ピラーウッド[5]あるいはピイラーウッド[6]英語: pillarwood; 学名: Cassipourea malosana)とはヒルギ科カッシポウレア属英語版常緑高木の一種である。pillarwood は逐語訳すれば〈柱木〉となるが、その名の通り幹が柱のようにまっすぐ伸びる(参照: #特徴)。またマングローブを構成する樹種で知られるヒルギ科に属するものの、本種が見られる場所は専ら内陸高地の森林内である(参照: #生態)。アフリカに自生し(参照: #分布)、建築用の材が得られる(参照: #利用)。

ピラーウッド
ピラーウッド(ジンバブエマニカランド州チマニマニ郡英語版の Digby's Falls にて)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 core eudicots
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ上群 superrosids
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : rosid I / Fabidae
: キントラノオ目 Malpighiales
: ヒルギ科 Rhizophoraceae
: カッシポウレア属 Cassipourea
: ピラーウッド C. malosana
学名
Cassipourea malosana (Baker[1]) Alston
シノニム
  • Cassipourea eickii (Edwards[2]) Alston[3]
  • Cassipourea elliottii (Edwards[4]) Alston[3]
  • Cassipourea gerrardii (Schinz) Alston[3]
  • Weihea malosana Baker[3]

分布 編集

南スーダンエチオピアエリトリアジブチソマリアウガンダケニアタンザニアコンゴ民主共和国(旧ザイール)南東部、ザンビアジンバブエマラウイモザンビークコンゴ共和国ブラザヴィル)、カメルーン南アフリカ共和国リンポポ州ムプマランガ州クワズール・ナタール州東ケープ州)、スワジランドに分布する[3]

生態 編集

ケニアでは標高750-2,550メートル地帯の乾燥傾向にあるマキ科ヒノキ科モクセイ科オリーブ属の樹木の森、あるいは比較的湿潤な森林の下層、また森林跡でも見られる[7]ケニア山では西側および東側の標高2000メートル以上の地帯で常緑山地乾生林を構成し[8]ニエリ地方キアンドンゴロ・フォレスト: Kiandongoro Forest)ではトウダイグサ科オオバギ属英語版Macaranga kilimandscharica と共に高木層を優占する森林群落が記録されている[9]

特徴 編集

高さ3-25メートルの常緑高木[7]幹は柱のようにまっすぐ円筒形[10]、樹皮は平滑で銀色、粗いこともあり[7]皮目[注 1]が水平に並ぶ[6]

葉は単葉対生である[6]が、これはケニア産のヒルギ科木本に共通して見られる傾向のある特徴で、楕円形で基部は形、先端は先鋭形か鈍形、葉縁は鋸歯があり(まれに全縁)、2.5-8(10)×1-5センチメートル、若いうちは裏側に軟毛がまばらに見られる[7]。また、網状脈が目立つ[10]

花は腋生で[10]緑色がかり白色から黄色っぽく、1-5個が共に見られ、花弁は3.5-6ミリメートル[7]雄蕊(おしべ)が多く見られる[10]は花が枯れた後もそのまま残る[10]

果実は乾燥すると黒変する蒴果[10]卵形、長さ6.5-8ミリメートル、軟毛が見られるがやがてほとんど無毛となる[7]。種子は仮種皮を伴う[10]

利用 編集

木材が得られる。材は白色で比重0.75、紫色の縞が見られ[6]、堅く弾力性があるが、虫害を受けやすい[7]

Leakey (1977) によれば、ケニアキクユ人は伝統的にこの材を建造物の柱に使っていた。ケニアでは建材とするほか、薪にする、ビーハイブ[要曖昧さ回避]を作る、根を煮沸して「茶」や薬用とする、蜜源とするといった利用法が知られている[10]

諸言語における呼称 編集

ケニア:

南アフリカ共和国:

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ : lenticels。空気を通す機能を有する。樹皮の項も参照。

出典 編集

  1. ^ E. C. Stuart Baker (1864–1944; 鳥類学者) もしくはジョン・ギルバート・ベイカー (1834–1920; 植物学者)
  2. ^ William Henry Edwards or シデナム・エドワーズ
  3. ^ a b c d e Hassler (2019).
  4. ^ William Henry Edwards or シデナム・エドワーズ
  5. ^ 会田 (1959).
  6. ^ a b c d e 熱帯植物研究会 (1996).
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m Beentje (1994).
  8. ^ Bussmann (2006).
  9. ^ 林 (2007:3).
  10. ^ a b c d e f g h Maundu & Tengnäs (2005).
  11. ^ a b Quattrocchi (2000).
  12. ^ Benson (1964).
  13. ^ Dendrology Workbook, 1948. 2019年6月9日閲覧。
  14. ^ Creider & Creider (2001).

参考文献 編集

英語:

日本語:

外部リンク 編集