ビル・マーレイ

アメリカの俳優・コメディアン

ビル・マーレイ(Bill Murray, 1950年9月21日 - )は、アメリカ合衆国出身のコメディアン俳優、映画監督、脚本家。

Bill Murray
ビル・マーレイ
ビル・マーレイ
2019年 カンヌ国際映画祭にて
生年月日 (1950-09-21) 1950年9月21日(73歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イリノイ州シカゴ
職業 コメディアン・俳優
ジャンル テレビ・映画
活動期間 1969年 -
活動内容 1969年:デビュー
1979年:映画デビュー
主な作品
映画
ボールズ・ボールズ
パラダイス・アーミー
ゴーストバスターズ』シリーズ
3人のゴースト
恋はデジャ・ブ
天才マックスの世界
チャーリーズ・エンジェル
ロスト・イン・トランスレーション
ライフ・アクアティック
ブロークン・フラワーズ
ムーンライズ・キングダム
私が愛した大統領
ヴィンセントが教えてくれたこと
ジャングル・ブック
デッド・ドント・ダイ
アントマン&ワスプ:クアントマニア
テレビ番組
サタデー・ナイト・ライブ
 
受賞
全米映画批評家協会賞
主演男優賞
2003年ロスト・イン・トランスレーション
助演男優賞
1998年天才マックスの世界
ニューヨーク映画批評家協会賞
主演男優賞
2003年『ロスト・イン・トランスレーション』
助演男優賞
1998年『天才マックスの世界』
ロサンゼルス映画批評家協会賞
主演男優賞
2003年『ロスト・イン・トランスレーション』
助演男優賞
1998年『天才マックスの世界』
放送映画批評家協会賞
助演男優賞(テレビ映画・リミテッドシリーズ部門)
2015年オリーヴ・キタリッジ
英国アカデミー賞
主演男優賞
2003年『ロスト・イン・トランスレーション』
エミー賞
助演男優賞(リミテッドシリーズ/テレビ映画部門)
2015年『オリーヴ・キタリッジ』
脚本賞(バラエティー部門)
1977年『サタデー・ナイト・ライブ
ゴールデングローブ賞
男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
2003年『ロスト・イン・トランスレーション』
その他の賞
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経歴 編集

生い立ち 編集

イリノイ州シカゴにて、アイルランド系の家庭に、9人兄弟の5番目として生まれる。彼を含めて4人が俳優になった。父親は木材のセールスマンで、母親は郵便室係だった[1]。17歳の時に父親が亡くなり[2][3]、高校時代はキャディのアルバイトに勤しみ[4]、教育資金を受けながらカトリック系の高校へ進学。医学を学ぶためにコロラド州デンバーレジス大学英語版に入学したが、後に退学した[5]。1971年頃、シカゴの空港にてマリファナ所持にて逮捕された[4][5]

キャリア 編集

兄のブライアン・ドイル=マーレイに勧められて即興劇団セカンド・シティに参加、そこでジョン・キャンディらと出会った。その後、ジョン・ベルーシからの誘いで生活の拠点をニューヨークへ移し、1977年から1980年まで、NBCの人気バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演し人気を得る。日本では『ゴーストバスターズ』のピーター・ヴェンクマン博士役で知名度も上がる。その後もコンスタントに俳優として映画に出演しているが、エージェントやマネージャーを持っておらず、コンタクトが難しいとして映画の製作陣からはオファーが出しづらい俳優として認識されている[6]

これまで様々な役柄で打診されたことがあり、例に挙げるとピクサー製作の『モンスターズ・インク』でジョン・グッドマンが声を担当したサリーや、『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤー役。ティム・バートン監督の『バットマン』のブルース・ウェイン役や『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカ役[7]。『キンダガートン・コップ』のキンブル刑事役や『ロジャー・ラビット』でボブ・ホスキンス演じた私立探偵のエディー役に、『スター・ウォーズ』のハン・ソロ役、ジョン・バダム監督の『ブルーサンダー』のリチャード・ライマングッド役や『ショート・サーキット』のニュートン・クロスビー役や『ハード・ウェイ』のジョン・モス役などがある。近年ではティム・バートンジム・ジャームッシュソフィア・コッポラウェス・アンダーソンなど、個性的な監督の作品に出て高い評価を得ている。また、アート・リンソン監督『バッファローの棲むところ』で、アメリカを代表するジャーナリスト、ハンター・トンプソンを演じたこともある。

2003年に東京を舞台にしたソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』では、CM撮影のために日本へやってきた中年のハリウッドスター、ボブ・ハリスをユーモラスに演じてアカデミー主演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)など多数の映画賞を受賞した。

私生活 編集

 
エリック・クラプトン(左)と共演(2007年)

1981年1月25日に女優のミッキー・ケリーと結婚[8][9]。2人の子供が誕生するが、1994年に離婚。1997年7月4日に女優のジェニファー・バトラーと再婚。4人の子供が誕生するが、2008年6月13日に離婚[10]

ゴルフには熱心で、有名人のゴルフトーナメントなどには多く参加している。1999年にはゴルフに関するエッセイなどを載せた本も出版した。2007年スウェーデンを訪れた際、ゴルフトーナメントの帰り道の公道でゴルフカートを運転していてストックホルムの警察に職務質問を受ける騒ぎも起きている[11]。シカゴのプロスポーツチームが好きで、プロ野球チームのシカゴ・カブスやプロフットボールチームのシカゴ・ベアーズなどの大ファンである。

ギター演奏も趣味にしており、エリック・クラプトン主催の「クロスロード・ギター・フェスティヴァル」にて司会を務めライブで共演している。

主な出演作品 編集

映画 編集

公開年 邦題
原題
役名 備考 吹き替え
1979 ミートボール
Meatballs
トリッパー 青野武
1980 ボールズ・ボールズ
Caddyshack
カール・スパックラー 富山敬
アメリカ発 珍作映画情報
Loose Shoes
レフティ・シュワルツ
1981 パラダイス・アーミー
Stripes
ジョン 江原正士(テレビ版)
青山穣Netflix版)
1982 トッツィー
Tootsie
ジェフ 広瀬正志フジテレビ版)
青山穣(ソフト版)
1984 ゴーストバスターズ
Ghost Busters
ピーター・ヴェンクマン博士 野田秀樹(フジテレビ版)
樋浦勉テレビ朝日版)
安原義人(ソフト版)
剃刀の刃
The Razor's Edge
ラリー・ダレル 出演・脚本
1986 リトル・ショップ・オブ・ホラーズ
Little Shop of Horrors
アーサー・デントン 安原義人
1988 3人のゴースト
Scrooged
フランク・クロス 江原正士(フジテレビ版)
1989 ゴーストバスターズ2
Ghostbusters II
ピーター・ヴェンクマン博士 安原義人(ソフト版/機内上映版)
江原正士(フジテレビ版)
野島昭生(テレビ朝日版)
1990 クイック・チェンジ
Quick Change
グリム 監督・製作・出演 池田秀一
1991 おつむて・ん・て・ん・クリニック
What About Bob?
ボビー・ワイリー 安原義人
1993 恋はデジャ・ブ
Groundhog Day
フィル
恋に落ちたら…
Mad Dog and Glory
フランク・マイロ 江原正士
1994 エド・ウッド
Ed Wood
バニー・ブレッキンリッジ
1996 キングピン/ストライクへの道
Kingpin
アーニー・マクラケン
スペース・ジャム
Space Jam
ビル・マーレイ
小さな贈りもの
Larger Than Life
ジャック・コークラン
1997 知らなすぎた男
The Man Who Knew Too Little
ウォレス・リッチー
1998 ワイルドシングス
Wild Things
ケン・ボーデン 江原正士(ソフト版)
池田勝(テレビ朝日版)
天才マックスの世界
Rushmore
ハーマン・ブルーム 全米映画批評家協会賞助演男優賞 受賞
ニューヨーク映画批評家協会賞 助演男優賞 受賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞 助演男優賞 受賞
インディペンデント・スピリット賞 助演男優賞 受賞
山野史人
1999 クレイドル・ウィル・ロック
Cradle Will Rock
トミー・クリックショー 江原正士
2000 ハムレット
Hamlet
ポロニウス 小山武宏
チャーリーズ・エンジェル
Charlie's Angels
ジョン・ボスレー 江原正士(ソフト版)
池田勝(テレビ朝日版)
2001 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
The Royal Tenenbaums
ラレイ・シンクレア 佐々木梅治
スピーキング・オブ・セックス
Speaking of Sex
エズリ・ストヴァル
2003 ロスト・イン・トランスレーション
Lost in Translation
ボブ・ハリス 英国アカデミー賞 主演男優賞 受賞
ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) 受賞
全米映画批評家協会賞主演男優賞 受賞
ニューヨーク映画批評家協会賞 主演男優賞 受賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞男優賞 受賞
インディペンデント・スピリット賞 主演男優賞 受賞
江原正士
コーヒー&シガレッツ
Coffee and Cigarettes
ビル・マーレイ
2004 ガーフィールド
Garfield
ガーフィールド 声の出演 藤井隆
2005 ライフ・アクアティック
The Life Aquatic with Steve Zissou
スティーヴ・ズィスー 安原義人
ブロークン・フラワーズ
Broken Flowers
ドン・ジョンストン
2006 ガーフィールド2
Garfield: A Tail of Two Kitties
ガーフィールド 声の出演 山口勝平
2007 ダージリン急行
The Darjeeling Limited
ビジネスマン 江原正士
2008 ゲット スマート
Get Smart
エージェント13 石住昭彦(ソフト版)
安原義人(テレビ朝日版)
エンバー 失われた光の物語
City of Ember
コール市長 横島亘
2009 リミッツ・オブ・コントロール
The Limits of Control
アメリカ人 小島敏彦
ゾンビランド
Zombieland
本人役 カメオ出演 安原義人
ファンタスティック Mr.FOX
Fantastic Mr. Fox
バジャー ストップモーション・アニメ、声の出演 ふくまつ進紗
2010 パッション・プレイ
Passion Play
ハッピー・シャノン 稲葉実
2012 ムーンライズ・キングダム
Moonrise Kingdom
ウォルト・ビショップ 安原義人
私が愛した大統領
Hyde Park on Hudson
フランクリン・ルーズベルト
チャールズ・スワン三世の頭ン中
A Glimpse Inside the Mind of Charles Swan III
サウル 日本劇場未公開だがWOWOWで放送
2014 ミケランジェロ・プロジェクト
The Monuments Men
リチャード・キャンベル 江原正士
グランド・ブダペスト・ホテル
The Grand Budapest Hotel
M.アイヴァン 外谷勝由
ヴィンセントが教えてくれたこと
St. Vincent
ヴィンセント・マッケンナ 江原正士
帰ってきたMr.ダマー バカMAX!
Dumb and Dumber To
アイス・ピック カメオ出演[12]
2015 ロック・ザ・カスバ!
Rock the Kasbah
リッチー・ランツ 安原義人
ビル・マーレイ・クリスマス
A Very Murray Christmas
本人 TVスペシャル
アロハ
Aloha
カーソン・ウェルチ 岩崎ひろし
2016 ジャングル・ブック
The Jungle Book
バルー 声の出演 西田敏行
ゴーストバスターズ
Ghostbusters
マーティン・ハイス博士 カメオ出演[13] 安原義人
2018 犬ヶ島
Isle of Dogs
ボス 声の出演 石住昭彦
2019 デッド・ドント・ダイ
The Dead Don't Die
クリフ・ロバートソン
ゾンビランド:ダブルタップ
Zombieland: Double Tap
本人役 カメオ出演 安原義人
2020 オン・ザ・ロック
On the Rocks
フェリックス 江原正士
2021 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
The French Dispatch
アーサー・ハウイッツァー・Jr 上田燿司
ゴーストバスターズ/アフターライフ
Ghostbusters: Afterlife
ピーター・ヴェンクマン博士 安原義人
2022 史上最高のカンパイ!〜戦地にビールを届けた男〜
The Greatest Beer Run Ever
大佐 江原正士
2023 アントマン&ワスプ:クアントマニア
Ant-Man and the Wasp: Quantumania
クライラー卿
2024 ゴーストバスターズ/フローズン・サマー
Ghostbusters: Frozen Empire
ピーター・ヴェンクマン博士 ポストプロダクション 安原義人

テレビ 編集

放映年 邦題
原題
役名 備考
2013-2014 アルファ・ハウス
Alpha House
ヴァーノン・スミッツ上院議員 計3話出演
2014 オリーヴ・キタリッジ
Olive Kitteridge
ジャック・ケニソン ミニシリーズ
2015 パークス・アンド・レクリエーション
Parks and Recreation
ウォルター・ガンダーソン 第7シーズン第11話「Two Funerals
2016 バイス・プリンシパルズ
Vice Principals
ウェルズ 第1シーズン第1話「次の校長は誰だ」

主な受賞 編集

日本語吹き替え 編集

主に担当しているのは、以下の二人である。

江原正士
パラダイス・アーミー』(テレビ版)で初担当。最も多く吹き替えている。
江原曰く、マーレイの吹き替えは台詞が言いっ放しでオフビートのように演技のテンポがバラバラなためあわせるのが難しく、コツを掴むまで時間がかかったという。マーレイのキャラクターとしてはアメリカ版寅さんだと感じ、吹き替える際は、日本語版制作スタッフから要求がある場合を除き、いつもの演技のときは寅さん風「おとぼけオジさん」のニュアンスで演じていると語った[14]
安原義人
ゴーストバスターズ』(ソフト版)で初担当。同シリーズをはじめとして、江原の次に多く吹き替えている。2016年版『ゴーストバスターズ』では30年ぶりに同シリーズに参加したことから、「この作品が復活し、まさかそこにビル・マーレイが出演していて、また演じられるとは思ってもみませんでした。とても運命を感じました」と歓喜のコメントを寄せている[15]

このほかにも、池田勝青山穣石住昭彦野島昭生樋浦勉野田秀樹なども声を当てている。

脚注 編集

  1. ^ “Bill Murray profile at FilmReference.com”. Film Reference. http://www.filmreference.com/film/24/Bill-Murray.html 2007年11月12日閲覧。 
  2. ^ The New York Times article: "The Rumpled Anarchy of Bill Murray", page 7.
  3. ^ Yahoo Movies: Bill Murray profile at Yahoo! Movies
  4. ^ a b Murray, Bill; George Peper (1999). Cinderella Story: My Life in Golf. Doubleday. ISBN 0-385-49571-4 
  5. ^ a b The New York Times article: "The Rumpled Anarchy of Bill Murray", p. 10
  6. ^ How we work: Bill Murray, actor”. rodcorp. 2008年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月11日閲覧。
  7. ^ MSN Hotlist”. Microsoft. 2008年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月11日閲覧。
  8. ^ The New York Times article: "The Rumpled Anarchy of Bill Murray".
  9. ^ Chase, Chris (1981年7月3日). “Bill Murray, A Black Sheep Now in Stripes”. The New York Times 
  10. ^ The Post and Courier — Bill Murray sued for divorce — Charleston SC — postandcourier.com”. Charleston.net (2008年5月29日). 2010年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年3月9日閲覧。
  11. ^ “ビル・マーレイ、ゴルフ・カートに乗ってご機嫌?”. シネマトゥデイ. (2007年8月30日). https://www.cinematoday.jp/news/N0011328 2013年2月3日閲覧。 
  12. ^ ジム・キャリー主演「帰ってきたMr.ダマー」に“あの大物俳優”がカメオ出演!”. 映画.com (2015年10月9日). 2015年10月9日閲覧。
  13. ^ “ビル・マーレイ、新『ゴーストバスターズ』に出演していた”. ORICON STYLE. (2016年6月3日). https://www.oricon.co.jp/news/2072754/full/ 2016年6月3日閲覧。 
  14. ^ ふきカエルインタビュー前編” (2017年4月3日). 2017年4月4日閲覧。
  15. ^ 『ゴーストバスターズ』玄田哲章ら声優も30年越しに続投!「全力で頑張っています」” (2016年8月19日). 2023年9月15日閲覧。

外部リンク 編集