ビジュアルノベル
ビジュアルノベル(英: visual novel、ヴィジュアルノベル)は、日本発祥のアドベンチャーゲームの一種である。単にノベルゲームとも呼ばれる[1]。
概要編集
ビジュアルノベルは絵の上に文字を表示する[1]。
ビジュアルノベルは、電子画面上で読む小説であり、画面に表示される文章に絵や映像、音、選択肢、画面効果などを加えたものである[1][2]。文章単体で読むものではなく、絵と音の存在を前提とすることや、各自の体裁を持っているが、統一規格化はされていないなどの点で、電子書籍とは異なる[2]。
以前、コンシューマ機でギャルゲー分野を席巻していた恋愛シミュレーションゲームに代わって台頭した恋愛アドベンチャーゲームは、ジャンル別で言うと大半はビジュアルノベルに分類される。
- 起源
- ビジュアルノベルの原形は、システムサコムが1988年に小説家の夏樹静子を迎えて発売した『DOME』から始まったノベルウェアシリーズや、ハドソンが1989年に寺沢武一の監修で発売したデジタルコミック『コブラ 黒竜王の伝説』などを経て、チュンソフトが1992年と94年に発売した『弟切草』と『かまいたちの夜』によって手法が確立されたとされる[1][3][4]。この両作は同社の商標でサウンドノベルと呼ばれている。チュンソフトはサウンドノベルについて「臨場感あふれるサウンドと、さまざまな映像表現を組み合わせることで『目』と『耳』からストーリーを体感する『アドベンチャーゲーム』です」[5]と説明している。
- ビジュアルノベルの名前が知られるようになったきっかけは、アクアプラスのブランドであるLeaf からリリースされた「リーフビジュアルノベルシリーズ」のヒットがある[3] 。これは特に『雫』『痕』『To Heart 』の3作を指すことが多い。
- メリット
- ビジュアルノベルは比較的低コストに制作可能で、良質なシナリオや静止画、スクリプトエンジン さえ用意すればゲームソフトとして成立させることができるため、開発体制が脆弱なメーカーが多いPCゲーム業界、特に成人向けの美少女ゲームにとっては福音であった[1]。
- そのため、アマチュアベースでも『月姫』(2000年)、『ひぐらしのなく頃に』(2002年)、『Fate/stay night』(2004年)などの作品が注目を集めることとなった[3]。
- デメリット
- 熱狂的なファンがいる一方で、テキストの比重が高いことから、日常的に小説に慣れ親しんでいるユーザー以外には見向きもされないという問題がある。そのため、一般の商業ゲームと比べるとユーザーの絶対数は少なく限られ、売上も一部の人気メーカー・人気サークルに集中する傾向があり、大きな売上を得られることは稀である。また、評価されたシナリオライターが、より安価で市場が大きいライトノベル作家へ転向するケースも多い。
- そのため、成人向けのPCゲーム以外でビジュアルノベル形式を採用するゲームは少なくなり、成人向けゲームの市場も縮小しつつある。
商標編集
コナミがGBA用ソフト『プレイノベル サイレントヒル』のジャンル名として「ビジュアルノベル」という呼称を商標登録しようとしたが、特許庁が拒絶査定を下したため認められなかった。結果として、「プレイノベル」というジャンル名で発売された[要出典]。
なお、2014年に元F&Cのプロデューサーである金杉肇が商標登録を行った[6]が、本人はビジュアルノベルに括られる作品に携わったことはない。
脚注編集
参考文献編集
- 七邊信重「文化創造の条件 -2つのゲーム「場」の文化生産論的考察から-」『早稲田大学大学院文学研究科紀要. 第1分冊, 哲学東洋哲学心理学社会学教育学』第51巻、早稲田大学大学院文学研究科、2006年、 65-73頁、 hdl:2065/27549。
- 樺島榮一郎「個人制作コンテンツの興隆とコンテンツ産業の進化理論」『東京大学大学院情報学環紀要 情報学研究』第77号、東京大学大学院情報学環・学際情報学府、2009年、 17-41頁。
- 岡嶋裕史「日本国内の電子書籍出版にかかわる契約の実情とその問題点に関する考察」『関東学院大学経済経営研究所年報』第35号、関東学院大学経済経営研究所、2013年、 83-96頁。
- 荒井陽介 (2013年3月30日). “[GDC 2013]新しいものを生み出すのは「違和感」から。「善人シボウデス」の打越鋼太郎氏がビジュアルノベルを語る”. 4Gamer.net. Aetas. 2016年12月3日閲覧。