フィンランドの大統領(フィンランドのだいとうりょう、フィンランド語: Suomen tasavallan presidentti, スウェーデン語: Republiken Finlands president)は、フィンランド国家元首たる大統領である[1]

フィンランドの旗 フィンランド共和国
大統領
Suomen tasavallan presidentti
(フィンランド語)
Republiken Finlands president
(スウェーデン語)
大統領旗
現職者
サウリ・ニーニスト(第12代)
Sauli Väinämö Niinistö

就任日 2012年3月1日
庁舎大統領宮殿
官舎メンティニエミ
クルタランタ(夏季別荘)
任命直接選挙
任期6年(3選禁止)
根拠法令フィンランド基本法
創設1919年7月27日
初代カールロ・ユホ・ストールベリ
職務代行者首相
ペッテリ・オルポ
俸給年額126,000ユーロ
ウェブサイトwww.presidentti.fi/Public/

概要 編集

大統領は内閣(国家評議会)とともに行政権を行使する[2]フィンランド内戦後の1919年に新たな憲法(基本法群)が定められ、大統領職が設置された[1]。1980年代以降は、大統領の権限が縮小され、議院内閣制への移行が図られた[1]。2000年及び2012年の憲法改正(フィンランド基本法制定)によって議院内閣制への移行が決定的なものとなり、現在では大統領の権限は形式上のものに制限されている[3]

大統領は国民の直接選挙によって選出され、1回目の投票で過半数の票を得る候補者がいない場合、上位2名による決選投票が行われる(二回投票制[4]。候補者は18歳以上[5]の、生来のフィンランド国民に限られ[4]、国会に議席を有する政党もしくは2万人以上の有権者団体の推薦が必要[4]。任期は6年間で1回のみ再選可能[4]。国会議員との兼職はできない[6]。非常時の代理が必要な場合については、首相が行う[7]

大統領は、エドゥスクンタ(議会)で選出された首相を任命する[8]。また、首相の指名に基づき大臣の任命を行う[8]。国家公務員や外交官の任命権も大統領の職責である[9]

このほかいくつかの布告権を持ち、法の承認と特命議会の招集を行うことができる。また、議会が可決した法案に対して拒否権を有しているが、議会はこの決定を覆すことができる。

外交については形式上は大統領が行う[10]とされるが、実質的には首相及び内閣が行う[11]。また、大統領はフィンランド国防軍の最高司令官であり、士官の形式上の任免権を有するが[12]、これも形式的なものである。軍の動員については、内閣の提案により大統領が行う[13]

 
首都ヘルシンキにある大統領宮殿

大統領の一覧 編集

大統領 所属政党 在任期間 備考
001 カールロ・ユホ・ストールベリ
Kaarlo Juho Ståhlberg
  国民進歩党 1 1919年7月27日
- 1925年3月2日
5年 + 218日
002 ラウリ・クリスティアン・レランデル
Lauri Kristian Relander
  農民同盟 2 1925年3月2日
- 1931年3月2日
6年 + 0日
003 ペール・スヴィンフヴュー
Pehr Evind Svinhufvud
  国民連合党 3 1931年3月2日
- 1937年3月1日
5年 + 364日
004 キュオスティ・カッリオ
Kyösti Kallio
  農民同盟 4 1937年3月1日
- 1940年12月19日
3年 + 293日 在任中に死去
005 リスト・リュティ
Risto Heikki Ryti
  国民進歩党 5 1940年12月19日
- 1943年
3年 + 229日
6 1943年
- 1944年8月4日
任期満了前に辞任
006 カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム
Carl Gustaf Emil Mannerheim
  無所属
軍人
7 1944年8月4日
- 1946年3月8日
1年 + 216日 任期満了前に辞任
007 ユホ・クスティ・パーシキヴィ
Juho Kusti Paasikivi
  国民連合党 8 1946年3月8日
- 1950年3月1日
9年 + 359日
9 1950年3月2日
- 1956年3月1日
008 ウルホ・ケッコネン
Urho Kaleva Kekkonen
  農民同盟 10 1956年3月2日
- 1962年3月1日
25年 + 331日
11 1962年3月1日
- 1965年
中央党 1965年
- 1968年3月1日
党名変更
12 1968年3月1日
- 1978年3月1日
任期を4年延長
13 1978年3月1日
- 1982年1月27日
任期満了前に辞任
009 マウノ・コイヴィスト
Mauno Henrik Koivisto
  フィンランド社会民主党 14 1982年1月27日
- 1988年3月1日
12年 + 33日
15 1988年3月1日
- 1994年3月1日
010 マルッティ・アハティサーリ
Martti Oiva Kalevi Ahtisaari
  フィンランド社会民主党 16 1994年3月1日
- 2000年3月1日
6年 + 0日
011 タルヤ・ハロネン
Tarja Kaarina Halonen
  フィンランド社会民主党 17 2000年3月1日
- 2006年3月1日
12年 + 0日
18 2006年3月1日
- 2012年3月1日
012 サウリ・ニーニスト
Sauli Väinämö Niinistö
  国民連合党 19 2012年3月1日
- 2018年3月1日
11年 + 356日
20 2018年3月1日
- (現職)
0- アレクサンデル・ストゥブ
Cai-Göran Alexander Stubb
  国民連合党 21 2024年3月1日
- (就任予定)

関連項目 編集

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ a b c 各国憲法集9 フィンランド憲法”. 国立国会図書館調査及び立法考査局 (2015年3月). 2017年6月25日閲覧。
  2. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第3条
  3. ^ 山崎博久 2020, p. 40-43.
  4. ^ a b c d 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第54条
  5. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第14条及び第27条
  6. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第27条
  7. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第59条
  8. ^ a b 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第61条
  9. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第126条
  10. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第93条
  11. ^ 山崎博久 2020, p. 42-43.
  12. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第128条
  13. ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第129条

参考文献 編集

  • 山崎博久「半大統領制から議院内閣制へ : フィンランドの経験から」『高岡法学』第38巻、高岡法科大学法学会、2020年、1-50頁、doi:10.24703/takahogaku.38.0_1ISSN 0915-9339CRID 1390848250107389952