ビーチロック(beach rock)は、炭酸カルシウム膠結作用英語版により、海浜堆積物が膠結されてできる、板状の石灰質の礫岩である。サンゴ礁のある砂浜にできることが多い。

フランスの海外県レユニオンのビーチロック

日本におけるビーチロック 編集

日本国内において、ビーチロックは南西諸島に普遍的にみられるが、能登半島房総半島四国九州にも存在している。日本におけるビーチロックの北限は、石川県珠洲市の粟津海岸とされる[1]。また、輪島市曽々木海岸や千葉県館山にみられるビーチロックはアルミとシリカからなるセメントで膠結されている[2]長崎県長崎市脇岬海岸にみられるビーチロックは、九州地方では最大であり、長崎県指定天然記念物となっている[3]

ビーチロックの成因 編集

ビーチロックを膠結する炭酸カルシウムの起源については諸説あり、海水起源説、地下水起源説、微生物起源説などが提起・議論されてきた。

近年では安定同位体比から炭酸カルシウムの起源を探る研究が行われている[4][5]

また、ウレアーゼ活性を有する微生物によるセメントの析出も報告されている[6]

北海道大学大学院教授の川崎了はこうした尿素分解菌を使った、ビーチロックの人工的形成実験に成功した[7]。各地の海岸で土着の細菌を使えば、反対運動を避けつつ、護岸などの強化・修復に応用できる可能性がある[8]

脚注 編集

  1. ^ 東 洋一; 藤井昭二; 畑中 忞; 竹山憲市 (1982). “北陸地域にみられるビーチロックについて”. 第四紀研究 20 (4): 271-280. https://doi.org/10.4116/jaqua.20.271. 
  2. ^ 畠 俊郎; 川﨑 了 (2014). “沿岸域の社会基盤施設を対象とした微生物による維持管理・更新技術に関する研究”. 科学研究費助成事業 2013年度研究成果報告書. https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23360207/ 2022年8月18日閲覧。. 
  3. ^ 脇岬のビーチロック”. 長崎市. 2012年8月22日閲覧。
  4. ^ 寺田 縁; 松田博貴 (2001). “温帯域と亜熱帯域で見られるビーチロックの比較とその成因”. 堆積学研究 53: 96-98. https://doi.org/10.4096/jssj1995.53.61 2022年8月18日閲覧。. 
  5. ^ 小元久仁夫 (2005). “南西諸島から採取したビーチロックの14C年代および安定同位体比(δ13C)—測定資料とその分析—”. 日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要 (日本大学文理学部自然科学研究所) 40: 1-27. オリジナルの2016-01-31時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161013134505/http://www.chs.nihon-u.ac.jp/institute/nature/kiyou/2005/pdf/1_1.pdf 2022年8月18日閲覧。. 
  6. ^ 壇上 尭; 川﨑 了 (2013). “セメント物質に着目したビーチロックの形成メカニズムに関する考察”. Journal of MMIJ 129 (7): 520-528. https://doi.org/10.2473/journalofmmij.129.520 2022年8月18日閲覧。. 
  7. ^ 川崎 了 (2018). ビーチロック形成機構に学ぶ新しい国土修復保全技術の開発. https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16H04404/ 2022年8月18日閲覧。. 
  8. ^ 『日経コンストラクション』2017年4月10日号

関連項目 編集

参考文献 編集

外部リンク 編集