ビアンカ・ヴァネッサ・アンドレースク (Bianca Vanessa Andreescu, 2000年6月16日 - ) は、カナダオンタリオ州ミシサガ出身の女子プロテニス選手。これまでにWTAツアーでシングルス3勝を挙げている。身長170cm。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。WTAランキング最高位はシングルス4位、ダブルス147位。

ビアンカ・アンドレースク
Bianca Andreescu
基本情報
フルネーム Bianca Vanessa Andreescu
国籍 カナダの旗 カナダ
出身地 同・ミシサガ
居住地 同・ソーンヒル
生年月日 (2000-06-16) 2000年6月16日(23歳)
身長 170cm
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2015年
ツアー通算 3勝
シングルス 3勝
ダブルス 0勝
生涯獲得賞金 8,955,897 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 2回戦 (2019,21)
全仏 2回戦 (2019)
全英 1回戦 (2018)
全米 優勝 (2019)
優勝回数 1
キャリア自己最高ランキング
シングルス 4位 (2019年10月21日)
ダブルス 147位 (2018年7月16日)
2021年4月5日現在

カナダ人初の全米オープン女子シングルス優勝者。2019年のロジャーズ・カップで、カナダ人選手として50年ぶりに同大会の優勝を飾った[1]

来歴 編集

7歳からテニスを始める。2017年全豪オープン2017年全仏オープンジュニアダブルスでカーソン・ブランスティーン英語版と組んで優勝した。

2017 - 2018年 プロデビュー 編集

2017年ウィンブルドン選手権で予選を勝ち上がり4大大会に初出場した。1回戦でクリスティナ・クコバ英語版に 4-6, 3-6 で敗れている。シティ・オープンの1回戦でカミラ・ジョルジを破り、WTAツアー初勝利。クープ・バンク・ナショナルではダブルスで決勝に進出した。

2018年は4月に2週連続でITF女子サーキット25kの大会で決勝に進出したが、どちらも決勝では敗れた。7月に背中の怪我を負い、11月まで離脱した。

2019年 全米オープン初優勝、トップ10入り 編集

2019年は1月のオークランド大会の2回戦でキャロライン・ウォズニアッキ、準々決勝でビーナス・ウィリアムズ、準決勝で謝淑薇を破って勝ち上がりツアー初に決勝に進出した。決勝ではユリア・ゲルゲスに 6–2, 5–7, 1–6 で敗れた。1月末にトップ100入り。3月のBNPパリバ・オープンでは、主催者推薦の出場から1回戦イリーナ=カメリア・ベグ、2回戦ドミニカ・チブルコバ、3回戦シュテファニー・フェーゲレ、4回戦王薔、準々決勝ガルビネ・ムグルサ、準決勝エリナ・スビトリナを破って決勝に進出。決勝ではアンゲリク・ケルバーを 6-4, 3-6, 6-4 で破りツアー初優勝を果たした[2]

マイアミ・オープンではベスト16入りしたが、肩の怪我で途中棄権した。この故障の影響で、クレーコートシーズンは全仏オープンのみ出場、グラスコートシーズンは全休した。8月のロジャーズ・カップで復帰すると、第3シード・カロリナ・プリスコバらを下して決勝進出。決勝の相手はセリーナ・ウィリアムズだったが、セリーナが途中棄権したため優勝した[1]

つづく全米オープンは準決勝でベリンダ・ベンチッチを破り、決勝でセリーナをストレートで下してグランドスラム初優勝を果たした。同大会において10代選手の優勝は2006年のマリア・シャラポワ以来で、カナダ人の優勝も初[3]。大会後の世界ランキングで5位になり、トップ10入りを果たした。ロジャーズ・カップから続けていたシングルスの連勝記録は、チャイナ・オープンの3回戦を勝ち上がった時点で16まで伸ばしていたが、準々決勝で大坂なおみに7-5, 3-6, 4-6の2時間超え試合に敗れたことでストップ[4]。初出場したWTAファイナルズは、左膝故障のためラウンドロビン第2戦で途中棄権して終わった[5]。年間最終世界ランキングは5位。

2020年- ツアー離脱 編集

左膝の故障が癒えず、全豪オープンを欠場。その後、新型コロナウイルス感染症が流行し、ツアーが中断。8月に再開後も、全米オープンは準備不足を理由に欠場し、全仏オープン前に感染症への懸念から全休を発表した[6]

2021年全豪オープンで15か月ぶりに復帰し、白星も挙げた[7]。ここは2回戦で敗退したが、続くフィリップ・アイランド・トロフィーではベスト4まで進んだ。マイアミ・オープンではガルビネ・ムグルサらを破り、2年ぶりのツアー決勝進出。しかし、第2セットで劣勢に立たされているときに転倒して負傷し、数ポイントをプレーしたあと3-6 0-4となった時点で試合続行を断念した[8]

プレースタイル 編集

多様な引き出しを持つオールラウンダー[9]マルチナ・ナブラチロワは、アンドレスクのプレーの多様性はマルチナ・ヒンギスを思い出させ、さらにパワーも備わっていると評している[10]

強烈なフォアハンドストロークをクロスコートで展開し、フィニッシュは逆クロスのフォアハンドストロークやドロップショットがトレードマークになっている[11]。ムーンボールのようなハイボールを打つこともある[12][13]。ドロップショットで相手をネット際に誘い出し、ロブで頭上を抜く形も得意としている[14]

WTAツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 5回 (3勝2敗) 編集

大会グレード
グランドスラム (1–0)
WTAファイナルズ (0–0)
プレミア・マンダトリー (1–1)
プレミア5 (1-0)
WTAエリート・トロフィー (0-0)
プレミア (0–0)
インターナショナル (0–1)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2019年1月6日   オークランド ハード   ユリア・ゲルゲス 6–2, 5–7, 1–6
優勝 1. 2019年3月17日   インディアンウェルズ ハード   アンゲリク・ケルバー 6-4, 3-6, 6-4
優勝 2. 2019年8月11日   トロント ハード   セリーナ・ウィリアムズ 3-1(途中棄権)
優勝 3. 2019年9月7日   全米オープン ハード   セリーナ・ウィリアムズ 6–3, 7–5
準優勝 2. 2019年3月17日   マイアミ ハード   アシュリー・バーティ 3-6, 0-4(途中棄権)

ダブルス: 1回 (0勝1敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2017年9月17日   ケベック・シティー カーペット
(室内)
  カーソン・ブランスティーン   ティメア・バボシュ
  アンドレア・フラバーチコバ
3–6, 1–6

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2017 2018 2019 2020 2021 通算成績
全豪オープン A LQ 2R A 2R 2–2
全仏オープン LQ LQ 2R A 1–0
ウィンブルドン 1R LQ A NH 0–1
全米オープン LQ LQ W A 7–0

: 2019年全仏2回戦の不戦敗は通算成績に含まない

脚注 編集

  1. ^ a b “テニス=ロジャーズ杯、セリーナ涙の途中棄権でアンドレースクV”. Reuters. (2019年8月12日). https://jp.reuters.com/article/rogerscup-womens-idJPKCN1V203H 
  2. ^ “ワイルドカードで出場の18歳新星がツアー初優勝。世界8位のケルバーを退けるBNPパリバ・オープン”. テニスデイリー. (2019年3月18日). https://www.thetennisdaily.jp/news/wta/2019/0035948.php 
  3. ^ 19歳アンドレースク、セリーナ破り初V 全米テニス”. www.asahi.com (2019年9月8日). 2019年9月8日閲覧。
  4. ^ 「私はまだここにいる」、大坂が絶好調アンドレスク下し中国OP4強”. www.afpbb.com. 2019年11月5日閲覧。
  5. ^ スビトリーナが4強入り、新鋭アンドレスクは途中棄権 WTAファイナルズ”. www.afpbb.com. 2019年11月5日閲覧。
  6. ^ アンドレースクが全仏テニス欠場 健康を重視、練習に集中”. 共同通信. 2021年1月24日閲覧。
  7. ^ 元全米女王アンドレスク 復帰戦での白星に涙 全豪OP”. www.afpbb.com. 2021年2月28日閲覧。
  8. ^ 世界1位バーティがタイトルを防衛、アンドレスクは涙の途中棄権”. tennismagazine.jp. 2021年4月5日閲覧。
  9. ^ 台頭するカナダの10代選手たち アンドレスク、シャポバロフ、オジェ アリアシム”. LINE NEWS. 2019年11月5日閲覧。
  10. ^ Navratilova: Canada’s Andreescu No Flash in the Pan”. www.tennisnow.com. 2019年11月5日閲覧。
  11. ^ Indian Wells champion Bianca Andreescu, 18, has something unteachable”. Tennis.com. 2019年11月5日閲覧。
  12. ^ インディアンウェルズ優勝の18歳アンドレスク「ムーンボールじゃないわ、重いボールを打っただけ」”. tennismagazine.jp. 2019年11月5日閲覧。
  13. ^ Tebbutt: Andreescu has all the answers”. Tennis Canada. 2019年11月5日閲覧。
  14. ^ Marzorati, Gerald (2019年3月18日). “The Stunning Rise of Bianca Andreescu, Who Just Won at Indian Wells”. ISSN 0028-792X. https://www.newyorker.com/sports/sporting-scene/the-stunning-rise-of-bianca-andreescu-who-just-won-at-indian-wells 

外部リンク 編集