ピカチュリン(英語:Pikachurin)は視覚神経伝達に関与する細胞外マトリックスタンパク質、もしくはこれをコードする遺伝子のことである。

EGFLAM
識別子
記号EGFLAM, AGRINL, AGRNL, PIKA, EGF like, fibronectin type III and laminin G domains, Smp_128580.1
外部IDOMIM: 617683 MGI: 2146149 HomoloGene: 65044 GeneCards: EGFLAM
遺伝子の位置 (ヒト)
5番染色体 (ヒト)
染色体5番染色体 (ヒト)[1]
5番染色体 (ヒト)
EGFLAM遺伝子の位置
EGFLAM遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点38,258,409 bp[1]
終点38,465,480 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
15番染色体 (マウス)
染色体15番染色体 (マウス)[2]
15番染色体 (マウス)
EGFLAM遺伝子の位置
EGFLAM遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点7,235,601 bp[2]
終点7,427,876 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能 glycosaminoglycan binding
calcium ion binding
細胞の構成要素 細胞外領域
基底膜
細胞結合
interstitial matrix
シナプス
細胞外マトリックス
生物学的プロセス peptide cross-linking via chondroitin 4-sulfate glycosaminoglycan
extracellular matrix organization
positive regulation of cell-substrate adhesion
animal organ morphogenesis
組織の発生
遊走
substrate adhesion-dependent cell spreading
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_182801
NM_001205301
NM_152403
NM_182798
NM_182799

NM_001289496
NM_001289498
NM_178748

RefSeq
(タンパク質)

NP_001192230
NP_689616
NP_877950
NP_877953

NP_001276425
NP_001276427
NP_848863

場所
(UCSC)
Chr 5: 38.26 – 38.47 MbChr 5: 7.24 – 7.43 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

概要編集

2008年大阪バイオサイエンス研究所古川貴久らの研究チームにより報告された。生物の動体視力に関与していると考えられており、ゲーム『ポケットモンスター』に登場するキャラクターである「ピカチュウ」にちなんで命名された。リガンドの一種であり、ジストログリカンdystroglycan)と呼ばれる糖タンパク質に対して結合する。

哺乳類の網膜には光受容体視細胞)が配列しており、ここで受容された光刺激は電気信号に変換されて、リボンシナプス双極細胞および水平細胞に伝達される。ピカチュリンは細胞外マトリックスとしてこのリボンシナプス間隙に局在する。古川らはマウスを研究材料として視神経の伝達に関与するタンパク質を探索し、ピカチュリンを特定した。ピカチュリンはリボンシナプスのジストログリカンおよびジストロフィンdystrophin)と共局在している。両者と何らかの関係を持つと考えられており、ジストログリカンとの相互作用は実験的に確認されている。

ピカチュリンを欠失したマウスの変異体では、双極細胞の樹状突起の発達不良、信号伝達の遅延(伝達所要時間が正常体の約3倍)、動く物体への眼球の追従の遅れなど、様々な視覚異常が認められた。これらの結果から、ピカチュリンは光受容体と双極細胞の樹状突起との相互作用において不可欠な役割を担っていると考えられている。

ピカチュリンはヒトイヌにも存在するとされ、これらの動物において動体視力の良し悪しを決定する一因であると予想されている。またピカチュリンの発見は、ジストロフィンの異常が関係する筋ジストロフィー患者における網膜異常の解明にも貢献することが期待されている。

参考文献編集

  • Sato S, Omori Y, Katoh K, Kondo M, Kanagawa M, Miyata K, Funabiki K, Koyasu T, Kajimura N, Miyoshi T, Sawai H, Kobayashi K, Tani A, Toda T, Usukura J, Tano Y, Fujikado T, Furukawa Y (2008). “Pikachurin, a dystroglycan ligand, is essential for photoreceptor ribbon synapse formation”. Nature Neuroscience Published online.  doi:10.1038/nn.2160

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000164318 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000042961 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference: