ピアノ線(ピアノせん、: Piano wire, music wire)(ミュージックワイヤーとも)は、炭素鋼で作られた金属線。

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概要編集

許容応力が高く、金属疲労にも強いことから、ワイヤーやコイルばねの材料として工作機械建設機械など幅広く利用されている。日本工業規格(JIS G 3522)ではA種、B種及びV種が定められている。工作材料としても使用できるが、鉄線や真鍮線と比較して非常に硬いため、手作業での加工は困難な場合もある。

プレストレストコンクリートの緊張材編集

ピアノ線の工業用途で忘れてはならないのはプレストレスト・コンクリートの圧縮力を与えるPC鋼材としての用途がある。圧縮力をコンクリート塊に与えるには、工場生産のプレキャストコンクリートでは工場で、プレストレスト・コンクリート橋など工場生産ができないものについては工事現場で必要な張力を掛ける。これにより外力もしくは自重による引張応力が生じないようにできるが、強い張力が要求される。高度に管理されたピアノ線はこの用途には欠かせない部材である。

鉄道における枕木はプレストレスト・コンクリート製のPC枕木が幹線から順次導入された。丈夫かつ長寿命で、狂いの生じにくい現代の鉄道を「文字通り」足元で支える存在である。

ピアノでの利用編集

語源はピアノに使われたことによるが、炭素鋼によるピアノ線が普及したのは19世紀後半以降である。それ以前は単なる低炭素鋼による鉄線や黄銅による真鍮線などが用いられてきた。なお、ピアノ用のミュージックワイヤーに対しては、音のむらを防ぐために真円度が高いこと、巻線加工のために平らにつぶしても割れないこと、チューニングピンに巻きつけても耐えられる曲げ強さなど、工業用のピアノ線より高度な品質が求められる[1]

楽器・工業用途以外での利用編集

ピアノ線は極細で丈夫かつ、高い張力を掛け得る素材であるため、前述のようにばねや素材の特性を「活かした」楽器以外での変わった利用法がある。

  • 特撮における模型の吊り下げ(極細線でかなりの重量物を吊り上げられるため)。
  • 戦争では人の頭ほどの高さに設置し、車輌の乗員の首を刎ね飛ばすことを狙った使用法も見られた。

ノモンハン事件では、ソ連側が鉄線を使った対戦車障害物を設置した。 他にも絞首刑の道具としても使われた。

スポーツではハンマー投げの球体部分と取手部分をつなぐ鋼線に使われている。

脚注編集