パワー・ポップ
パワー・ポップ (Power pop) とは、ロックの形態の一種である。ポップなメロディと、はじけるようなサウンドが特徴となっている。イギリス、アメリカで1970年代に発生した。
パワー・ポップ Power pop | |
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様式的起源 | ロックンロール、ハードロック、ガレージロック、ポップ・ロック |
文化的起源 | 1970年代。イギリスとアメリカ合衆国にて。 |
使用楽器 | ドラム、ギター、キーボード、ベース、シンセサイザー |
派生ジャンル | ギターポップ |
融合ジャンル | |
ニュー・ウェイヴ、パンク・ロック、シンセポップ | |
関連項目 | |
ポップ・パンク、ブリットポップ、オルタナティヴ・ロック |
概要編集
一般的には1960年代のビートルズ等に代表されるブリティッシュロックから派生し、1970年代のバッド・フィンガーをルーツとすれば、イギリスで発生したジャンルとも言える[1][2]。
ちなみに「パワー・ポップ」という呼称は、ザ・フーのピート・タウンゼントが、自分たちのサウンドスタイルをそう呼ぶようになったのが発端だと言われている[3]。それ以降、「ポップ・ロックやグラム・ロック、パンクなどの中で、はじけるようなポップなサウンドが特徴の音楽」を、「パワー・ポップ」と呼ぶようになった[4]。
パワーポップの全盛期は1970年代であり、80年代以降は衰退していった。
歴史編集
元祖とされているバンドは、ビートルズの流れを引き継ぎながら、ポップで適度にハードなサウンドを奏でていたラズベリーズ[5]やバッドフィンガーなどである。また、1970年代後半から1980年代前半のパンク・ニューウェイブ全盛の時代に、イギリスで活動していたトム・ロビンソン・バンドや、スージー&バンシーズ、ニック・ロウ、XTC、プリテンダーズ、ブラム・チャイコフスキーなどのニューウェイブ勢の一部は、よりメロディアスでポップなパワーポップを演奏していた。アレックス・チルトンとビッグ・スターは、70年代前半に活動したが、注目されるようになったのは、80年代である。
アメリカでのパワーポップのルーツは、72年にデビューしたラズベリーズだが、彼らに続き75年にはドワイト・トウィリ-がデビューした[6]。75年にはビバップ・デラックスやパイロットも登場している。だが、パワーポップというジャンルがレコード会社や音楽産業で脚光を浴びはじめたのは、78年のカーズやチープトリック、79年のナックなど、メジャーで活動するバンド群が頭角をあらわしてからであり、彼らはアメリカン・パワーポップとして人気をはくするようになった。そして、彼らを中心としたアメリカン・パワーポップ勢のヒットがパワーポップの最後のい盛り上がりとなった[7]。その後も、フレイミン・グルーヴィーズ、プリムソウルズ、ルビナーズ、など、後続のバンド達も登場したため、70年代末をパワーポップ黄金期と呼ぶ「一部の」音楽評論家まで登場したが、あくまでも少数意見である[8]。
1980年代には、マーシャル・クレンショウやロマンティックスが、70年代を想起させるような良質のパワーポップを発表した。また80年代後半には、マシュー・スウィートやヴェルヴェット・クラッシュなどが登場した。しかし、いずれのミュージシャンも一定の人気はあるものの、商業的には大きな成功を収められず、パワーポップ自体も70年代の『パワーポップ黄金期の十年』当時の勢いを失っていった。
1990年代初頭には、グランジ/オルタナティヴ・ロックに注目が集まった。パワー・ポップバンドではポウジーズ、ティーンエイジ・ファンクラブ、ジェリー・フィッシュといったバンドが登場した。ウィーザーは、パワーポップ・バンドとしてヒットも出すことができた。
2000年以降になると、ファウンテンズ・オブ・ウェインやオール・アメリカン・リジェクツなどのバンド達が登場し始めた。特にオール・アメリカン・リジェクツは、若い世代のファンを獲得し、ヒットを記録した。
パワー・ポップに分類されるアーティスト編集
脚注編集
- ^ http://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%83%E3%83%97%5Bpower+pop%5D
- ^ http://www.nostalgiacentral.com/music/powerpop.htm
- ^ http://www.bounce.com/article/article.php/4732
- ^ http://www3.plala.or.jp/Baldwin/music/what's_pp/what's_pp.htm
- ^ 「ゴー・オール・ザ・ウェイ」「明日を生きよう」などがヒットした
- ^ Jennifer Chancellor, "Dwight Twilley is making music his own way" ドワイト・トウィリーTulsa World 2021年2月1日閲覧
- ^ http://www.allmusic.com/style/power-pop-ma0000002793
- ^ http://ongakusakaba.at.webry.info/200512/article_2.html
外部リンク編集
- 第32回 ─ POWER POP - TOWER RECORDS ONLINE
- 新・旧パワーポップ関連のニュースデイリー掲載 - POWERPOP ACADEMY
- 名盤でマスターする よくわかる音楽ジャンルの基礎講座 Vol.10 〜パワー・ポップ編〜(2010年8月18日時点のアーカイブ)
- ListenJapan