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経歴編集

クラリネットを始めた後に、テナー・サックスへと転向した。当初はブルースを演奏し、ボビー・ブランドがリトル・ロックを訪れた際、バックを務めた経験もある[1]。1959年、大学進学のためにカリフォルニア州オークランドへ移り、デューイ・レッドマンフィリー・ジョー・ジョーンズらと共演後、1962年、拠点をニューヨークへと移す[2]

サン・ラとの共演を経て、1964年、自身初のリーダー・アルバム『ファラオ』をESP-Diskレーベルから発表した。1965年にはジョン・コルトレーンのグループに加入する。コルトレーンにとって唯一の日本公演(1966年)にも帯同し、1967年にコルトレーンが他界してからはバンド・リーダーとしての活動が中心となる。

インパルス!レコードから発表した諸作では、ゴスペルファンクアフロビートなど幅広い黒人音楽をフリー・ジャズに取り込んだことで知られている。32分に及ぶ「The Creator Has A Master Plan」を収録した『カーマ』(1969年)は、『ブラック・ユニティ』(1971年)とならぶ彼の代表作のひとつである。なお、『ラヴ・イン・アス・オール』(1973年)では自らボーカルを披露している。インパルス!時代における彼のサイドマンとして、ロニー・リストン・スミスセシル・マクビーロン・カータースタンリー・クラークなどが挙げられる。

1977年にアリスタ・レコードへ移籍してからは、コンテンポラリー路線にも手を染めるようになる。1987年にはオランダのジャズ・レーベル、タイムレス・レコードに移籍。ヴァーヴ・レコードから発表した『メッセージ・フロム・ホーム』(1996年)と『Save Our Children』(1998年)には、バーニー・ウォーレルジャー・ウォブルが参加し、ビル・ラズウェルがプロデュースを担当している。日本のジャズ・レーベル、ヴィーナス・レコードが監修した『ザ・クリエイター・ハズ・ア・マスター・プラン』(2003年)には、同名曲の再演や、ホイットニー・ヒューストンのカバー「Greatest Love Of All」が収録されている。2004年には日本のバンドSLEEP WALKERと共演し、その時の音源は同バンドの『The Voyage』(2006年)に収録されている[3]

自身のリーダー作においては、コルトレーンが作曲した楽曲(「ネイマ」「Welcome」)や、コルトレーンがレパートリーとした楽曲(「夜は千の目を持つ」)を頻繁に取り上げ、師としての彼に対する敬意を表している。

評価編集

アルバート・アイラーは、三位一体になぞらえて「トレーン(ジョン・コルトレーンの愛称)が父、ファラオが子、私が聖霊」と述べている[4]。さらに、オーネット・コールマンは「おそらく世界で最高のテナー・サックス奏者」と彼を評している[5]。近年は、日本のクラブ・シーンでも人気が高く、沖野修也(DJ音楽プロデューサー)は「クラブ・ジャズ界における最重要レジェンド」と評している[6]

ディスコグラフィ編集

リーダー作品編集

1960年代
  • 『ファラオ』 - Pharoah(1964年録音)(ESP-Disk) 1965年
  • 『神話(ターウィッド)』 - Tauhid(1966年11月録音)(Impulse!) 1967年
  • 『イジフォ・ザム』 - Izipho Zam (My Gifts)(1969年1月録音)(Strata-East) 1973年
  • 『カーマ』 - Karma(1969年2月録音)(Impulse!)1969年
  • 『ジュエルズ・オブ・ソート』 - Jewels Of Thought(1969年10月録音)(Impulse!) 1969年
1970年代
  • 『SUMMUM BUKMUM UMYUM』 - Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)(1970年7月録音)(Impulse!) 1970年
  • 『テンビ』 - Thembi(1970年11月、1971年1月録音)(Impulse!) 1971年
  • 『ブラック・ユニティ』 - Black Unity(1971年11月録音)(Impulse!) 1971年
  • 『ライヴ・アット・ジ・イースト』 - Live at the East(1971年録音)(Impulse!) 1972年
  • 『ウィズダム・スルー・ミュージック』 - Wisdom Through Music (Impulse!) 1972年
  • 『ヴィレッジ・オブ・ザ・ファラオズ』 - Village Of The Pharoahs(1971年~1973年録音)(Impulse!) 1973年
  • 『エレヴェーション』 - Elevation(1973年9月録音)(Impulse!) 1974年
  • 『ラヴ・イン・アス・オール』 - Love In Us All(1972年~1973年録音)(Impulse!) 1974年
  • 『ファラオ』 - Pharoah(1976年8月、9月録音)(India Navigation) 1977年
  • 『ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ』 - Love Will Find A Way(1977年録音)(Arista) 1978年
  • ノーマン・コナーズと共同名義, 『ビヨンド・ア・ドリーム』 - Beyond A Dream(1978年録音)(Arista) 1981年
  • 『ジャーニー・トゥ・ザ・ワン』 - Journey To The One(1979年12月録音)(Theresa) 1980年
1980年代
  • 『リジョイス』 - Rejoice(1981年録音)(Theresa) 1981年
  • 『ライヴ』 - Live...(1981年4月録音)(Theresa) 1982年(ライヴ)
  • Heart Is A Melody(1982年1月録音)(Theresa) 1983年
  • 『シュクルー』 - Shukuru(1981年録音)(Theresa) 1985年
  • 『アフリカ』 - Africa(1987年3月録音)(Timeless) 1987年
  • Oh Lord, Let Me Do No Wrong(1987年7月録音)(Columbia) 1987年
  • A Prayer Before Dawn(1987年9月録音)(Timeless) 1987年
  • 『ムーン・チャイルド』 - Moon Child(1989年10月録音)(Timeless) 1990年
1990年代
  • 『ウエルカム・トゥ・ラブ』 - Welcome To Love(1990年7月録音)(Timeless) 1991年
  • 『愛のクレッセント』 - Crescent With Love(1992年録音)(Evidence/Venus) 1993年
  • 『愛のバラード』 - Ballads with Love(1992年録音)(Venus) 1996年
  • The Trance of Seven Colors (Axiom) 1994年
  • 『ネイマ』 - Naima (Evidence) 1995年
  • 『メッセージ・フロム・ホーム』 - Message From Home (Verve) 1996年
  • Save Our Children (Verve) 1998年
2000年代
  • Spirits (Meta) 2000年
  • 『ザ・クリエイター・ハズ・ア・マスター・プラン』 - The Creator Has A Master Plan (Venus) 2003年

サイドマンとしての主な参加作品編集

出典編集

  1. ^ Allmusic
  2. ^ 小川充「Pharoah Sanders」『スピリチュアル・ジャズ』小川充、リットーミュージック〈Jazz Next Standard〉、2006年、16頁。ISBN 4845613247
  3. ^ CDjournal.com
  4. ^ allaboutjazz
  5. ^ SFGate.com
  6. ^ 沖野修也『クラブ・ジャズ入門』リットーミュージック〈GROOVE〉、2007年、210頁。ISBN 978-4-8456-1487-5

参考文献編集

外部リンク編集