探査候補として挙げられている[2][3]

脚注 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集


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