パンガミン酸(Pangamic acid)は、アンズ種子杏仁)から抽出された物質にアーンスト・T・クレブス英語版親子が付けた名称[1][2]。かつてはビタミンB15と呼ばれたが、これもアーンスト・T・クレブス親子が付けた名称である[3]

パンガミン酸とされる物質

パンガミン酸がいかなる化合物あるいは混合物であるかは定かでない[4][5]が、しばしばグルコン酸ジメチルグリシンのエステル誘導体であるとされる。サプリメントなどとして販売されているものは業者によって成分がまちまちである。グルコン酸と種々のアミノ酸のエステル誘導体や、ジメチルグリシン自体がビタミンB15と称して販売されている。それらの多くが天然物ではなく、工業的に合成された化合物である[3]

パンガミン酸はかつてビタミンであるとされていた[6][7]。しかし、ヒトに必須であることが示されず、欠乏症も見つからなかったため、2008年現在ではビタミンとはされていない[8][5]

アーンスト・T・クレブス親子の最初の特許出願ではパンガミン酸はアトピー関節炎がんなど様々な疾患、症状の治療に有効であるとされた[1][3]。しかしその後の研究ではヒトまたはその他の哺乳類健康に有効であるという説得力のある根拠は示されていない[3][4]

命名者のアーンスト・T・クレブス親子はアミグダリン(レートリル)の抗がん作用を"発見"し、ビタミンB17と名付けた人物でもある[3][9]

脚注 編集

  1. ^ a b US Patent 2464240, E. T. Krebs & E. T. Krebs Jr., 1949年登録, 1943年11月20日出願
  2. ^ KREBS E T Sr; KREBS E T Jr; BEARD H H; MALIN R; HARRIS A T; BARTLETT C L Pangamic acid sodium: a newly isolated crystalline water-soluble factor; a preliminary report. International record of medicine and general practice clinics (1951), 164(1), 18-23.
  3. ^ a b c d e Victor Herbert, Pangamic acid ("vitamin B15"), The American journal of clinical nutrition, 1979 JULY, 32(7), p1534-1540
  4. ^ a b FDA/ORA CPG 7121.01
  5. ^ a b Merck Index, 14th Edition, (2006)
  6. ^ Merck Index, 8th Edition, (1968)
  7. ^ Merck Index, 9th Edition, (1976)
  8. ^ "Vitamin B15 - Pangamic Acid", Elson M. Haas M.D.
  9. ^ Benjamin Wilson, The Rise and Fall of Laetrile